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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K9 |
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管理番号 | 1264243 |
審判番号 | 不服2012-2376 |
総通号数 | 155 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-02-07 |
確定日 | 2012-09-28 |
意匠に係る物品 | ガイド用ローラ |
事件の表示 | 意願2011-7690「ガイド用ローラ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,2011年(平成23年)4月3日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ガイド用ローラ」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前に日本国特許庁が発行した意匠公報(意匠公報発行日:2002年(平成14年)9月17日)に記載された意匠登録第1153244号(意匠に係る物品,ガイド用ローラ)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠を対比すると,両意匠は,意匠に係る物品が,いずれも「ガイド用ローラ」であって一致し,形態においては,(A)ローラ部の全体形状を略倒円柱形状とし,その軸心に支持軸を貫通させ,ローラ部右側の小口面に支持軸の軸頸部を突出させた構成とし,(B)該ローラ部は,転がり軸受を内蔵する,左右二つの略同径同幅の扁平なローラを,同支持軸上で当接させてなるもので,ローラ部周側面に表れる該当接線上に,左右二つにわたった状態の断面略半円弧状の溝部を周設した態様であり,(C)ローラ部右側小口面の横手に,支持軸と同心円状に略円盤状の鍔部を突設した点において,主に共通するところである。 他方,両意匠は,(ア)ローラ左側小口面の態様について,本願意匠は支持軸左端を,六角穴付きの皿ねじによって左側からねじ止めし,該ねじ頭頂面と左側小口面とを面一にした態様であるのに対して,引用意匠は,支持軸の左端部の扁平たる形の鍔をローラ左側小口面に残し,段状突部としている点,(イ)軸頸部の態様について,本願意匠のものは,軸頸部左右略中央に,軸固定ねじ受け用の,やや太幅の帯状溝部を周設し,かつ,軸右端近傍に,止め輪受け用の,極細幅の溝部を周設したものであるのに対し,引用意匠のものは,右半部外周にねじ山を形成したものである点,(ウ)軸頸部の太さについて,本願意匠は,最小径部においても,その直径がローラ部直径に対して約40パーセントの太さのものであるのに対し,引用意匠は,これが約30パーセントの太さのものである点,(エ)軸頸部の配置について,本願意匠のものは,ローラの中心軸に対してやや偏心したものであるのに対し,引用意匠のものは偏心していない点において,主に相違する。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,当該評価を総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断すると,両意匠は,意匠に係る物品が一致するものの,形態については,共通点(A)と同(B)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるし,また,この種物品分野において極めて基本的な構成を記述したに過ぎないものであり,同(C)の態様も,この種物品の先行意匠に照らすところ,極一般的な態様であることから,これらの各共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるというほかなく,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対して,相違点(ア)と同(イ)については,両意匠の基調をそれぞれに形成しているものであって,両意匠の形態全体の美感に及ぼす影響は大きく,また,同(ア)が,ローラ部と支持軸との係止状態の相違をもたらすものであり,同(イ)が,支持体と接合する際の,接合方法を大きく異ならしめるものであることに加え,同(イ)における本願意匠の態様が,この種物品分野の先行例に照らすところ,本願意匠の特徴をあらわしているところであることを考慮すると,両相違点は,需要者の注意を強く惹くものであり,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。 そして,その他の相違点も,上記の各相違点とともに,両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすところであり,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものであるということはできないから,同法同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審においてさらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-09-14 |
出願番号 | 意願2011-7690(D2011-7690) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K9)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 並木 文子、中村 純典 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
下村 圭子 橘 崇生 |
登録日 | 2012-10-12 |
登録番号 | 意匠登録第1454905号(D1454905) |