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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1268320 
審判番号 不服2012-6503
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-10 
確定日 2013-01-07 
意匠に係る物品 フォークリフトトラック 
事件の表示 意願2011- 7934「フォークリフトトラック」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は,2011年(平成23年)4月6日の,意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「フォークリフトトラック」とし,その形態を願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:1998年(平成10年)5月13日)に記載された意匠登録第917179号の類似意匠登録第13号(意匠に係る物品,フォークリフトトラック)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

両意匠を対比すると,両意匠は意匠に係る物品が一致しているが,その形態については,以下のとおりの共通点及び相違点がある。(なお,両意匠の形態を対比するにあたって,両意匠とも,フォークの有る方を前方とする。)
まず,共通点として,(A)全体は,車体前方をフォーク部とし,車体中央前方を運転操作部及び床面とし,車体中央後方をフード部と運転席として,車体中央全体をヘッドガードで囲い,車体後方をウェイト部とした構成であり,車体中央のフード部から後方のウェイト部にかけて一続きの略横長直方体形状として床面から隆起させて,上面を後方に向かってやや高くなる傾斜面として,その前方に運転席シートを設け,車体後方のウェイト部を,平面視で左右端から縦中央に向かってなだらかに膨出させた点,(B)フォーク部は,マストを左右前輪幅より狭い間隔で二本直立させ,その前方にマストの幅より広い略矩形枠状のバックレストを直立させ,バックレスト前方に略倒L字状に二本のフォークを設けた点,(C)ウェイト部について,後方視で上下に略2分した上部の幅中央に略横長長方形状の開口部を設け,下部を後輪間に垂下するバンパー部とした点,(D)ヘッドガードは,フレームを含む全体として,側面視が略台形状をなす略四角錐台形状である点,等がある。
一方相違点として,(あ)フード部からウェイト部にかけての,上面と,前面,側面及び後面の角部の態様について,本願意匠は,全周を切り面状に面取りをし,そのうち,前方と側面との境界角部から,側面後方までは,切り面部の稜線が明確に視認され,この稜線の後端は,左右それぞれやや上方内側に向かって跳ね上がる斜線をなしているのに対して,引用意匠は,上面から前面にかけては丸面状,前面以外の三方にかけては緩やかな面取りをして稜線が明確に視認できないものである点,(い)ウェイト部の膨出態様について,本願意匠は,縦中央部の曲率が大きく,やや尖った面をなしているのに対して,引用意匠は,全体が均一な円弧状面である点,(う)ウェイト部の上面から後方面にかけての切り面の上下の幅及び傾斜の程度について,本願意匠は,細幅で傾斜が急であるのに対して,引用意匠は,やや太幅で傾斜は緩いものである点,(え)開口部の大きさ及び形態について,本願意匠は,開口部が大きく,ウェイト部後面上方の大部分を占め,開口周縁部左右内側に縦長広幅面が形成されており,この縦長広幅面の縦中間に,太いガードバーが,後面視で上下を二分し,かつ,ウェイト部後方の側面視での形状線に添うように架設されているのに対して,引用意匠は,開口部が小さく,ウェイト部後面の上方及び左右に広い余地部を残しており,開口部の中央奥に,小さな略矩形板が視認されるものである点,(お)フード部側方下端の運転席下部において,本願意匠は,両側部から前部に到るコーナ部分に側面視略扁平逆台形状区画部を設けたのに対して,引用意匠は,側部中間で片側にのみ略半楕円形状の凹部を設けた点,等がある。
共通点と相違点が,類否判断に及ぼす影響を意匠全体として比較すると,共通点(A)ないし(D)は,フォークリフトトラックにおいて,すでに知られた形状であって,類否判断を決定付けるには到らないものであるのに対し,相違点(あ)ないし(え)が,類否判断に及ぼす影響は,非常に大きく,類否判断を支配するものといえる。すなわち,この種のフォークリフトトラックにおいて,フード部及びウェイト部は,車体略上半部という,看者の目に付きやすい高さにあり,かつ,車体中央から車体後方に到るまとまった面積を有するため非常に目立つ部位であり,その具体的形態は,フォークリフトトラック全体の印象を左右するとも言える部位であるところ,本願意匠は,後方面中央をやや尖った面として,上面から前面,側面及び後面にかけてをエッジの効いた切り面状とした造形が,やや上方内側に向かって跳ね上がるようなシャープな流れを強調し,開口部は上下左右に大きく拡がっており,全体として動きのある印象を与えるのに対し,引用意匠においては,後方面は全体が均一な円弧状面で,上面から前面にかけては丸面状,前面以外の三方にかけては緩やかな面取りをしており,開口部も小さく,全体として落ち着いた印象を与えるものであり,両意匠は異なる美感を表現しているから,相違点(あ)ないし(え)が類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。また,相違点(お)は,部分的な相違で,それ自体は類否判断に及ぼす影響は大きくないものの,本願意匠は,略逆台形形状,なかんずく後方の斜線が,フード部からウェイト部にかけての切り面の稜線後端のやや上方内側に向かって跳ね上がる斜線に呼応しており,引用意匠は,フード上面から前面にかけての丸面に呼応していて,それぞれ相違点(あ)と相俟って,類否判断において一定程度の影響を及ぼしている。そして,相違点(あ)ないし(お)は,相違点全体として,それぞれが異なる美感を表現しており,看者に異なる印象を与えるところとなっているから,類否判断に及ぼす影響が非常に大きく,類否判断を支配していると言える。
以上のとおり,共通点が類否判断を決定付けるに到らないのに対し,相違点が類否判断に及ぼす影響は非常に大きく,相違点全体として類否判断を支配していると言えるから,両意匠は,意匠全体として類似すると言うことはできない。
したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審においてさらに審理した結果,本願について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-12-11 
出願番号 意願2011-7934(D2011-7934) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 伊藤 宏幸
早川 治子
登録日 2013-01-25 
登録番号 意匠登録第1462804号(D1462804) 
代理人 長谷川 芳樹 

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