• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1226477 
審判番号 不服2010-13696
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-23 
確定日 2010-10-28 
意匠に係る物品 スイッチ 
事件の表示 意願2009- 17431「スイッチ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成21年7月30日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品が「スイッチ」であり、その形態は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で表したものであり(以下、「本願実線部分」という。)、願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして、拒絶の理由として引用された意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1298631号「スイッチ」の意匠であって、その本願実線部分に相当する部分(以下、「引用意匠の相当部分」という。)の形態は、同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると、いずれも「スイッチ」に係るものであるから、意匠に係る物品が一致する。
本願実線部分と引用意匠の相当部分(以下、「両意匠の部分」という。)は、スイッチの本体であるボディ部(以下、「ボディ部」という。)であって、両意匠の部分の用途と機能、及び位置、大きさと範囲が共通し、その部分の形態については、主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)両意匠の部分であるボディ部は、下側の本体部材と上側の蓋部材とを嵌着して構成されたもので、略変形薄型直方体状の片側の側面部中央を上面視略円弧状の膨出部とし、そこに回動レバースイッチのための開口部(以下、「開口部」という)を設けた点、(B)ボディ部上面の中央寄りに円形状の押しボタンスイッチを凹陥状に設け、さらに、押しボタンスイッチの周囲を窪ませ凹状部を設けた点、(C)側面部の開口部側の両角部を隅切状とし、小型矩形状係止片を上方寄りに設け、その他の側面部にも上方寄りに小型矩形状係止片を設けた点、(D)底面部に多数の小型円形状孔部を配した点において共通する。
(2)差異点
(a)ボディ部上面の横幅に対する縦の長さの比が、本願意匠は、約1:1.12で縦長であるのに対して、引用意匠は、約1:0.97で横幅の方が広い点、(b)ボディ部を上面から見た形状が、本願意匠は、開口部側とは反対側に位置する側面両角部を隅切しているため、略隅丸八角形状であるのに対して、引用意匠は、当該部位は上面側のみやや円弧状に隅切し、下側は隅丸矩形状としたままであるので、略変形矩形状である点、(c)押しボタンスイッチの周囲の凹状部の形状が、本願意匠は、略X字状の深い部分と略縦長長円形状の浅い部分とが重なった形状であるのに対して、引用意匠は、略横長長円形状である点、(d)開口部の左右について、引用意匠は、つの状に突出した規制片部を有しているのに対して、本願意匠は、規制片部が開口部の左右内側に入り込んでいる点、(e)開口部の反対側側面部付近の小型矩形状係止辺の位置が、本願意匠は、両隅切部とそれに挟まれた後方側面部の3箇所であるのに対して、引用意匠は、左右の側面部のみである点に差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに、共通点の態様のうち、ボディ部の片側に回動レバースイッチのための開口部を設け、ボディ部上面の中央寄りに円形状の押しボタンスイッチを凹陥状に設けた態様は、両意匠に共通する特徴ではあるが、この種のスイッチの分野においては、他にも回動レバースイッチのための開口部とボディ部上面の中央寄りに円形状の押しボタンスイッチを設けたものは認められ、それらを有するボディ部を設けた点のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできない。
そうして、両意匠の部分全体を観察すると、下記考察のとおり、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、看者の注意を強く惹くものであるから、両意匠の部分の類否判断を左右するものというべきである。
すなわち、差異点(a)乃至(c)に係る態様は、ボディ部全体の構成比と正面視の外形状、及び押しボタンスイッチの周囲の態様であって、両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り、両意匠を斜め上方から観察した場合の印象を大きく決定付けるものといえ、看者の注意を強く惹くもので、その差異は、両意匠の部分の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。差異点(d)及び(e)に係る態様も、差異点(a)乃至(c)のボディ部全体の差異に係る態様と相俟って、両意匠の部分の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の部分の類否判断を左右するに十分のものである。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、その部分の用途と機能、及び位置、大きさと範囲が共通するものであるが、その部分の形態において、差異点が共通点を凌駕し、両意匠の部分全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。

5.むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず、原審の拒絶理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-10-18 
出願番号 意願2009-17431(D2009-17431) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 樋田 敏恵
北代 真一
登録日 2010-11-19 
登録番号 意匠登録第1403789号(D1403789) 
代理人 北村 修一郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ