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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K3
管理番号 1216240 
審判番号 不服2009-19579
総通号数 126 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-14 
確定日 2010-04-23 
意匠に係る物品 パワーショベル用走行機 
事件の表示 意願2006- 31552「パワーショベル用走行機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,意願2006-31551号を本意匠とする,平成18年11月17日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「パワーショベル用走行機」とし,意匠登録を受けようとする部分を実線で表し,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,以下の意匠であり,
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2006年 2月15日
受入日 特許庁意匠課受入2006年 2月24日
掲載者 新キャタピラー三菱 株式会社
表題 ニュースリリース
掲載ページのアドレス http://www.scm.co.jp/magazine/news/060214.html
油圧ショベルの作業部機構部分を除く油圧ショベル用走行機の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ17013685号)
その形態は,当該電気通信回線を通じて表されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.請求人の主張
これに対して,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。
本願意匠の引用例の摘示に際して,車体をぐるりと囲繞して連続するベルトライン状を呈するデカールから,本願意匠の横幅と対応する範囲だけを切り離して,本願意匠と対比したものであって,引用意匠は「対比の対象となり得る意匠の創作の単位」ではないので,引用意匠の引用方法を錯誤してなされたものと言わざるを得ない。
両意匠を意匠全体として対比すると,本願意匠は連続性を予定していないそれ自体で完結した意匠であるので,エッジ状デカールの終端部は下部が斜めに切り欠かれており,しかも該部位には該切り欠き部位を強調するように,切り欠きに沿って斜めに広幅の赤色カットラインを表している。これに対して,原審の行った連続するベルト状デカールの側面模様部からの引用部位には,終端切り欠き部が存在せず,デカール下端近傍位置の左右幅一杯に水平赤色細線ラインが表されているだけである。そしてこれらの点が両意匠の類否を左右する意匠の要部と認められる。してみれば,このように比較対象の範囲を原審の認定に沿ったものとして対比してみても,なお,両意匠は截然として非類似であるという他はない。

4.当審の判断
そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,ともにパワーショベル用走行機であるから意匠に係る物品が一致する。また,意匠登録を受けようとする部分の位置,大きさ,範囲も一致する。ところで,拒絶理由通知書の引用意匠には,「本願意匠に相当する部分」の意匠を引用する旨が明記されてはいないが,引用した理由を付記した文章には,「引用意匠の当該部分」と記載されていることから,本願意匠に相当する部分が引用されたことは明らかである。すなわち,引用意匠の当該部分とは,走行機のコーナー部前寄りの分割部までのデカールであると認められる。
次に,形態について検討すると,本願意匠のデカール後端部下部が,斜めに切欠かれており,その切欠きに沿って斜めに広幅の赤色帯状部が表されているのに対して,引用意匠にはこのような切欠き部や赤色帯状部はない。この赤色帯状部自体は,意匠全体からみると小さなものであるが,衣服におけるワンポイントマークなどにみられるように,模様として極めて顕著なものであり,他の部分がグレーであるだけに,一段と目立つ視覚的効果を有しているというべきである。したがって,赤色帯状部の有無は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。
なお,請求人は,引用意匠の摘示は,「対比の対象となり得る意匠の創作の単位」でなければならない旨主張するが,部分意匠としての適否に関すること(意匠法第2条第1項部分意匠に関する意匠審査基準)と,当該部分についての新規性の有無(意匠法第3条第1項各号に関すること)とは,別問題であり,これを混同している請求人の主張は,当を得ないものである。さらに,本件引用意匠については,本願意匠に相当する部分,すなわち,走行機のコーナー部前寄りに形成されている分割部までのデカールを引用しているのであって,一部を任意に切り取って引用したものでもない。
以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体の美感に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。

5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-04-13 
出願番号 意願2006-31552(D2006-31552) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邊 久美 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 樋田 敏恵
橘 崇生
登録日 2010-05-14 
登録番号 意匠登録第1390278号(D1390278) 
代理人 福迫 眞一 

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