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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K1 |
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管理番号 | 1226473 |
審判番号 | 不服2010-11381 |
総通号数 | 132 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-05-27 |
確定日 | 2010-10-22 |
意匠に係る物品 | 洋はさみ |
事件の表示 | 意願2009- 16797「洋はさみ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成21年7月6日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「洋はさみ」とし,意匠登録を受けようとする部分を実線で表し,その他の部分を破線で表したものであり,その形態は,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2006年10月10日に受け入れた「COTTON TIME」2006年11月1日6号の第99頁所載の裁縫用はさみにおける本願部分意匠に相当する部分の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HA18022454号)であって,その形態は,当該雑誌に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.請求人の主張 これに対して,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 両意匠は,正面側において中央の支点付近から右上側に延びる第1柄とこれに連なる小さい第1指掛輪,及び,支点付近から右側に延びる第2柄とこれに連なる大きい第2指掛輪を有している点で共通する。しかし,両意匠は,少なくとも次の点で相違している。 (1)本願意匠は,正面側が,全体として平坦面とその周囲の傾斜面によって構成されたものであり,平坦面と傾斜面との境界線が明瞭にあらわれている。これに対し,引用意匠は,正面側においてあらわれるのは第1柄及び第2柄の平坦面と,第1指掛輪及び第2指掛輪の黒色部材のみであり,平坦面と傾斜面との境界線は存在しない。 (2)本願意匠は,第1柄の平坦面の中間部分において,平坦面の両側の傾斜面との境界線が双曲線状となっている。これに対し,引用意匠は,第1柄の平坦面は,中間部分において,ほぼ一定幅かつ直線状に第1指掛輪に続いており,傾斜面との境界線が双曲線状となった部分は存在しない。 (3)本願意匠は,第1柄の下側の傾斜面の三日月状の面と,これに向かい合う第2柄の隆起した部分とによって両側が曲面状の谷部を形成している。これに対し,引用意匠は,正面側において,第1柄と第2柄は平坦面で構成されており,傾斜面や曲面が存在せず,両側が曲面状の谷部は存在しない。 したがって,本願意匠は,前記相違点(1)?(3)にかかる形状により,平坦面と傾斜面との組み合わせによるシャープさと優美さを兼ね備えており,この特徴が全体としての一体感,統一感を与えているとともに,第1柄と第2柄が交差する箇所における平面的形状及び立体的形状に,従来のこの種の物品に係る意匠には見られない特異な特徴が見られるものとなっており,本願意匠はこれらの特徴によって,前記共通点を凌駕して,引用意匠や先行周辺意匠とは全く異なる独特の美観を呈している。 4.当審の判断 そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,洋はさみと裁縫用はさみの相違はあるが,ともにはさみであるから,意匠に係る物品が一致する。 次に,形態について,一致点と相違点について総合的に検討すると,一致点については,すなわち,略短楕円状指掛輪を有する略へ字状に屈曲する第1柄と略長楕円状指掛輪を有する略直状の第2柄からなり,両者を略中央で開閉可能に軸支したはさみであって,第1柄の屈曲部を尖らせた点は,この意匠の属する分野においては,極めて普通に見られる形態であって,このような概括的な点が一致することを以て,両意匠が類似するということはできない。 一方,相違点については,すなわち,正面図において,(1)第1柄が,支点付近から第1指掛輪の左側まで連続する平坦面と,その周囲の傾斜面を有している点,(2)第1柄の平坦面は,中間部分において,両側の傾斜面との境界線が双曲線状となって幅が狭くなっており,さらに第1指掛輪に続く部分は分岐した形状となっている点,(3)第1柄の正面図における上側の傾斜面は,支点付近から第1指掛輪の後部に回り込むようにして連続し,下側の傾斜面は,支点付近から前記上側の傾斜面の回り込んだ部分に続き,中間部分において三日月状の面を構成している点は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらの類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体の美感に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。 5.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-10-12 |
出願番号 | 意願2009-16797(D2009-16797) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2010-11-26 |
登録番号 | 意匠登録第1404106号(D1404106) |
代理人 | 辻本 一義 |