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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1268311 |
審判番号 | 不服2012-4817 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-03-13 |
確定日 | 2012-12-12 |
意匠に係る物品 | 電動アシスト自転車用フレーム |
事件の表示 | 意願2010- 30563「電動アシスト自転車用フレーム」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は,2010年(平成22年)12月3日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電動アシスト自転車用フレーム」とし,その形態を願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,2008年11月5日に独立行政法人工業所有権情報・研修館が受け入れた,『デザイン保全広報 2008年10月31日191号』第7頁に記載された「電動アシスト自転車用フレーム」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA20009094号。以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同誌の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 両意匠を対比すると,両意匠は意匠に係る物品が一致しており,その形態においても,(A)サドルを支持するための,斜め後ろにやや傾斜した太径の支柱(以下「サドル支柱」という。)を中心として,略前半を,このサドル支柱下端から前方に延伸し,途中で曲がって斜め上方向に立ち上がる1本の太径フレームとし(以下「前方フレーム」という。),その先端に略T字状に短いヘッドパイプを配し,略後半を,左右一対4本の後方に延伸する細径フレーム(以下「後方フレーム」という。)及びサドル支柱下端において前方フレームと後方フレームを接続する接続板とした全体構成,(B)サドル支柱は,その上方後ろ側に正面視小矩形状の凸部を設け,サドル支柱下端の接続板は,左右一対で,前後のフレームに跨り,正面視略倒タツノオトシゴ形状である点,(C)後方フレームは,サドル支柱の上方から左右に分岐して後下方に伸びる2本のフレーム(以下,「後上方フレーム」という。)と,サドル支柱の下端から接続板を介して,左右に分岐して後方に伸びる2本のフレーム(以下「後下方フレーム」という。)からなり,左右それぞれ,上下2本のフレームが後下方において収斂しており,後上方フレームは,その前方の短い部位が緩傾斜で,その後略へ字状に屈曲して後方大部分は急傾斜となり,後下方フレームは,それ自体は直線状であるが,接続板の略後半部とは,僅かに内側に屈曲した状態で接続していて,そのため,後上方フレームの前方部位と接続板の略後半上端の内側の線は平行であり,後上方フレームの後方大部分と後下方フレームとが鋭角をなし,サドル支柱,後上方フレーム,後下方フレーム及び接続板略後半部とで形成される形状が,サドル支柱を底辺とする後傾略横長長方形とその後ろの三角形からなる点,等が共通するものである。 しかしながら,(あ)前方フレームの態様について,本願意匠は,前方フレーム全長の後方略4分の1部位が直線状,その前方の略4分の1部位で上方向に湾曲し,残りの前方略2分の1部位は反対方向にごく緩やかに湾曲しており,ヘッドパイプ上端位置がサドル支持フレーム上端位置よりもかなり高く,また,切断面の端面形状が,略円形の上半分強がやや尖った放物線形状で,下半弱がこれよりやや拡がった放物線形状で,この上下の境目において,正背面視のフレーム長手方向に稜線があるのに対して,引用意匠は,前方フレーム全長の後方略5分の2部位が下向きの直線状であり,その前方で曲率を大きく湾曲させ,前方略5分の3を上向きの直線状とし,ヘッドパイプ上端位置がサドル支持フレーム上端位置と略同高で,切断面の端面形状は不明であるが,正面視のフレーム長手方向に稜線は存在しない形態である点,(い)後上方フレーム屈曲部以降の後方大部分と後下方フレームについて,本願意匠は,後上方フレームの後方大部分と後下方フレームとが,略等辺をなし,後上下フレームが収斂した位置が前方フレームの屈曲部,すなわち前方フレームの最低位置よりやや下方に位置するのに対して, 引用意匠は,後上方フレームの屈曲部以降の大部分のほうが,後下方フレームより長く,後上下フレームが収斂した位置が前方フレームの屈曲部,すなわち前方フレームの最低位置と略同高に位置する点,等が相違するものである。 共通点と相違点それぞれが,類否判断に及ぼす影響を意匠全体として比較すると,共通点(A)ないし(C)は,電動アシスト自転車のフレームにおいて,すでに知られた形状であって,類否判断を決定付けるには到らないものであるのに対して,相違点(あ)及び同(い)が,類否判断に及ぼす影響は,非常に大きく,類否判断を支配するものといえる。すなわち,この種の電動アシスト自転車において,フレームの正面視の形状は,自転車全体の印象を左右するとも言えるものであるところ,サドル支柱と前後のフレーム及び接続板からなる全体形状として,本願意匠は,前方フレームの前方部分が,後方の湾曲部と反対方向に僅かに湾曲して前上方にサドル支柱上端よりも高く延伸する形態が,その端面形状とも相俟って,前上方に伸び上がるような印象を与えるのに対して,引用意匠は,サドル支柱と前フレームの上方位置はそろい,前フレームの屈曲部と後方フレーム後端の収斂位置が共に最低部に位置しており,また,前フレームの屈曲も,間に湾曲部を挟んで,その前後は単純な直線状をなしているため,前後にどっしりとした印象を与え,看る者に全く異なる印象を与えるところとなっている。 以上のとおり,共通点が類否判断を決定付けるに到らないのに対し,相違点が類否判断に及ぼす影響は非常に大きく,相違点全体として類否判断を支配していると言えるから,両意匠は,意匠全体として類似すると言うことはできない。 したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審においてさらに審理した結果,本願意匠について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-11-29 |
出願番号 | 意願2010-30563(D2010-30563) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川崎 芳孝 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 早川 治子 |
登録日 | 2013-01-18 |
登録番号 | 意匠登録第1462473号(D1462473) |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 高橋 詔男 |
代理人 | 高柴 忠夫 |