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審決分類 |
審判 査定不服 1項柱書物品 取り消して登録 E2 審判 査定不服 工業上利用 取り消して登録 E2 |
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管理番号 | 1224808 |
審判番号 | 不服2006-16010 |
総通号数 | 131 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-11-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-07-26 |
確定日 | 2007-07-31 |
意匠に係る物品 | 遊技機の液晶表示器 |
事件の表示 | 意願2003- 30727「遊技機の液晶表示器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、平成15年10月17日の意匠登録出願であって、願書及び添付図面の記載によれば、その意匠は、意匠に係る物品が「遊技機の液晶表示器」であり、形態が願書及び添付図面の記載のとおりのもので、緑色に着色した部分以外を部分意匠として意匠登録を受けようとするものである。 2.原審における拒絶の理由 原審における拒絶の理由は、要旨以下のとおりのものである。 「この意匠登録出願の意匠は願書の説明及び図面の記載によると、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分内の数字(通称:変動保留数)が1から4までの変動する数字で不明確であり、また当該部分が「着色又は点滅等される」ということで、意匠を特定することができず、未だ具体的でないものと認められる。 また本物品の液晶表示部に表示される図形及び数字は、物品の外からの信号等の支配を受けるものであり、その物品自体の有する表示機能によって表示されるものではないと認められ、意匠を構成する要素として認められず、工業上利用することができる意匠ではない。 したがって、この意匠登録出願の意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない。」 3.当審の判断 (1)本願意匠 本願意匠は、意匠に係る物品が「遊技機の液晶表示器」であり、形態が願書及び添付図面の記載のとおりのもので、緑色に着色した部分以外を部分意匠として意匠登録を受けようとするものである。 すなわち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は、略長方形状の液晶面の下端部の左右ほぼ全幅にわたる帯状部分であって、当該部分の形態を、変化前においては、全体を横長長方形とし、全体を縦線で4等分して、1つの単位を長方形とし、その長方形の中央に1から4の数字を図柄として表したもので、変化後においては、変化前の態様の下部に横幅が同じで高さが約2倍の横長長方形を付加し、全体を縦線で4等分したものである。 そして、「意匠に係る物品の説明」の記載、すなわち、「本物品は、パチンコ機などの遊技機の遊技盤に組み込まれる液晶表示器であり、・・・図柄変動動作が終了する以前に、別の遊技球が図柄始動口に入賞する・・・場合には、図柄変動動作が保留されることになり、この変動保留数は、遊技者に認識できるよう表示される必要がある。・・・本意匠に係る液晶表示器では、その右側位置に、変動動作とは無関係に変動保留数を特定する複数の部分を設けており、該当部分が着色又は点滅等されることで、変動保留数が特定される。」との記載によれば、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能は、変動保留数を遊技者に認識できるようにするための表示の区域部分を特定するものと認められる。 (2)本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の形態について 以上のように、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の形態は、表示の区域部分の形態であって、ゲーム開始前に現れる形態、いわゆる初期画面である。そして、その形態は、(1)変動保留数が特定表示される前の表示の区域部分であるから、遊技機の液晶表示器という物品にとって本来の用途及び機能の一つを構成する要素であり、(2)物品自体の機能により表示されるものであり、(3) 「変化前」及び「変化後」の形態的関連性を有する特定した形態である。 なお、意匠に係る物品の説明にある「着色又は点滅等される」との記載は、本願意匠の変化の態様を表したものではなく、本願物品の使用状態の説明に過ぎない。 (3)小括 したがって、本願意匠は、具体的に特定したものであり、原審の「意匠登録を受けようとする部分内の数字(通称:変動保留数)が1から4までの変動する数字で不明確であり、また当該部分が「着色又は点滅等される」ということで、意匠を特定することができず、未だ具体的でない」との認定は妥当ではない。 また、本願意匠の形態は、物品自体の機能により表示されるものであり、原審の「物品の外からの信号等の支配を受けるものであり、その物品自体の有する表示機能によって表示されるものではない」との認定は妥当ではない。 すなわち、本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないものではない。 4.まとめ 以上のように、本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないものではなく、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2007-07-17 |
出願番号 | 意願2003-30727(D2003-30727) |
審決分類 |
D
1
8・
13-
WY
(E2)
D 1 8・ 14- WY (E2) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 久美、伊藤 敦 |
特許庁審判長 |
梅澤 修 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 鍋田 和宣 |
登録日 | 2007-10-19 |
登録番号 | 意匠登録第1315090号(D1315090) |
代理人 | 野中 誠一 |