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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4 |
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管理番号 | 1267047 |
審判番号 | 不服2012-6812 |
総通号数 | 157 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-01-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-04-13 |
確定日 | 2012-11-19 |
意匠に係る物品 | 天井野縁の取付金具 |
事件の表示 | 意願2009- 28825「天井野縁の取付金具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとした,平成21(2009)年12月10日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「天井野縁の取付金具」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用した意匠は,特許庁が平成8(1996)年1月12日に発行した登録実用新案公報掲載の実用新案登録3019988号,考案の名称「野縁用取付クリップ」の【図1】ないし【図4】の野縁用取付クリップの意匠(以下,「引用意匠」という。また,本願意匠に相当する部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)両意匠の対比 両意匠を対比すると,本願意匠は,「天井野縁の取付金具」であって,引用意匠は,「野縁用取付クリップ」であるが,いずれも,天井パネルが取付けられる野縁を野縁受けに挟持させて吊下げ保持する表裏一組みの取付金具のうちの片側の取付金具に関するものであるから,意匠に係る物品が共通する。 また,本願部分と引用相当部分は,野縁の取付金具の,野縁の開口部に係止するための係止片とそれを支持する垂直部(以下,「垂直部」という。)の下方部分に係る外形状に関するものであるから,両部分の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,共通する。 両部分の形態については,主として以下の共通点及び差異点がある。 1)共通点 (A)垂直部を薄い板状とし,下端を側面視略L字状に折曲して帯状の水平部を有する底面部を設け,底面部の正面視左右両側を正面視略凹字状に立ち上げて折曲片(以下,「折曲片」という。)を形成した点,(B)折曲片は,側面視略横長長方形状で,外側の角が隅丸である点において主に共通する。 2)差異点 (ア)垂直部の正面視の左右辺の形状について,本願部分は,底面部側に向かって円弧状に底面部の折曲部まで幅が拡がっているのに対して,引用相当部分は,底面部の外側寄りの左右に余地部を残して左右片が垂直状に形成されている点,(イ)折曲部の正面視の具体的態様について,本願部分は,折曲部が左右上方に向かって斜状に拡がって設けられ,垂直部との隙間が略V字状であるのに対して,引用相当部分は,折曲部が左右上方に向かって角部を円弧状とした垂直状に設けられ,垂直部との隙間が略L字状である点,(ウ)折曲部の側面視の具体的態様について,本願部分は,上辺の左右の角が隅丸状の横長長方形状であるのに対して,引用相当部分は,背面側の辺が斜状の略台形状である点に主な差異が認められる。 (2)類否判断 そこで検討するに,共通点(A)及び同(B)は,この種の物品の分野においては,他にも見られる,ありふれた態様であり,かつ,両部分の全体形状を概括的に捉えたものに過ぎず,これらの点が本願意匠と引用意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,下記考察のとおり,差異点に係る態様は,目に付き易い部分であり,両意匠の需要者が重大な関心をもって見るものであるから,これらの差異点が相俟って生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものというべきである。 すなわち,差異点(ア)は,垂直部の正面視の左右辺の形状についての差異であるが,この種の物品分野において,左右辺の形状は目立つ部分における顕著な差異といえ,その差異は,本願部分と引用相当部分の当該部分の形状の違いを印象付け,需要者に本願部分と引用相当部分の垂直部に対して,別異の印象を与えるものである。次に,差異点(イ)は,折曲部の正面視の具体的態様における差異であって,それが垂直部との隙間の形状の差異となって現れ,係合の違いとなって現れるもので,需要者の目に付き易い部分に係る明瞭な差異であり,両部分における当該部分の差異は,無視することのできないもので,その差異は,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。また,差異点(ウ)に係る態様は,折曲部の側面視の具体的態様についての差異であるが,その形状の違いは,需要者に与える印象を異ならせるものといえ,両部分の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 そうして,これらの差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,上記共通点を凌駕するものであって,生起する美感を異にしていると認められる。 以上のとおり,本願意匠と引用意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途・機能及び位置・大きさ・範囲が共通するものであるが,形態の差異点全体が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれをはるかに凌駕し,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 4.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-11-01 |
出願番号 | 意願2009-28825(D2009-28825) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 久美、柵山 英生、正田 毅 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
川崎 芳孝 遠藤 行久 |
登録日 | 2012-12-21 |
登録番号 | 意匠登録第1460183号(D1460183) |