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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 B2 |
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管理番号 | 1236444 |
審判番号 | 不服2010-21396 |
総通号数 | 138 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-22 |
確定日 | 2011-04-12 |
意匠に係る物品 | 帽子 |
事件の表示 | 意願2008- 28417「帽子」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2008年(平成20年)11月 5日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した見本及び写真に現されたものによれば,意匠に係る物品を「帽子」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」を願書の記載及び願書に添付した見本及び写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) すなわち,本願意匠は, 基本的構成態様として,同形同大の平面視略逆台形状の布片2枚を重ねて,その上辺と下辺を縫い合わせ,極短い略筒状の被り物としたものであって, 具体的構成態様として,上辺は緩やかに湾曲する凸弧状を,下辺は,ほぼ直線をなしており,左右両辺は,緩やかに湾曲した凹弧状をなしているが,左辺は,紐を通してあり,その下端部には止め具が装着されているものであり,右辺は,左辺よりやや長めで,単なる開口部となっているものである。 第2 原査定における拒絶の理由及び例示された参考意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,本願意匠に対して示した理由と例示された参考意匠は,以下のとおりである。 本願意匠は,帽子に係る創作であるが,筒型周知形状の上辺若しくは下辺に紐等を通し絞りを調整できるようにすることは,本願出願以前に極めて普通にみられるところ(例えば,参考意匠1及び2参照),本願意匠は,周知形状である青海波模様の一房の形状を筒型とし,上記手法により紐を通することにより帽子としたまでのものであって,この程度では,容易に創作できたものと認められる。 ---------------------------------- (参考意匠1) 意匠登録第1318125号の意匠 (別紙第2参照) ---------------------------------- (参考意匠2) 特許庁意匠課が2006年 9月 7日に受け入れた STYLE FISHING WEAR COLLECTION 06-07 AUTUMN-WINTER 2006?2007年 秋冬ウェアカタログ 第35頁所載 ネックウォーマーの意匠 (別紙第3参照) (特許庁意匠課公知資料番号第HC18040317号) ---------------------------------- 第3 当審の判断 略筒状の被り物やネックウォーマー等において,その上辺又は下辺に紐を通し,開口部の絞りを調節できるようにしたものが,本願出願前,普通に見られるものであるということは,原審が例示した参考意匠1及び同2等に示されるとおりであって,いうことができる。 他方,青海波模様とは,左右対称形の扇形若しくは扇面形を基調とした波文様であり,具体的には,その一房の形状は,上辺が凸弧状,左右両辺が凹弧状,下辺が略くさび形若しくは凹弧状をなすものであるのに対して,本願意匠の平面視した形状は,左右非対称であり,かつ,下辺は,ほぼ直線をなしているものであって,青海波模様の一房の形状そのままであるということは到底できない。また,本願意匠の平面視した形状と青海波模様の一房の形状の相違を,この種物品分野においてよく行われるところの通常の改変の範囲に止まるということもできない。 さらに,本願意匠の紐は,左辺の開口部に通してあるが,左辺と右辺の開口部の長さは異なるものであるにもかかわらず,短い方の左辺に紐を通すことがこの種物品分野の意匠において普通に見られる手法であることを示す証拠もない。 したがって,略筒状の被り物やネックウォーマー等において,その上辺又は下辺に紐を通し,開口部の絞りを調節できるようにしたものが,本願出願前,普通に見られるものであるとしても,本願意匠の平面視した形状は,周知形状である青海波模様の一房の形状ではなく,より短い方の開口部である左辺に紐を通すことがこの種物品分野の意匠において普通に見られる手法であるともいえない以上,本願意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原審が示した理由によっては,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときに該当するということはできず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2011-03-30 |
出願番号 | 意願2008-28417(D2008-28417) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(B2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐々木 朝康 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
市村 節子 太田 茂雄 |
登録日 | 2011-05-27 |
登録番号 | 意匠登録第1417208号(D1417208) |
代理人 | 森 廣三郎 |
代理人 | 森 寿夫 |
代理人 | 松浦 瑞枝 |