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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1272503 
審判番号 不服2012-18218
総通号数 161 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-19 
確定日 2013-03-12 
意匠に係る物品 発光ダイオード照明器具 
事件の表示 意願2011- 19689「発光ダイオード照明器具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、2011年(平成23年)8月31日の意匠登録出願であって、その意匠は、願書及び願書添付図面の記載によれば、意匠に係る物品を発光ダイオード照明器具とし、その形態を願書及び願書添付図面の記載のとおりとしたものである(以下、「本願意匠」という。)。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)とするものであって、拒絶の理由に引用した意匠は、本願出願前、2011年1月20日に独立行政法人工業所有権情報・研修館が受け入れた、冨士ライテック株式会社発行の内国カタログ「LED 景観照明」第2頁、中段右側所載の、コードを除く景観照明灯の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC22015301号)であって、その形態は、同カタログの写真に現されたとおりのものである(以下、「引用意匠」という。)。(別紙第2参照)
なお、引用意匠を現す写真は、見出しを「LED Digital Tube」とする製品紹介欄の中に掲載されており、同製品の仕様として「サイズ:80×80×1000mm基本サイズ」の記載があることからすると、同掲載欄における製品紹介の中心は、外形断面が80×80mmの円筒形状投光カバーを有する発光ダイオード照明管であり、引用意匠は、該発光ダイオード照明管を点灯用の本体部に取り付けた状態の景観照明灯を現したものと推認される。

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「発光ダイオード照明器具」、引用意匠の意匠に係る物品は「景観照明灯」であり、本願意匠の願書の説明記載及び引用意匠のカタログの説明記載によれば、前者は室内等の照明を目的とし、後者は屋外での照明を主目的とするものであると認められるものの、いずれも壁面等に取り付けて周囲に投光することを目的とする照明器具であると認められるから、両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(2)形態
本願意匠と引用意匠の形態を対比すると、両意匠の形態には、主として以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。(対比のため、本願意匠の図面における正面、平面等の向きを、引用意匠にもあてはめることとする。)
まず、共通点として、(A)全体は、上方の本体部と下方の投光カバー部とからなる、正面視が横長略矩形状、側面視が略「U」字状の細長い棒状体であり、(B)本体部は、その外形断面を横長略長方形状とした点、(C)投光カバー部は、その外形断面を、円弧を主構成要素とする湾曲形状とした点、がある。
一方、相違点として、(ア)本体部と投光カバー部の接続の態様が、本願意匠は、両部の接続部付近をいずれも平面として面一状に接続しているのに対して、引用意匠では、外形断面がそれぞれ横長略長方形状の本体部と円筒形状の投光カバー部との間に、一定の段差が形成されていると推認される点、(イ)本体部正背面に設けられた横溝の位置について、本願意匠は、左右端部付近まで連続する一本の直線横溝を、取付面(上端縁)と投光カバー接続部(下端縁)との略中間位置に配置しているのに対して、引用意匠では、左右端部付近まで連続する一本の直線横溝を、取付面(上端縁)至近の位置に配置している点、(ウ)左右側面の具体的な構成態様について、本願意匠は、投光カバー部の正背面から両側面に至る外周全体を同一部材による投光面として形成した上で、本体部の側面全面及び投光カバー部の上端部のみを、下端縁の中央部付近が浅い凸矩形状に垂下した形状のエンドキャップで覆っているのに対して、引用意匠では、投光カバー部の側面は投光面とはなっておらず、コード接続のための凹欠部を除く本体部及び投光カバー部の全体を、略「U」字状のエンドキャップで覆っている点、がある。

2.本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価、総合して、両意匠の意匠全体としての類否を判断する。
両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態の類否に係る評価については、以下のとおりである。
(1)共通点の評価
前記認定した両意匠の共通点は、いずれも、両意匠の形状を概括的に捉えた場合の共通点であり、両意匠のようないわゆるライン型照明器具の形状としては、他の意匠にも見られる基本的な形状の一つといえるものでもあるため、この共通点が両意匠全体の類否判断に決定的な影響を及ぼすということはできない。
(2)相違点の評価
一方、両意匠のより具体的な構成態様に係る相違点について見ると、相違点(ア)、すなわち、本願意匠が、本体部と投光カバー部を上下に面一状に接続している点は、そのような構成自体が取り立てて新規な造形であるとはいえないものの、照明器具の正面という需要者の注意を惹きやすい部位に係るものであり、面一状に接続することで上下に段差を生じさせない構成は、全体的にシンプルな本願意匠の造形を特徴付ける大きな要素となっているから、同部に段差が形成されていると推認される引用意匠との比較において、両意匠の類否判断に有意な影響を及ぼすといえる。また、相違点(イ)について、引用意匠では、直線横溝が照明器具本体部の取付面から極薄い帯状片のみを介した至近位置に配置されているために、その横溝の存在は独立して目立たないのに対して、本願意匠では、直線横溝が本体部の高さ方向略中間位置に配置されていることで、その横溝の存在が独立して目立つアクセントとなっており、本願意匠の造形を視覚的に特徴付けるものとなっているため、これも、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすといえる。さらに、相違点(ウ)は、意匠全体に占める面積的な割合は小さいものの、照明器具である両意匠において、本願意匠が投光カバー部の両側面を投光面として形成している点は、特に使用に際して需要者の注意を惹きやすいものといえ、引用意匠とは異なる点であるから、これも、両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすといえる。そして、これら相違点全体が相まった視覚的印象の違いは、両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものとなっている。
(3)小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態においても、概括的に見た場合の共通点は存するものの、具体的な形態に係る相違点が相まって生じる視覚効果は共通点のそれを凌駕し、両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼして、看者に両意匠を意匠全体として別異の意匠と印象付けているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同条同項柱書により、本願意匠について意匠登録を受けることができないとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-02-25 
出願番号 意願2011-19689(D2011-19689) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 朝康加藤 真珠 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 伊藤 宏幸
早川 治子
登録日 2013-04-05 
登録番号 意匠登録第1468916号(D1468916) 
代理人 中井 宏行 

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