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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J6
管理番号 1253408 
審判番号 不服2010-16931
総通号数 148 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-07-28 
確定日 2011-02-28 
意匠に係る物品 消火器用容器 
事件の表示 意願2008- 22551「消火器用容器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、平成20年9月2日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「消火器用容器」とし、その形態を願書及び願書添付の図面代用写真に現されたとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.原査定の拒絶理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当し、意匠登録を受けることができないとするものであって、本願意匠に対して示された拒絶の理由は、以下のとおりである。

本願意匠は、本願の出願前において公知のカプセルの意匠(HB20005530)の上端口部を公知の口部形状(HH18470651)に変形した程度の創作に過ぎず、当業者において容易に想到できたものと認める。
<意匠1>(別紙第2参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2008年 5月13日に受け入れたStil & markt 4号 第52頁所載 包装用容器の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB20005530号)
<意匠2>(別紙第3参照)
特許庁特許情報課が2006年12月14日に受け入れた大韓民国意匠商標公報 2006年10月24日06-53号 包装用容器(登録番号30-0428679)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH18470651号)

3.請求人の主張
これに対し、請求人は、審判を請求し、概ね次のとおりの主張をした。
(1)分野及び当業者について
本願意匠に係る物品は「消火器用容器」であるところ、製品化にあたっては所定の要件を必要とするもので、一般的な包装用容器の意匠の属する分野及びその当業者とは全く異なる。
(2)引用意匠との対比
意匠1が略円錐状の外周形状の一部を有する肩部、換言すればシャープな印象を与える肩部を有している一方、本願意匠は、観者を和ませるような半球面状の肩部を有している。この肩部の外形の違いに由来する美観の違いが存在する。
意匠2の口部は、外径が他の部分よりも小さいくびれ部が該螺旋状凸部から下方に間隔を空けて形成されるとともに、周状の凸部が該くびれ部の下方に連続して形成されている。しかしながら、本願意匠の口部は、本願意匠の胴部の外径より小さいが略一定の外径を有していることに加え、該口部の外周には周状の凸部が螺旋状凸部の直下に形成されている。すなわち、本願意匠の口部は、前述のくびれ部を有さず、かつ、その外径が小さくなったくびれ部から連続する周状の凸部を有していない。加えて、該くびれ部及び該周状の凸部は、観者も視認できる部分であるため、本願意匠の口部と引用意匠2の口部とは、互いに意匠としての美観を異ならせるものである。
従って、本願意匠は、公知の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて当業者が容易に創作することができないものである。

4.当審の判断
そこで、請求人の主張を踏まえ、本願意匠が意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当するかについて、以下検討する。
(1)本願意匠
本願意匠は、全体について、直径に対して略3倍の高さとする縦長の円筒形とし、底部及び肩部を半球面状とし、上面中央に直径の略3分の1の径の口部を、本体の高さに対して略12.5分の1の高さで設け、全体を半透明としたもので、口部について具体的にみると、口部の直径に対して略7分の5の高さを有し、頂部から略3分の2までを螺旋状の凸部とし、その下部に薄円板状の周状凸部を設け、その下に僅かな隙間部をもって肩部につながる態様とし、半球面状の底部について具体的にみると、底部頂部に直径の2分の1程度のドーム状の凸部が段状を呈するように設けられた態様としたものである。
(2)創作非容易性の判断
原査定において、意匠法第3条第2項の規定に該当するとして、引用された意匠1の容器本体は、肩部を円錐状、底部を半球面状としているのに対し、本願意匠は、肩部を半球面状、底部も半球面状とし、さらに、その下方にドーム状凸部を有する点、また、意匠1は、全体が不透明であるのに対し、本願意匠は、半透明である点で相違し、意匠2の口部は、口部の直径に対して略9分の10の高さを有し、わずかに縦長であるのに対し、本願意匠は、直径よりも高さが低い態様としており、さらに、意匠2の口部は、螺旋状凸部と周状凸部の間に口部の直径よりも小さなくびれ部があるのに対し、本願意匠は、そのようなくびれ部を有していない点で相違している。
以上のとおり、引用された意匠が当業者に当然知られていたかの検討をするまでもなく、本体容器の態様が意匠1とは異なり、口部の態様が意匠2と異なる以上、意匠1の上端口部を意匠2に表された口部に変形した程度の創作に過ぎないとすることはできず、さらに底部の段部の有無における差異は、常套的な改変に留まるとすることはできないものであり、本願意匠を、出願前に公然知られた形状に基づいて当業者が容易に意匠の創作をすることができたものとすることはできない。

5.むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当しないので、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-02-14 
出願番号 意願2008-22551(D2008-22551) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 本多 誠一 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 樋田 敏恵
北代 真一
登録日 2011-03-18 
登録番号 意匠登録第1411541号(D1411541) 
代理人 河野 広明 

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