ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
---|---|
管理番号 | 1231515 |
審判番号 | 不服2010-5450 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-11 |
確定日 | 2011-01-04 |
意匠に係る物品 | 電子計算機 |
事件の表示 | 意願2008- 25465「電子計算機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2008年(平成20年)10月 3日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電子計算機」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「CGにて作成した図であり,表面部全面に表された濃淡は,立体表面の形状を表す濃淡である」としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,特許庁意匠課が2008年 3月28日に受け入れ,2008年 3月24日を掲載確認日(公知日)としたところの,富士通株式会社が同社のインターネット・ウェブ・サイトに掲載した,表題を『新モバイルハンディ「TeamPad7500Ws」「Patio300」の2機種を発売 : 富士通』としたページ(掲載ページのアドレス http://pr.fujitsu.com/jp/news/2008/02/28.html)に掲載された「発注作業用端末機」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ19078021号)であって,その形態は,同サイト掲載ページの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照。) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「電子計算機」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「発注作業用端末機」であって,表記は異なるが,本願意匠の願書に添付した図面の記載並びに引用意匠に係るサイトの記載等を総合すれば,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)本願意匠と引用意匠の形態 本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (共通点) ・筐体全体を略横長矩形板状とし,筐体正面側は,その大半を表示画面部とし,その周囲四辺を細幅縁部とするとともに,筐体の四隅には筐体保護プロテクターを,それぞれ縁部に少し覆い被さった態様で,取り付けたものであって,筐体正面側の右辺細幅縁部をやや幅広として,そこに細幅縦長矩形状の操作部を設け,その操作部は,略隅丸正方形状のキーを複数個,縦長略2列状に配置したものであって,全体や各部の寸法比率がほぼ同じである点。 (相違点) (ア)筐体正面側の細幅縁部の具体的構成態様について,本願意匠は,最外郭フレームの内側に,段差のある前面パネルを設けた2ピース構成であり,前面パネルの四辺の外縁は,緩やかな凸弧状をなし,前面パネルの上辺と下辺には,それぞれ扁平な略台形状の線条模様を対称状に施したものであるのに対して,引用意匠は,平坦な1ピース構成であり,模様はない点, (イ)筐体四隅の筐体保護プロテクターの具体的態様について,本願意匠は,それぞれが,正面視全体が細幅な略「く」字状で,水平部分と垂直部分の長さがほぼ同じであり,側面視端部が略円弧状をなし,扁平な矩形状模様が各隅に2箇所ずつ形成されているのに対して,引用意匠は,それぞれが,正面視略「L」字状であり,水平部分が略くさび形状で,垂直部分よりも長く,側面視した端部等の態様は,不明である点, (ウ)操作部の具体的構成態様について,本願意匠は,各キーの正面視した輪郭形状が略矩形状であり,カーソルキーは4つの独立したキーで構成されているのに対して,引用意匠は,各キーの正面視した輪郭形状が,略隅丸矩形状乃至略横長楕円形状であり,カーソルキーは輪郭形状が略十字形で一体となったものである点, (エ)筐体背面側の具体的態様について,本願意匠は,筐体背面側の中央上側に,正面視略矩形状・側面視略くさび形状の台部が突設されているのに対して,引用意匠は,不明である点。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 共通点については,寸法比率がほぼ同じである点は,共通の印象を与えるところではあるが,それを除けば,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎず,また,このような構成もこの種物品分野の意匠において,少なからず見られるものであるから,この共通点のみで両意匠の類否判断を決定付けているということはできないものであるに対して,相違点(ア)乃至同(ウ)は,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであり,また,両意匠の筐体正面側全体にわたって,両意匠の基調をそれぞれに形成しているものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,そして,相違点(エ)については,本願意匠の「使用状態を示す参考図1」等の記載を参照すれば,筐体背面側の態様は,この種物品分野における意匠の類否判断上,背面側であるから目に付きにくいとはいいきれない重要な要素であって,これらの相違点全体が相まった視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けているということができないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2010-12-17 |
出願番号 | 意願2008-25465(D2008-25465) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
太田 茂雄 市村 節子 |
登録日 | 2011-02-10 |
登録番号 | 意匠登録第1409097号(D1409097) |
代理人 | 川崎 典子 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 水野 みな子 |