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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1273864 |
審判番号 | 不服2012-20262 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-15 |
確定日 | 2013-04-09 |
意匠に係る物品 | 包装用缶 |
事件の表示 | 意願2011-27426「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2011年(平成23年)11月28日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面代用の写真に現されたとおりとするものであり,「黒く塗りつぶした缶蓋部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたもの(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」といい,その部分の意匠を「本願部分意匠」という。)である。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前の1991年6月17日に許庁総合情報館が受け入れた,1991年7月2日に発行された内国雑誌「オレンジページ」第13号の第178ページに所載の,「包装用缶」の意匠(以下,「引用意匠」という。特許庁意匠課公知資料番号第HA03013031号)のうちの缶蓋部分以外の部分の形状の意匠(以下,この本願部分に対応する部分を「引用部分」といい,その部分の意匠を「引用部分意匠」という。)であって,その形態は,同雑誌に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)両意匠の共通点 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「包装用缶」であって一致し,本願部分と引用部分(以下,「両部分」といい,それらの部分の意匠を「両部分意匠」という。)は,天蓋,胴部,及び底蓋よりなる3ピース缶の天蓋部分以外の部分であるから,両部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲は一致し,その部分の形態は,全体形状を縦長円筒形状としたものであって,胴部に水平方向の溝(請求理由で言うところの「ビード」。)が2本施されている点で,共通する。 (2)両意匠の相違点 それに対して,具体的構成態様において,(A)水平方向の溝を設けた位置につき,本願部分意匠は,胴部の平坦面を上から約6:1:1と分割されるような位置に設けているのに対して,引用部分意匠は,約4:3:1になるように設けている点,(B)本願部分意匠は,胴部上下端をネックイン加工しているのに対して,引用部分意匠は,ネックイン加工を施していない点,において主な相違点が認められる。 (3)類否判断 本願部分意匠と引用部分意匠を比較すると,共通点は両部分意匠の態様を極めて概括的に捕らえたに過ぎず,共通点が両部分意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいということはできないものであるから,この共通性のみをもって両部分意匠の類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,具体的態様に係る相違点である(A)により,引用部分意匠は,上側の溝(以下,「溝1」といい,下側の溝を「溝2」という。)が胴部略中央高さに位置し,これによって胴部が上下2つに分割されたように見え,胴部下方が溝2によって更に分割されたように認識する態様であるのに対して,本願部分意匠は,胴部の下方約4分の1高さに溝を2本施した態様であり,これは,シンプルな略縦長円筒状の包装用缶における溝による模様をどこに設けるかという差であって,一般的な観察方向で見えやすい胴部周面部分の違いと言え,類否判断に大きな影響を与えるものと認められるものであり,かつ,本願部分意匠に施されたネックイン加工のくぼみ形状が溝のくぼみ形状と似ていることから,相違点(B)によって,本願部分意匠の胴部下方に設けられた溝と下端のネックイン部が相まって関連する模様が形成されているという印象を受ける効果も加わる本願意匠と,ネックイン加工が無く,溝1と溝2が離れている引用意匠は,胴部下側の態様に大きな差異をもたらし,類否判断に影響を与えるものと認められる。 よって,相違点全体が,共通点が生じさせている共通感をしのぎ,見る者に両部分意匠が別異であるとの印象を与えているから,両部分意匠の共通点及び相違点を総合的に判断すると,両部分意匠の形態に関しては類似するということができない。 そうすると,本願意匠と引用意匠に係る物品は一致し,両部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲については一致しているが,両部分意匠の形態については,上記のとおり類似しないものといえるから,本願意匠と引用意匠は類似しないものと認められる。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-03-22 |
出願番号 | 意願2011-27426(D2011-27426) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 神谷 由紀 |
特許庁審判長 |
川崎 芳孝 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 遠藤 行久 |
登録日 | 2013-04-26 |
登録番号 | 意匠登録第1470806号(D1470806) |
代理人 | 特許業務法人創成国際特許事務所 |