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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 K6 |
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管理番号 | 1265877 |
審判番号 | 不服2010-15129 |
総通号数 | 156 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-06 |
確定日 | 2011-01-18 |
意匠に係る物品 | 攪拌機 |
事件の表示 | 意願2009-5823「攪拌機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成21年3月16日の意匠登録出願に係り,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「攪拌機」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするもので,意匠の説明の欄の記載によると「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。一点鎖線で囲まれた部分が意匠登録を受けようとする部分である。なお,参考図1は,本物品である攪拌装置の平面図の一部拡大図である。また,参考図2は,本物品である攪拌装置の斜視図である」としたものである(別紙第1参照)。 2.原査定の拒絶理由 本願は,原査定において,「この意匠登録出願は,意匠に係る物品を攪拌機とし,容器ホルダを有する回転板部のうち平板部の特定部分を部分意匠とするものですが,出願前より攪拌機の回転部に2つの容器ホルダを向かい合わせに設けることは既に公知となっており(引用意匠1),回転板部の模様についても攪拌機等回転板を有する分野ではよく用いられる態様(引用意匠2,3)としているに過ぎないものであることから創作容易な意匠と認められます。 引用意匠1 特許庁意匠課が2005年2月28日に受け入れた PDM-300,1K,2K 第2頁所載 ペーストミキサーの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HD17001370号) 引用意匠2 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2001-253449 図1の3に表された攪拌板の相当する部分の意匠 引用意匠3 特許庁意匠課が2003年6月30日に受け入れた MIKRO 22 第6頁所載 遠心分離機用ローターの相当する部分の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HD15014072号)」との理由で,意匠法第3条第2項の規定に該当するとして,拒絶すべき旨の査定がなされたものである。 3.当審の判断 (1)本願意匠 本願意匠は,攪拌機に係るものであって,略直方体の本体で,前面が台形状に突出し,その傾斜上面に倒立台形状の操作部又は表示部を設け,本体上面に略正方形板状のふたがあるものの開蓋状態を表したもので,本体中央に円筒状凹部があり,そこには機構部分のカバーとなる丸い回転板が備え付けてあり,その円板には平面視で3時と9時の方向に,対向するように,中心に向けて斜めに傾けた容器ホルダを設けたものであるが,その円板の容器ホルダ部を除く外縁寄りの扇面状部分2か所を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とし,その内の1か所には,10時,11時,12時,1時,2時の位置に,30度ずつ均等に放射状に幅のある直線が引いてあり,もう1か所には,対称的に4?8時の位置に直線が引いてある(請求人は,装飾を施したとしている。)。 (2)引用意匠 (a)意匠1(別紙第2参照) 意匠1は,略直方体状の本体の上面ふたを開けた所に円筒状凹部を設け,その回転部に2つの容器ホルダを向かい合わせに設けたものである。 (b)意匠2(別紙第3参照) 意匠2は,前後に動く攪拌用の板であって,ドーナツ状の円板で,そこに45度ずつ均等に放射状に8本のスリットを設けたものである。 (c)意匠3(別紙第4参照) 意匠3は,略円板状の遠心分離機用ローターであって,8本の放射状直線部が設けられているが,これは剛性を高めるための上に突出した半円状のリブである。 (3)検討 本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は,攪拌機における,機構部分のカバーとなる回転円板の容器ホルダ部を除く外縁寄りの扇面状部分2か所であって,その部分には,放射状に直線模様が5本ずつ施してあるのに対し,意匠1には,対応する扇面状部分があるものの放射状直線模様が表れておらず,意匠2の放射状部は,8本のスリットであり,意匠3の放射状部は,8本の凸条リブであって,本願意匠の扇面状部における放射状直線模様が表されておらず,意匠1に意匠2や意匠3の放射状部を組み合わせたとしても形成されるものではない。 そうすると,本願意匠は上記引用意匠と,部分的ないしは概念的に共通する点があったとしても,本願意匠の形状は公然知られたこれらの形状を組み合わせてできたものとは言えず,単に円板の容器ホルダ部を除く外縁寄りの扇面状部分2か所に放射状に直線模様を施しただけとは言え,創作行為があったと言わざるを得ず,これらの意匠を基に容易に想到することができたとは言えない。 以上のとおりであって,本願意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。 4.むすび したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2011-01-04 |
出願番号 | 意願2009-5823(D2009-5823) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(K6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 北代 真一 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2011-02-25 |
登録番号 | 意匠登録第1410187号(D1410187) |