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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F4
管理番号 1231516 
審判番号 不服2010-14507
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-01 
確定日 2011-01-11 
意匠に係る物品 包装用箱 
事件の表示 意願2009-23498「包装用箱」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成21年10月7日の意匠登録出願に係り,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。

2.原査定の拒絶理由
本願は,原査定において,「この意匠登録出願の意匠は,意匠1の平面部に,意匠2の平面部に表された破線を施し,さらに,意匠1の角部に,意匠3の各角部の格子模様を施したに過ぎず,容易に創作できたものと認められます。

意匠1:特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1326394号の意匠

意匠2:特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1326395号の意匠

意匠3:特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1339753号の意匠」との理由で,意匠法第3条第2項の規定に該当するとして,拒絶すべき旨の査定がなされたものである。

3.当審の判断
(1)本願意匠
本願意匠は,一枚の段ボール紙から成る略直方体状の包装用箱であって,まず,上面,正面,底面,背面及びのりしろ部分より,上面奥がわに来るのりしろ部分で留めて,横長四角筒状を形成し,次に,正面左右端のフラップと背面左右端のフラップを角丸にして曲げた上で,上面左右端のフラップと底面左右端のフラップを直角に折って作成する箱状の物で,その形態は,基本的構成態様において,縦横高さの長さ比が約2:3:1の略直方体であって,具体的態様においては,全体形状が,平面視で四隅を角丸とし,上面の手前と奥のへりと左右のへり,及び底面の手前と奥のへりの中央部を斜面によって面取り状としたものであり,四隅の角丸の半径は,縦長さの約8分の1,各へりの面取り部分の長さは,縦方向のものが縦辺の約2分の1,横方向のものが横辺の約3分の2,である。そして,表面態様として,開封に際しての破断用に,正面と背面の中央に倒H字状切り目と,その左右に水平方向に上下2段のミシン目を設け,また別の開封に際しての破断用に,上面に台形状とその頂辺の両端から後方に伸びるミシン目を設け,角丸部分を,凸条で斜め格子模様を示した凹凸形状面にて構成している。
(2)引用意匠
(a)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は,基本的構成態様は,本願意匠と同じであり,具体的態様において,上面と角丸部分の表面態様に本願意匠との差異を有しているが,全体形状を平面視で四隅を角丸とし,上面の手前と奥のへりと左右のへり,及び底面の手前と奥のへりの中央部を斜面によって面取り状としたものであり,四隅の角丸の半径は,縦長さの約8分の1で,各へりの面取り部分の長さを,縦方向のものが縦辺の約2分の1,横方向のものが横辺の約3分の2,とした点と,表面態様として,開封に際しての破断用に,正面と背面の中央に倒H字状切り目と,その左右に水平方向に上下2段のミシン目を設けている点で,共通している。
(b)意匠2(別紙第3参照)
意匠2は,基本的構成態様は,本願意匠と同じであり,具体的態様において,角丸の有無,正面と背面の左右端にあるフラップの形状,上面と底面の左右端にあるフラップ(天面フラップ)の形状,正面と背面の表面態様に本願意匠との差異を有し,上面の手前と奥のへりと左右のへり,及び底面の手前と奥のへりの中央部を斜面によって面取り状とした面取り部の長さにおいて,縦方向のものが縦辺の約3分の2,横方向のものが横辺の約4分の3,としている点で差異があるが,表面態様として,開封に際しての破断用に,上面に台形状とその頂辺の両端から後方に伸びるミシン目を設けている点で共通する。
(c)意匠3(別紙第4参照)
意匠3の角丸部分は,ひし形模様を示しているが,その模様は,3つの縦長ひし形が並ぶG-G端面図の切断箇所の断面形状は,正面から右側面にかけて,4つの角,3つの平面を経ており,4つの縦長ひし形が並ぶH-H端面図の切断箇所の断面形状は,正面から右側面にかけて,3つの角,2つの平面を経ているので,そのひし形模様は,折り目に合わせて構成している。
(3)検討
本願意匠の基本的及び具体的な態様の内,上面の破断用ミシン目と四隅の角丸部の模様以外は意匠1に示されているので,これらの部分について,意匠2と意匠3に基づけば本願意匠を構成することができるのかを検討する。
上面の破断用ミシン目については,等脚台形の下底の長さと後方に伸びるミシン目の長さに若干の違いは認められるが,ほぼ同様の態様,すなわち,台形状とその頂辺の両端から後方に伸びるミシン目の態様が意匠2に示されているが,角丸部分の表面態様については,本願意匠と引用の意匠3を比較検討するに,斜め格子の具体的な表し方が違い,その結果,上記引用意匠のどれにも本願意匠の角丸部分の具体的な表面態様が表されていないと言える。
そうすると,本願意匠は上記引用意匠1と2から容易に想到できる意匠と大部分において共通する点があったとしても,本願意匠の角丸部分のみは,公然知られた形状であったとは言えず,全体として本願意匠の形状にまとめ上げることは困難と認められ,一定の創作行為があったと言わざるを得ず,これらの意匠を基に容易に想到することができたとは言えない。
以上のとおりであって,本願意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。

4.むすび
したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-12-22 
出願番号 意願2009-23498(D2009-23498) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 久保田 麻理 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 樋田 敏恵
橘 崇生
登録日 2011-02-18 
登録番号 意匠登録第1409739号(D1409739) 
代理人 東尾 正博 
代理人 田川 孝由 
代理人 鎌田 直也 
代理人 鎌田 文二 

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