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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1259667 |
審判番号 | 不服2011-23751 |
総通号数 | 152 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-08-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-11-04 |
確定日 | 2012-05-30 |
意匠に係る物品 | リモートコントローラー |
事件の表示 | 意願2010- 25686「リモートコントローラー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成22(2010)年10月26日の意匠登録出願(パリ条約による優先権主張 2010年5月11日 アメリカ合衆国)であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書添付の図面によれば,意匠に係る物品が「リモートコントローラー」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 2.原審の拒絶の理由 原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用された意匠は,特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1384584号「リモートコントローラー」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その本願実線部分に相当する部分(以下,「引用意匠の相当部分」という。)の形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 両意匠を対比すると,いずれも「リモートコントローラー」に係るものであるから,意匠に係る物品が一致する。 本願実線部分と引用意匠の相当部分(以下,「両意匠の部分」という。)は,リモートコントローラーの前面パネルの中間部分の正面視略正方形状平坦部(以下,「平坦部」という。)とその中央にある略正方形状の操作ボタンであるキー部(以下,「キー部」という。)であって,両意匠の部分の用途と機能が共通し,その部分の位置,大きさと範囲及び形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。 (1)共通点 (A)両意匠の部分において,平坦部の略中央にキー部を設け,キー部の中央に正面視略小型正方形状の押ボタンを設け,その周囲を多方向スイッチで囲んでいる点,(B)多方向スイッチは,対角線によって4つの略台形状に区切られ,略台形状の部分が外側から中央に向かって低くなるよう傾斜を設けている点,(C)平坦部は,略正方形状で前面パネルの横幅ほぼ一杯まで拡がっている点において共通する。 (2)差異点 (a)両意匠の部分の位置について,本願意匠は,前面パネルの中央より上側にあるのに対して,引用意匠は,前面パネルの中央より下側にある点,(b)両意匠の部分の大きさと範囲について,前面パネルの縦の長さに占める平坦部の縦の長さの比が,本願意匠は,約1:0.33で平坦部の割合が大きめであるのに対して,引用意匠は,約1:0.18で平坦部の割合が本願意匠より小さい点,(c)平坦部の縦の長さに対するキー部の縦の長さと押ボタンの縦の長さの比について,本願意匠は,約1:0.46:0.14でキー部及び押ボタンが小さめであるのに対して,引用意匠は,約1:0.55:0.19でキー部及び押ボタンが本願意匠よりやや大きめである点,(d)多方向スイッチの正面視の態様について,本願意匠は,外縁部に枠部を有し,四隅が隅丸状で,台形状になる区切り線が二重であるのに対して,引用意匠は,外縁部に枠部を有さず,四隅が角張っており,台形状になる区切り線が一重である点,(e)キー部の側面視の態様について,本願意匠は,キー部が平坦部より僅かに突出しているのに対して,引用意匠は,突出していない点,(f)押ボタンの形状について,本願意匠は,面取りをした略四角錐台形状であるのに対して,引用意匠は,角柱状である点に差異が認められる。 (3)類否判断 そこで検討するに,共通点の態様のうち,平坦部の略中央にキー部を設け,キー部の中央に正面視略小型正方形状の押ボタンを設け,その周囲を多方向スイッチで囲んでいる態様は,この種の物品の分野においては,他にも普通に認められ,この点のみをもって両意匠の類否判断を決定付ける共通点ということはできない。また,多方向スイッチが対角線によって4つの略台形状に区切られ,略台形状の部分が外側から中央に向かって低くなるよう傾斜を設けているという共通点は,両意匠の部分の類否判断に及ぼす影響が一定程度あるというべきではあるが,他にも見受けられる態様であって,両意匠のみの特徴ではないから,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対して,両意匠の部分全体を観察すると,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,看者の注意を強く惹くものであるから,両意匠の部分の類否判断を左右するものというべきである。 すなわち,差異点(a)ないし同(c)に係る態様は,両意匠の部分の位置,大きさと範囲及び平坦部とキー部の割合に係る差異で,その差異は,看者の注意を強く惹くところであり,両意匠の印象に影響を与えるものといえる。また,差異点(d)ないし同(f)に係る態様も,キー部の具体的態様及び押ボタンの形態に係る差異であって,需要者が使用時に注目する部位であり,差異点(a)ないし同(c)に係る態様と相俟って,両意匠の部分の類否判断に影響を与えるものであるから,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の部分の類否判断を決定付けるに十分なものである。 以上のとおり,両意匠の部分の用途及び機能は共通するものであるが,両意匠の部分の位置,大きさと範囲においても,両意匠の部分に係る形態においても,差異点が共通点を凌駕し,両意匠の部分全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠の部分は,類似するということはできない。 そうして,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両意匠の部分の用途と機能が共通するものであるが,両意匠の部分の位置,大きさと範囲及び形態が類似しないものであるから,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせ,両意匠は類似しないものと認められる。 4.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-05-14 |
出願番号 | 意願2010-25686(D2010-25686) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松田 光太郎 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 下村 圭子 |
登録日 | 2012-07-06 |
登録番号 | 意匠登録第1447936号(D1447936) |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 渡邊 隆 |