ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
---|---|
管理番号 | 1272504 |
審判番号 | 不服2012-19547 |
総通号数 | 161 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-05-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-04 |
確定日 | 2013-03-12 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2011-26166「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2011年(平成23年)11月14日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表している」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)である。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前に,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2008年11月6日に受け入れた「包装技術 2008年11月1日11号」の第4ページに所載の「包装用容器」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA20009316号)(「本願意匠における意匠登録を受けようとする部分と,引用の意匠の当該部とを比較」との記載がある。)であって,その形態は,同月刊機関誌に掲載された写真版のとおりのもの(以下,「引用意匠」,本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」という。)である。(別紙第2参照) 3.当審の判断 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「包装用容器」であって,一致している。 そして,両意匠は,細口を持つ,有底略四角筒状容器であって,その容器本体略中央に水平帯状括れ部を有したものであって,本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠の部分)という。)は,その括れ部分である。 両意匠の部分は,包装用容器本体略中央に位置する水平帯状括れ部分であって,当該容器を持ちやすくするためのものと考えられるため,その用途及び機能,並びに,大きさ及び範囲は,共通していると認められるが,位置に関しては,本願実線部分は,本体中央やや下側であるのに対して,引用相当部分は,本体中央やや上側であって,異なり,この差異点は,括れ部を持って中身を注ぐときの重量バランスに影響を与えることから,看者の注意を引く点であって,類否判断に一定程度の影響を与えるものと認められる。 両意匠の部分の具体的形態については,(a)水平断面形状が略角丸四角本体と,水平断面形状が正円の細径部を,円すい面でつないだものであって,その結果,括れ部上下端と上下本体との境目が,正面視中央が山となる波形に表れる,これらの点が主として共通する。 他方,両意匠の部分には,以下の相違点が認められる。 (ア)括れ部の深さにつき,本願実線部分は浅いのに対して,引用相当部分は深い点,(イ)斜面(円すい面)の形につき,本願実線部分は直線で,細径部と合わせて正面視で断面台形状の溝を形成しているのに対して,引用相当部分は,膨らみ曲線とへこみ曲線から成り立っており,正面視で断面略波形である点,(ウ)細径部の態様につき,本願実線部分は,単なる円筒状であるのに対して,引用相当部分は,中央に段差を設けて溝がある点,で主に相違している。 以上の,両意匠の部分における共通点と相違点を検討すると,共通点は,両意匠の部分の態様を概括したに過ぎないものであることから,この共通性のみをもって類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,両意匠の部分における相違点(ア)については,持ったときの感覚に影響を与える形状の差であるし,この相違点によって,本願実線部分は低く,引用相当部分は高いという,括れ部と本体の境目の波形の高さが異なるという,視覚効果の差異となって表れ,斜面の面積の大小と合わさって,類否判断に大きな影響を与えるものであり,相違点(イ)については,一般的な観察方向であるふかんした状態で見えやすい部分の違いといえ,類否判断に大きな影響を与えるものであり,相違点(ウ)については,ほぼ真横から見なければ観察し得ない細径部の差であるが,類否判断には一定程度の影響を与えるものと認められる。 そうすると,本願意匠と引用意匠に係る物品は一致し,両意匠の部分の用途及び機能,並びに,大きさ及び範囲については共通しているが,位置は異なり,また,形態については,上記のとおり類似しないものといえるから,本願意匠と引用意匠は類似しないものと認められる。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2013-02-28 |
出願番号 | 意願2011-26166(D2011-26166) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 成田 陽一 |
特許庁審判長 |
川崎 芳孝 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 遠藤 行久 |
登録日 | 2013-04-12 |
登録番号 | 意匠登録第1469216号(D1469216) |
代理人 | 稲葉 良幸 |