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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1269498 |
審判番号 | 不服2012-7597 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-04-24 |
確定日 | 2013-01-09 |
意匠に係る物品 | 自転車用チェーンケース |
事件の表示 | 意願2011- 12387「自転車用チェーンケース」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は,2011年(平成23年)5月13日の,意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「自転車用チェーンケース」とし,その形態を願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,1996年8月21日に特許庁意匠課が受け入れたカタログ“Faubourg song of the city”第2頁所載 自転車用チェーンケースの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HN08018059号。以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同カタログの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 両意匠を対比すると,両意匠は意匠に係る物品が一致しているが,その形態については,主として以下のとおりの共通点及び相違点がある。(なお,形態の対比にあたっての上下及び前後方向は,車体に取り付けた状態での方向とする。) まず,共通点として,(A)全体は,前ギアカバーにあたる略円環形状板部(以下,「環状部」という。)と上チェーンカバーにあたる略横長細帯形状板部(以下,「帯状部」という。)を,上揃えの横一直線状に連続させた正面視略倒P字形状板と,この略倒P字形状板の周縁の上方及び前方の略倒J字状部位に,略倒P字形状板と略直角状に屈曲形成した縁部からなるカバー体である点,(B)環状部と帯状部の接続部分下方を,環状部外周と接線をなす尻上がりの斜線状とし(以下,この部分を「斜線部」という。),この斜線部と帯状部下辺は略へ字状に交わってコーナー部(以下,「コーナー部」という。)を形成し,斜線部上方に形成された平板状部(以下,「斜線上方部」という。)は,その上下幅を後方に向かって漸減させ,コーナー部下方には凹部が形成されている点,(C)帯状部後端を,正面視略三角形状突片とし,そこに貫通孔を設けた点,等がある。 一方相違点として,(あ)斜線上方部から帯状部にかけての態様について,本願意匠は,コーナー部の曲率半径が小さく,帯状部の下辺は上辺と平行な直線で,帯状部の上下幅は前方から後方まで略等幅であるのに対して,引用意匠は,コーナー部の曲率半径が大きく,また,帯状部の下辺は,ごく緩やかではあるが次第に尻上がりの傾斜状となっていて,帯状部の上下幅が,環状部に近い前方から後端に向かって,僅かに減幅している点,(い)環状部の直径と全長の比率,全長におけるコーナー部の位置,全体に占める環状部及び斜線上方部の表面積について,本願意匠は,環状部の直径と全長が略2:5の比率で,コーナー部は全長の略中間位置にあり,全体の中で環状部及び斜線上方部が非常に大きな面積を占めているのに対して,引用意匠は,環状部の直径と全長が略1:3の比率で,コーナー部は全長の前方寄りの位置にあり,全体の中で環状部及び斜線上方部の面積の占める割合が本願意匠より小さい点,等がある。 これらの共通点と相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を意匠全体として比較すると,共通点(A)は,全体の基本構成に関する共通点ではあるが,この種物品の機能として要求される前ギア周辺とチェーン上方部を一体的にカバーするための構成にすぎず,類否判断に及ぼす影響は一定程度に止まり,共通点(B)も,形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないから,類否判断に及ぼす影響はやはり一定程度に止まり,共通点(C)は,意匠全体に占める面積が小さく,また,車体後方のフレームへの取付け固定部の形状として,この種物品の該部形状として例示するまでもなくありふれた形状であるから,類否判断に及ぼす影響は微弱である。そして,共通点(A)ないし(C)が相まった効果を検討しても,共通点全体として類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まると言える。 一方,相違点(あ)は,環状部後方から帯状部後端にかけての長い領域における相違であり,この長い領域での上下の辺の正面視の線形状を観察するとき,上辺の線が,物品の性格上両意匠とも横一直線状をなす単調な線であるのに対して,下辺の線は,途中で線の方向が転換する変化のある線であるため,下辺の線の相違は,看者の注意を惹くものであると言え,環状部後方から帯状部後端にかけての下辺の線について,本願意匠は,その大部分を横一直線の直線と斜線が占めており,コーナーのごく僅かな部位のみを曲率半径の小さな湾曲線としているのに対して,引用意匠は,コーナーの曲率半径が大きいために湾曲線が占める範囲が広く,コーナーでの曲線部分が占める比率が大きく,そのため,本願意匠は,環状部から帯状部にかけての下方の凹部形状が,直線的で角張った印象を与えるのに対して,引用意匠は,曲線的でなだらかな印象を与え,また,帯状部の幅が前後で等幅であるか次第に減幅するかでも,相違点(あ)は,看者に対して異なる視覚的効果を生んでいるから,類否判断に及ぼす影響は大きい。また,相違点(い)により,本願意匠は,シャープな印象を与えるのに対し,引用意匠は,穏やかな印象を与えるものとなり,相違点(い)は,看者に対して異なる視覚的効果を生んでおり,類否判断に及ぼす影響は大きい。そして,相違点(あ)及び同(い)が相まって生みだす視覚的効果は,共通点全体が生む視覚的効果を凌駕しており,相違点全体として類否判断を支配していると言える。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態においては,共通点全体が両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度に止まるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点全体が生む視覚的効果を凌駕して,類否判断を支配しているから,意匠全体として,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。 したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審においてさらに審理した結果,本願について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-12-18 |
出願番号 | 意願2011-12387(D2011-12387) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 雅美 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
早川 治子 伊藤 宏幸 |
登録日 | 2013-02-15 |
登録番号 | 意匠登録第1464676号(D1464676) |
代理人 | 高柴 忠夫 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 高橋 詔男 |