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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 M3
管理番号 1243102 
審判番号 不服2011-3183
総通号数 142 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-02-14 
確定日 2011-08-16 
意匠に係る物品 防護柵用のボルト 
事件の表示 意願2009- 11958「防護柵用のボルト」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2009年(平成21年)5月28日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「防護柵用のボルト」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

すなわち,本願意匠の形態は,全体を,外周面に微細な条溝を等間隔に多数配置してローレット模様を形成した略扁平円盤状頭部,頭部よりやや径が短く厚幅の首部及び頭部径の1/2強で,長さを頭部と首部の厚みの3倍程度とし,外周にねじ山を施した略円柱状軸部で構成したものであり,頭部上面中央に(なお,正面図の左側の頭部を上にし,他の図もそれに揃えて認定する),孔底部の形状が略球面状で,孔の深さが首部と軸部の境界線上まで抉られた略六角柱状孔部を形成し,首部外周面に,頭部側から軸部側に漸次細幅となるようテーパーを施し,首部を略円錐台形状としたものである。


第2 原査定の拒絶の理由
本願意匠に対して,原査定における本願意匠に対する拒絶の理由は,以下のとおりである。

この意匠登録出願の意匠は,ボルトに係るものであるが,この種物品の分野において頭部の形状を種々の形状とすることも頭部中央に種々の孔を穿つことも商習慣上普通に行われているところ,この出願の意匠は,日本国内において広く知られた頭部が薄平形のボルト(意匠1)の頭部中央に意匠2にみられるような六角孔を穿ったにすぎない。よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当する。

意匠1
特許庁意匠課が2004年 7月23日に受け入れた株式会社栃木屋発行のカタログ「栃木屋総合カタログ 52」
第5-1頁所載 ボルトの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC16037273号)(別紙第2参照)

意匠2
特許庁総合情報館が1993年 3月31日に受け入れたROCKHIBefestigungselemente発行の 外国カタログ「MitROCKHIaufNr.sichergehen.」
第3頁所載 ボルトの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD05016286号)(別紙第3参照)


第3 請求人の主張
請求の理由として,請求人は,要旨,以下のとおり主張した。
本願意匠が,首部から軸部にかけて段差なく連続的に移行するように形成した点について,具体的証拠の提示がない。この物品分野において,首部をテーパー状に形成すること自体が本願意匠の出願前には見受けられないものであり,本願意匠のみに新規の態様に形成されたものと云え,本願意匠は引用意匠1と酷似しているとは到底云えず,本願意匠の創作に,その変形自体常套的な範囲を超えた工夫が存することが明らかである。

防護柵用のボルトの頭部は,目立たない薄平状に形成することが好ましいが,その反面,トルクレンチを装着するのに必要な深さを有する六角孔を形成する必要もある。そこで,薄平状頭部と軸部との間に首部を連設し,首部と軸部との境界線上にまで達する深さの六角孔を穿ったボルトを創作し,また,強度を向上させ,ブラケットのボルト通し孔にスムーズに挿入可能な,テーパー状の首部を創作した。

その点,引用意匠1の「頭部と首部と軸部とを単に階段状に形状したボルト」を引用意匠2の「頭部中央に六角孔を穿ったボルト」に適用してみても,頭部に穿った六角孔の深さは当然に頭部の厚みの限度内とされ,トルクレンチを装着するのに必要十分な深さの六角孔を形成する上では参考にならない。また,首部の径は,軸部の径と比して2倍程度も大きい均等径の柱状であり,首部の先端部がブラケットへ衝突してボルト通し孔へ挿入することはできない。

従来,当業者であれば,ローレット加工と六角孔の採用は,機能が重複する理由から選択行為であったはずであるにも拘わらず,あえてその両方を採用したという点に,本願意匠が引用意匠1,2から容易に想到し得たものではない,格別の創作性を有する一つの根拠となりうる。


第4 本願意匠の創作の容易性について
そこで,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

意匠1は,頭部,首部及び軸部により構成されるボルトに係り,頭部の薄平形が広く知られたものの公知例であるが,そこに示された首部は,頭部側から軸部側まで同径の略円柱状のものであり,本願意匠の首部外周面をテーパー状としたものとは大きく異なり,かつ,引用意匠の首部の厚みは,頭部の約2倍とするものであり,本願意匠とは大きく異なることから,本願意匠の頭部略六角柱状孔部を除いたボルトにしても到底引用意匠とは異なり,引用意匠により容易に想達でできるものではない。

また,意匠2は,頭部上面中央に略六角柱状孔部を形成する公知例であるが,そこに示された形状には,孔部の深さが表されておらず,拒絶査定において例示した意匠登録第1368441号も,本願の出願日が2009年(平成21年)5月28日であるのに対して,意匠登録公報の発行日が2009年(平成21年)8月31日であるから,本願意匠の頭部中央孔部の例示とすることはできず,本願意匠の略六角柱状孔部の具体的態様が周知または公知の態様であることを示す他の例示もない。

そうすると,本願意匠の基礎となるべき公知意匠が存在せず,さらに,この種物品において,各構成要素の径の大きさや長さの比の僅かな差異やそれらの組み合わせ等が,ボルトの強度の観点から看る者の注意を惹くところ,存在する公知の態様に多少の改変を加えた程度であるということもできない以上,本願意匠を,当業者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこられの結合に基づいて容易に創作をすることができたものということはできない。


第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定する意匠に該当するということはできないものであり,同条同項により本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2011-07-27 
出願番号 意願2009-11958(D2009-11958) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (M3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和原田 雅美 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
太田 茂雄
登録日 2011-09-09 
登録番号 意匠登録第1424920号(D1424920) 
代理人 山名 正彦 

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