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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1259669 
審判番号 不服2011-24850
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-17 
確定日 2012-06-12 
意匠に係る物品 鼻孔カニューラ 
事件の表示 意願2010- 29678「鼻孔カニューラ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成22年12月14日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「鼻孔カニューラ」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1138712号「鼻孔カニューラ」の意匠中の実線で表された部分の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.当審の判断
両意匠を対比すると,いずれも酸素吸入療法に用いられる鼻孔に装着する「鼻孔カニューラ」の本体部に係るものであるから,意匠に係る物品が一致し,その形態については,主として以下の共通点及び差異点が認められる。
以下,引用意匠を本願意匠の向きに合わせ,本願意匠と引用意匠を対比して検討する。
(1)共通点
(A)全体は,緩やかに湾曲した管状の鼻孔カニューラ本体部(以下,「カニューラ本体部」という。)と,その中央の左右に一定の間隔をおいて突設した一対の小径の短管である鼻孔管(以下,「鼻孔管」という。)とから成るものである点,(B)鼻孔管は,カニューラ本体部に対して略「レ」字状に接合・形成されているものである点,において共通する。
(2)差異点
(a)カニューラ本体部の横幅と鼻孔管の比率について,本願意匠は,鼻孔管の径を1とするとカニューラ本体部の横幅が約16倍であるのに対して,引用意匠は,それが約21倍である点,(b)カニューラ本体部の具体的構成態様について,(b-1)カニューラ本体部の管体形状について,本願意匠は,中央大略部がやや太径な管体で,左右両端部がやや細幅な管体で,その接合部分は急にすぼまった態様であるのに対して,引用意匠は,やや太径な中央より端部に向かって,暫時細くなっている点,また,引用意匠は,カニューラ本体部の鼻孔管の間に小さな略凸円弧状の膨らみ部を2つ設けているのに対し,本願意匠は,そのような膨らみ部がない点,(b-2)カニューラ本体部の中央の断面形状(A-A線断面形状)について,本願意匠は,楕円形状であるのに対して,引用意匠は,長方形状である点,(b-3)カニューラ本体部の左右端部について,本願意匠は,斜めにカットした形状であるのに対して,引用意匠は,カニューラ本体部の管に対してほぼ直角に真っ直ぐカットした形状である点(c)鼻孔管の形状について,本願意匠は,直線状の管が側面視水平状に突出しているのに対して,引用意匠は,側面視円弧状に湾曲した管が突出している点,に差異が認められる。
(3)類否判断
そこで検討するに,共通点の態様のうち,共通点(A)の態様は,この種の物品の分野においては,他にも見られるものであるし,また,両意匠を概括的に捉えたものに過ぎず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかない。共通点(B)の態様も,普通に見受けられる態様であって,かつ,物品に求められる機能的なものともいえ,この点も両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。そして,共通点全体としても両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠を見る者に別異の印象を強く与えるものであるから,両意匠の類否判断を決定付けるものというべきである。
すなわち,差異点(a)に係る態様は,両意匠の形状全体に係る大きな差異であるから,その差異は,両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいものといえる。次に,差異点(b-1)に係る態様は,カニューラ本体部における具体的な形状における差異であって,視覚的に目立つものといえ,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。さらに,差異点(b-2)に係る態様については,カニューラ本体部の目に付き易いところの差異であるとともに,引用意匠の態様は,特徴的なものであるからこの差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるといえる。また,差異点(b-3)に係る態様については,カニューラ本体部の端部に係る部分的なもので,それのみでは両意匠の類否判断に与える影響は小さいが,差異点(a)及び同(b-1)ないし同(b-2)に係る態様と相俟って,両意匠が別異であるとの印象を一層強くするものであるから,これらの差異点に係る態様全体が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠を見る者に別異の印象を与えているというに十分なものである。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に別異の印象を与えるものであるから,両意匠は類似するということはできない。

4.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-05-25 
出願番号 意願2010-29678(D2010-29678) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 下村 圭子
橘 崇生
登録日 2012-07-13 
登録番号 意匠登録第1448383号(D1448383) 
代理人 千明 武 

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