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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201027235 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1239781 
審判番号 不服2010-27703
総通号数 140 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-12-07 
確定日 2011-07-05 
意匠に係る物品 包装用缶 
事件の表示 意願2010-2391「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,本意匠を意願2009-17440(意匠登録第1411763号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成22年2月2日に出願されたものであり,その意匠は,願書及び願書に添付の図面の記載内容によれば,意匠に係る物品を「包装用缶」として,その形態を願書及び願書に添付の図面に記載されたとおりとするものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである(以下,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁総合情報館が1998年11月16日に受け入れた,モノマガジン1998年12月2日20号の第40頁に所載の包装用缶の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA10023637号)であって,その形態は,同内国雑誌に掲載されたとおりのものである(以下,引用された意匠について,上蓋部を除く,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。

3.当審の判断
(1)両意匠の共通点
両意匠を対比すると,いずれも包装用缶に係るものであるから,意匠に係る物品が一致し,部分意匠としての用途及び機能,そして,位置,大きさと範囲は,いわゆる3ピース缶における上蓋(天蓋)部を除いた胴部及び下蓋(底蓋)部で構成する部分であって,共通しているものであり,そして,両意匠の形態においても,胴部について,上下端部を上下蓋部よりも僅かに小さな径(以下,「円筒状小径部」という。)に形成し,一方,中央部は,上下蓋部と略同径の大径部(以下,「円筒状大径部」という。)とし,上下端の円筒状小径部と斜面によって繋がっている点,下蓋部について,巻締めにより,胴部の円筒状小径部より僅かに張り出した態様としている点,において主に共通する。
(2)両意匠の差異点
一方,(a)本願意匠は,胴部の高さを円筒状大径部の直径の約1.5倍としているのに対し,引用意匠は,約2倍としている点,(b)胴部の高さ方向における比率について,本願意匠は,上部円筒状小径部:円筒状大径部:下部円筒状小径部を約0.5:7.7:1.8としているのに対し,引用意匠は,これを約0.3:9.4:0.3としている点,その結果として,(c)本願意匠は,円筒状大径部が胴部の上方に位置しているのに対し,引用意匠は,それが胴部の中央に位置している点,において主に差異がある。
(3)類否判断
そこで両意匠の類否を検討するに,共通点の態様は,この種の3ピース缶といわれる包装用缶の分野においては,先行公知意匠の胴部及び下蓋部に一般的に見られる態様であり,両意匠のみに格別新規な態様ということはできず,それらの点のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできない。
そして,差異点(a)については,この種物品分野においては,高さを変更して内容量を適宜変えることは普通に行われている手法であって,本願意匠ほどの高さでは,常套的な選択の範囲内にとどまるものと認められ,この差異が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
しかし,差異点(b)及び同(c),とりわけ(b)の,胴部における,上部円筒状小径部,円筒状大径部,下部円筒状小径部の高さ(長さ)比率における差異は,両意匠に異なる視覚的効果を生じさせており,看者の注意を強く惹くもので,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言える。
すなわち,この差異によって,本願意匠は,円筒状大径部の比率が小さいため,この大径部が全体の中で独立しているという印象を見る者に与えているのに対し,引用意匠は,大径部の高さが胴部の高さのほとんどを占め,大径部が独立するというよりは,蓋部の径と合わせ,缶全体が一体となった印象を与え,また,円筒状小径部について,本願意匠は,上下非対称で,下部の小径部の高さが胴部の高さに対して約5分の1を占めることから,円筒状大径部が上方にあり,腰高となっている一方,下蓋部の巻締めによる張り出しが,腰高にもかかわらず,全体に安定した印象を与えているのに対し,引用意匠は,上下対称形で,下部円筒状小径部の高さが胴部の高さに対して約100分の3とわずかなことから,腰高の印象はなく,下蓋部の巻締めによる張り出しも目立たない,といった視覚的効果に大きな差異を生じており,これら(b)及び(c)の差異は,両意匠の印象を大きく異ならせるもので,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさと範囲が共通するものであるが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。

4.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものではないから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-06-17 
出願番号 意願2010-2391(D2010-2391) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
瓜本 忠夫
登録日 2011-07-15 
登録番号 意匠登録第1421213号(D1421213) 
代理人 特許業務法人創成国際特許事務所 

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