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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1267045 |
審判番号 | 不服2012-5036 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-16 |
確定日 | 2012-11-12 |
意匠に係る物品 | 自動車用ステアリングハンドル |
事件の表示 | 意願2011- 4255「自動車用ステアリングハンドル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は,2011年(平成23年)2月28日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「自動車用ステアリングハンドル」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,2008年12月18日に特許庁普及支援課が受け入れた,2008年11月28日発行の『国際事務局意匠公報(CD-ROM番号:No.10/2008)』に記載された国際意匠登録第DM/070016号の自動車用ステアリングハンドルの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH20505544号。以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 両意匠を対比すると,両意匠は意匠に係る物品が一致しており,その形態においても, (A)全体を,正面視略円形状のセンターパッドを中心として,そこから左右及び下方向の略T字状に延伸する3本の太幅支持部(以下,「左右支持部」及び「下方支持部」という。)を介して,外側のリムを,センターパッドと略同心円状に形成した点, (B)センターパッドの正面側を略扁平円錐台形状とし,正面の円形頂面に大小の同心円状区画線を設け,そのうち中心の最小円区画線の直径を,円形頂面の直径の略三分の一とし(以下,この最小円区画線を「センターパッド中心区画線」といい,この区画線内領域を「センターパッド中心小円部」という。),外周円とそのやや内側の大円区画線(以下,「センターパッド周縁区画線」という。)との間の部位を細縁状とし,センターパッド中心区画線とセンターパッド周縁区画線の間に広幅の円環状部(以下「センターパッド中間円環部」という。)を設けた点, (C)左右支持部は,センターパッドの中心よりやや上方を起点として,それぞれセンターからリムに向かって,下方ラインをごく僅かに倒「ハ」字状に,上方ラインを,僅かに「ハ」字状として縮径しており,下方支持部は,左右支持部よりやや太幅で,幅中央に正面視縦長の貫通孔を設けた点が,主に共通するものである。 しかしながら,(ア)3本の支持部の具体的構成態様について, 本願意匠は,3本の支持部が,センターパッドの裾野の高さから延伸しており,下方支持部は,縦長貫通孔を境として一対の左右対称の幹状部を形成しており,左右それぞれのセンターパッドと接する部位が,センターパッドに添って略四半円弧の細枝状に分岐延伸して,センターパッド下半弱部位を抱持外嵌する略Y字形状を呈し,左右支持部は,前記略四半円弧状分岐部の外形線の延長円周線上の円弧を切り替え線として,正面側下方広幅部を平坦面とし,上方細幅部を切り面状とした態様であるのに対して, 引用意匠は,3本の支持部が,センターパッドの頂面の高さから延伸しており,下方支持部は,その中央ややリム寄り部位に,略T字形状の別部材(以下「T字形部材」という。)を嵌め込んだ態様であり,このT字形部材は,センターパッド寄りの支持部全幅に及ぶ極細帯部と,この極細帯下辺中央大部分からリム手前までの長手方向の太帯部から成り,縦長貫通孔は,このT字形部材の縦中央に広幅に設けられていて,貫通孔のセンターパッド寄りの上辺は,リム寄りの下辺よりごく僅かに長い略縦長逆等脚台形状を呈しており,左右支持部は,正面側の下方細幅部を急傾斜面,上方広幅部を緩斜面とこれにつづく湾曲面として,正面下方寄りに稜線が形成されている点, (イ)センターパッドの具体的態様について, 本願意匠は,正面の略扁平円錐台形状の円形頂面は,センターパッド中心小円部のみを,その周囲の略平坦面からごく僅かに凹ませた形態であり,略扁平円錐台形状の周側面は,その断面が凹面状であり,背面側は左右支持部間の部位が切欠かれた逆円錐台形状をなすのに対して, 引用意匠は,円形頂面は,センターパッド中心小円部が,その周囲より凹んだ略平坦面をなし,センターパッド中心区画線のやや外側には,一回り大きな同心円状の区画線が形成され,この区画線とセンターパッド中心区画線に挟まれた面は,外側が高く内側が低い傾斜面であり,そのすぐ外側のセンターパッド中間円環部の面は,内側が高く外側が低い傾斜面であり,センターパッド周縁区画線からの細縁部は凸部を形成し,略扁平円錐台形状の周側面は,その断面が凸面状であり,センターパッド正面の円形頂面部は,阿蘇山のように複輪状の態様をなす態様であり,背面側は不明である点が,主として相違しているものである。 両意匠を意匠全体として比較するとき,共通点は両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎず,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできないのに対して,上記の具体的構成態様の相違,特に,相違点(ア)の本願意匠の下方支持部が,中央の縦長貫通孔を境として一対の左右対称の幹状部を形成しており,左右それぞれの中心寄り部が,センターパッドに添って,略四半円弧状の細枝状に分岐延伸してセンターパッド下半弱部位を抱持外嵌する略Y字形状を呈する形態である点は,本願意匠の特徴をなすものであって,相違点(イ)の目に付く部位での態様における相違点と相俟った効果は,両意匠の類否判断を決定付けているといい得るものであり,本願意匠と引用意匠それぞれが生み出す美感は大きく異なり,全体として別異の印象を看者に与えているから,両意匠は,意匠全体として類似するということはできない。 したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審においてさらに審理した結果,本願意匠について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-10-26 |
出願番号 | 意願2011-4255(D2011-4255) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川崎 芳孝 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
早川 治子 橘 崇生 |
登録日 | 2012-12-07 |
登録番号 | 意匠登録第1459218号(D1459218) |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 柳生 征男 |