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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K1
管理番号 1264259 
審判番号 不服2012-3944
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-02-29 
確定日 2012-10-10 
意匠に係る物品 スクリュードライバー 
事件の表示 意願2011-3822「スクリュードライバー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,本意匠を意願2011-3691号とする関連意匠の意匠登録出願であって,2011年(平成23年)2月23日に出願されたものであり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「スクリュードライバー」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用した意匠は,下記のインターネットに掲載された写真に現されたとおりのものである(別紙第2参照)。


電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2010年 5月10日
受入日 特許庁意匠課受入2010年 5月14日
掲載者 Hilti Corp.
表題 SD 5000-A22 Cordless drywall
screwdriver
掲載ページのアドレス http://www.hilti.com/holcom/page/module/product/prca_rangedetail.jsf?lang=en&nodeId=-13937
に掲載された「携帯用電動ドライバー」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22005090号)


第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠を対比すると,本願意匠の意匠に係る物品は「スクリュードライバー」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「携帯用電動ドライバー」であって,表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載並びに引用意匠に係る文献の記載等を総合すれば,両意匠の意匠に係る物品は共通しており,形態においては,(A)正面視において,本体部左端から略水平に形成したスクリュービット部を延伸して本体部を形成し,該本体部右端下方から,右斜め下方向にグリップ部を設けたものであって,全体で略ピストル形状としたもので,両意匠ともにコードレスの電動工具であるから,グリップ下端にバッテリーパック部を備えたものであり,(B)各部を正面視すると,本体部は略横長平行四辺形状,スクリュービット部は略倒縦長台形状,バッテリーパック部は略横長長方形状のものとし,(C)本体部の上下略中央の高さに,正面側から右側面を介し背面側に連なる凹部を設け,当該凹部の正面視の態様を,先端部斜裁椎の実形状のものとするとともに,(D)正面視グリップ部上端左側の,本体部との角部に,略倒立「L」字状のレバーを設け,(E)バッテリーパック部において,前面から左右側面にかけて,短,中,及び長の3本の横溝を設け,少なくとも正面側に略倒立台形状のバッテリーパック着脱用ボタンを設けた点において,主に共通する。

他方,両意匠は,(ア)本体部の態様について,(ア-1)本願意匠は上面右端部(請求人がいうところの「後頭部」)を,右端に向け漸次厚さを増す態様とするとともに,上面の左端近傍から右端の,上面視略横長楕円形状の部位を,垂直断面形状がゆるやかな凸円弧状となる曲面としたものであるのに対し,引用意匠は,該部を平坦面としたうえで,正面視扁平「コ」の字状のフックを突設したものである点,(ア-2)本願意匠は正面視左端下方角部を,倒立台形状に下方へ大きく突出させたものであるのに対し,引用意匠は,該部をほぼ直線状としているものである点,(イ)スクリュービット部と本体部の正面視における横方向の長さの比が,本願意匠は約1:1であるのに対し,引用意匠はこれが約2:3である点,(ウ)スクリュービット部の態様について,本願意匠のものは,周面に,円周方向に直交する滑り止め用の凹溝を一定間隔毎に設けた大径リング部を,付け根部近傍に設けたものであるのに対し,引用意匠のものは,かかる大径リング部を有さない点,(エ)バッテリーパック部について,本願意匠はフック部の無いものであるのに対し,引用意匠は,上面と周側面との角の面取り部にフックを設けている点において,主に相違する。

2.本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,当該評価を総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断すると,両意匠は,意匠に係る物品が共通するものの,形態については,共通点(A)と同(B)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり,また,共通点(C)と同(D)の各態様も,この種物品の先行意匠に照らすところ,一般的な態様であることから,これらの各共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるというほかなく,共通点(E)についても,極めて部分的なものであり,形態全体に及ぼす影響も極微弱であり,類否判断に影響を及ぼす程のものとは言い得ず,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対して,相違点(ア)ないし(ウ)の各点については,両意匠の基調をそれぞれに形成しているものであって,両意匠の形態全体の美感を大きく異ならせるものであり,とりわけ,相違点のうちの本願意匠に係る態様は,本願意匠に特徴的なものであって,類否判断に大きな影響を及ぼすものである。また,相違点(エ)も,上記の各相違点とともに,両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすところであり,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。


第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものであるということはできないから,同法同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審においてさらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-09-20 
出願番号 意願2011-3822(D2011-3822) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 橘 崇生
下村 圭子
登録日 2012-10-26 
登録番号 意匠登録第1456519号(D1456519) 
代理人 長門 侃二 

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