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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1233205 |
審判番号 | 不服2010-10555 |
総通号数 | 136 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-05-18 |
確定日 | 2011-02-22 |
意匠に係る物品 | パラソル |
事件の表示 | 意願2009- 5142「パラソル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2009年(平成21年) 3月 9日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した写真によれば,意匠に係る物品を「パラソル」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」を願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 これに対して,原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものと認められるので,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁特許情報課が2004年 3月11日に受け入れた,2003年12月18日発行の大韓民国意匠商標公報(CD-ROM番号:2003-69)に記載された,意匠登録第30-0340607号の「パラソル」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH16507186号)であって,その形態は,当該公報の図版に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,いずれも「パラソル」で一致する。 (2)本願意匠と引用意匠の形態 本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (i)共通点 基本的構成態様として, (A)全体が,略二等辺三角形状の布片8つで構成された略ドーム状の「傘カバー」と,略細長丸棒状の「ポール」で構成されている点, 具体的構成態様として, (B)傘カバーの各布片の裾部に扁平な略逆台形状のフラップ部をそれぞれ設けた点, (C)ポールは,主にパイプのような管状体から成り,それぞれの長さがほぼ等しい「ポール体」を3つ接続して構成されており,ポールは,ポール体の端部を接続するもう一方のポール体の端部から,その管状内部に挿入・固定することによりポールの長さを適宜調節できる機構を有するものである点, (D)ポールの最下端部が略倒円錐状をなしている点。 (ii)相違点 (ア)傘カバーの具体的態様について,引用意匠は,傘カバーの各布片の略中央部に横線模様が連結・形成されているのに,本願意匠にはそれがない点, (イ)ポールの具体的態様について,本願意匠は,傘カバーに取り付けられた「上段ポール体」と,それぞれ分離可能な「中間ポール体」と「下段ポール体」との3段に構成されており,上段ポール体の下端と下段ポール体の上段には,固定レバーを有する「接続部」が2つ形成され,中間ポール体は,太さが上段ポール体及び下段ポール体よりも若干細く,その上下端部が略円錐状に形成されているのに対して,引用意匠は,2つのポール体を屈曲可能な機構で接続して成る上段ポール体と,下段ポール体の2段に構成されており,上段ポール体と下段ポール体は接続部を介して接続されているが,下段ポール体が分離可能であるかは不明である点。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)形態の共通点及び相違点の評価 共通点(A)及び同(C)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。 また,共通点(B)及び同(D)は,ありふれた態様に過ぎず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでに至らないものである。 相違点(ア)は,目に付きやすい部位に係るものとはいえ,いずれの態様もありふれたものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいとはいえない。 しかし,相違点(イ)に係る態様は,この種物品の使いやすさや機能性などを決定付ける部分に係り,需要者が最も注目する点であるから,両意匠においてそれぞれの特徴を最もよく表しているところであり,両意匠を見る者に別異の感を与えているものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,極めて大きいというべきである。 そうして,相違点全体としては,相違点(ア)の両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きいとはいえないものの,相違点(イ)の影響が極めて大きいものであるから,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕しており,両意匠は,意匠全体として見る者に異なる美感を起こさせるものというべきである。 (2)小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態においては,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,同条同項柱書の規定によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2011-02-07 |
出願番号 | 意願2009-5142(D2009-5142) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
市村 節子 太田 茂雄 |
登録日 | 2011-03-04 |
登録番号 | 意匠登録第1410666号(D1410666) |
代理人 | 大西 正夫 |