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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1228227 |
審判番号 | 不服2010-14042 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-06-25 |
確定日 | 2010-12-02 |
意匠に係る物品 | 宝石 |
事件の表示 | 意願2009- 7494「宝石」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、平成21年3月31日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品が「宝石」であり、その形態は、願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原審において、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして、拒絶の理由として引用された意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁特許情報課が2006年9月14日に受け入れた米国特許商標公報に記載された意匠特許(US D526593S)の「装身用玉」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH18340133号)であって、その形態は同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると、いずれも装身具に用いられる宝石などの装身用玉に係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、形態については主として、以下の共通点及び差異点が認められる。 (1)共通点 (A)上方に略円錐台形状のクラウン部(以下、「クラウン部」という。)を、下方に略逆円錐形状のパビリオン部(以下、「パビリオン部」という。)をそれぞれ設け、周面に多数のカットを設け、クラウン部とパビリオン部の間の外周縁部に細幅の帯状部であるガードル部(以下、「ガードル部」という。)を設けた点、(B)クラウン部の構成をダイアモンドのいわゆるラウンドブリリアントカットの構成とし、中央のテーブル面に円形に近い正多角形を設け、その外周に多数の菱形と三角形のカット面を均等に配した点、(C)パビリオン部のカット面を、略細長菱形形状の矢が放射方向に広がる星形部(パビリオン・メイン面)(以下、「星形部」という)を設け、その隣り合う矢の間に略三角形状の細長い面(ローワー・ガードル面)を設けた構成としている点において共通する。 (2)差異点 (a)クラウン部のカット面について、本願意匠は、中央が12角形で、その周囲に12個の菱形状と36個の三角形状の面を設けているのに対して、引用意匠は、中央が10角形で、その周囲に10個の菱形状と30個の三角形状の面を設けている点、(b)パビリオン部の星形部について、本願意匠は、6本の矢による6角星形で、各矢の間が4つの略三角形状の面に分割されているのに対して、引用意匠は、10本の矢による10角星形で、各矢の間は2つの面に分割されている点、(c)パビリオン部の底面中央頂部(キューレット部)について、本願意匠は、6角星形の矢が分かれる部分に放射方向に直交する稜線を設けて逆六角錘形状の面取りを設けているのに対して、引用意匠は、10角星形の矢が分かれるまでの面積が広いうえに、面取りを設けていない点、(d)ガードル部について、本願意匠は、全体が略等幅状で抑揚のない帯状であるのに対して、引用意匠は、クラウン部の菱形状とパビリオン部の星形部の矢の間がやや太幅の抑揚のある帯状である点、(e)全体の高さに対する横幅の比が、本願意匠は、約1:1.65であるのに対して、引用意匠は、約1:1.44である点に差異が認められる。 4.類否判断 そこで検討するに、共通点の態様のうち、クラウン部の中央のテーブル面に円形に近い正多角形を設け、その外周に多数の菱形と三角形を配した態様は、両意匠に共通する特徴ではあるが、この種の宝石のカットの分野においては、従来からラウンドブリリアントカットは広く知られた態様であって、クラウン部の態様のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできない。 これに対し、下記考察のとおり、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、看者の注意を強く惹くものであるから、両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 すなわち、差異点(b)及び(c)に係る態様は、パビリオン部の星形部や底面中央頂部の逆六角錘形状の面取りの有無であって、パビリオン部全体の視覚的印象を相違させ、看者の注意を強く惹くもので、その差異は、両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。差異点(a)に係る態様も、パビリオン部の差異に係る態様と相俟って、両意匠の類否判断に影響を与えるものである。差異点(d)及び(e)に係る態様については、それらのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、差異点(a)ないし(c)に係る態様と相俟って、両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致するものであるが、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。 5.むすび したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず、原審の拒絶理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-11-19 |
出願番号 | 意願2009-7494(D2009-7494) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 北代 真一 |
登録日 | 2010-12-17 |
登録番号 | 意匠登録第1405696号(D1405696) |
代理人 | 永芳 太郎 |
代理人 | 南部 さと子 |
代理人 | 水野 尚 |