ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5 |
---|---|
管理番号 | 1267038 |
審判番号 | 不服2009-6263 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-03-24 |
確定日 | 2009-11-09 |
意匠に係る物品 | 取付け用便器 |
事件の表示 | 意願2008- 12049「取付け用便器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は、本意匠を意願2008-11786号とし、物品の部分について意匠登録を受けようとする平成20年(2008年)5月15日の意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を、「取付け用便器」とし、その形状を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、薄墨を施した部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(取付け用便器の前面部)としたものである(以下、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を、「本願意匠」という。)。(別紙第1参照) これに対して、原審において、拒絶理由を、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物である、独立行政法人工業所有権情報・研修館が平成17年(2005年)2月21日に受け入れた「Peruzzo Periodici Srl」が発行した外国雑誌である「LA MIA CASA」(発行国:イタリア)371巻の第105頁に所載された取付け用便器の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB17002039号)の、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分(以下、「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同法同条同項の規定により意匠登録を受けることができないものとし、その後、本願について拒絶の査定をしたものである。 そこで、本願意匠と引用意匠との類否を検討すると、両意匠は、壁面に取り付けられる便蓋を有する便器の前面部に相当する部分であって、形状について、共通点として、(A)便蓋部と便座部(便器の便蓋部を除く部分をいう。)とを上下方向に重ねて構成し、その重なる前面部を、正面視略矩形状とし、その左右両端より前方へと膨出させ、便蓋部を、正面視細幅帯状の横長矩形状の垂直面とし、便座部を、下端が上端より奥とする前屈みの傾斜面とした点が認められ、一方、主な相違点として、(ア)前面部の前方へ膨出する形状を、本願意匠は、便蓋部、便座部とも、横断面緩やかな円弧状として、左右両側の側面との角部を小丸面状とし、便座部の傾斜面の起立角度を約70度としたのに対して、引用意匠は、便蓋部、便座部とも、左右両側の側面との角部を大きな丸面状として、その間の中央部分で前面横幅の約1/3部分を略平坦面状として滑らかに繋ぎ、便座部の傾斜面の角度を本願意匠より垂直寄りとし、(イ)便蓋部の全体の高さに対する厚みを、本願意匠は、約1/5としたのに対して、引用意匠は、約1/10とした点が認められる。ところで、この種の取付け用便器は、人が腰掛けて直接肌が触れるもので、かつ、衛生面や清潔感等も配慮しながら使用されるものであり、便器を形作る基本的な面構成やその各面を繋ぐ角部などの具体的な仕上がり状態が需要者に強い印象を誘発することになり、とりわけ前面部は便器の前面として最初に目にするところで、その具体的な態様は需要者の注意を十分惹くものである。そうとすれば、共通点の態様である前面部が前方へ膨出し、便蓋部の垂直面と便座部の前屈みの傾斜面とで構成される点が共通しているとしても、その膨出する具体的な態様の相違点として、とりわけ、(ア)において、本願意匠が、便蓋部、便座部とも、横断面緩やかな円弧状として略全面を湾曲面とするものであって、引用意匠の便蓋部、便座部とも、左右両側を大きな丸面状として、中央部分を略平坦面状とする態様とは、明らかに異なる面構成であり、通常の使用の状態である斜視状態からみても、この面構成の相違が視覚的に明確に識別できるものである以上、既に相違点が共通点を凌いで、両意匠が与える印象は異なるものとなり、さらに加えて、(ア)における便座部の傾斜面の起立角度の相違及び(イ)便蓋部の厚みの相違を伴うことから、両意匠は意匠全体として異なる美感を起こさせるものである。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致するとしても、形状において、相違点が共通点を凌駕し、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。 以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2009-10-23 |
出願番号 | 意願2008-12049(D2008-12049) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D5)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 加藤 真珠、松尾 鷹久 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
淺野 雄一郎 杉山 太一 |
登録日 | 2009-12-25 |
登録番号 | 意匠登録第1379059号(D1379059) |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 松下 満 |
代理人 | 井野 砂里 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |