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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D4 |
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管理番号 | 1275178 |
審判番号 | 不服2012-24625 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-11 |
確定日 | 2013-05-14 |
意匠に係る物品 | レンジフード |
事件の表示 | 意願2010- 19702「レンジフード」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成22年(2010年)8月11日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「レンジフード」とし,その形態を願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,実線で表された部分が部分意匠として登録を受けようとする部分であるとするものである(以下,本願の意匠登録を受けようとする部分についての意匠を「本願意匠」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)とするものであり,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成17年(2005年)4月25日)に記載された意匠登録第1237931号(意匠に係る物品,換気扇)の該当部分の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(以下,上記登録の本願意匠に相当する部分についての意匠を「引用意匠」という。)。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「レンジフード」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「換気扇」であって,具体的表記は異なるが,本願意匠の願書及び添付図面の記載並びに引用意匠に係る文献の記載等を総合して判断すると,いずれも調理器具からの臭気,熱等を排出するための台所用換気扇であるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能 本願意匠は,一つの送風機によって吸引した室内空気を,フィルタで清浄後排出するための室内空気の吹出口であり,引用意匠は,レンジフード用送風機とは別の送風機を用いて,外部ダクトから屋外の空気を室内に排出するための屋外空気の吹出口であるが,いずれもレンジフードに配設された空気吹出口に係るものであるから,本願意匠と引用意匠の意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能は,共通する。 (3)意匠登録を受けようとする部分の形態 本願意匠及び引用意匠の意匠登録を受けようとする部分の形態は,いずれも横長矩形状の枠体であるが,枠体の縦横比において,本願意匠は約1:5であり,引用意匠は約1:7である点が相違する。 (4)意匠登録を受けようとする部分の位置,大きさ,範囲 本願意匠の吹出口は,全体形状を筐体状とし,その内部にフード部,送風機部及び脱臭フィルタ部を重層して格納したレンジフード本体の,右側面部中央やや下寄りの位置に形成されているのに対し,引用意匠の吹出口は,送風機を格納したレンジフード本体部(以下,「本体部」という。)の前面部分に,本体部上部に配設された2本のダクトを隠す目的で,略直方体状の前幕板を付設し,本体部及び前幕板部の下部に,これらより奥行きのある底面視略矩形状のフード部を設けた態様を持つレンジフードの,前幕板上端部近傍に形成されており,両意匠の意匠登録を受けようとする部分の当該物品全体の形態の中での位置は,大きく相違する。 次に,本願意匠及び引用意匠の吹出口の大きさ,範囲については,当該意匠がレンジフード本体右側面に形成されているのか,前幕板に形成されているのかの違いはあるものの,両意匠の吹出口は,いずれもレンジフード全体の約6分の1の高さ及び全体の幅一杯の横幅を占めるものであるから,両意匠の意匠登録を受けようとする部分の当該物品全体の形態の中での大きさ,範囲は,共通する。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 上記1.(1)乃至(4)より,本願意匠と引用意匠は,いずれも台所用換気扇に係るものであり,また,いずれも空気の吹出口であるから,両意匠の意匠に係る物品,並びに,両意匠の意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能が共通し,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。 まず,共通点として,両意匠の意匠登録を受けようとする部分の大きさ,範囲は,レンジフード全体の約6分の1の高さ及び全体の幅一杯の横幅である点が認められる。 一方,相違点として,(A)意匠登録を受けようとする部分の位置について,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は,レンジフード本体の右側面部中央やや下寄りの位置に形成されているのに対し,引用意匠のものは,レンジフードの本体部ではなく,前幕板上端部近傍に形成されている点,(B)意匠登録を受けようとする部分の形態について,本願意匠の枠体の縦横比は,約1:5であるのに対して,引用意匠のものは,約1:7である点,が認められる。 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価,総合して,両意匠の意匠全体としての類否を判断すると,共通点における本願意匠の大きさ,範囲についての値は,破線で表されたレンジフード全体の態様と当該部分の形態との対比から算出されたものであり,破線部の態様次第で変動するものであるから,上記共通点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は限定的であると言わざるを得ない。 これに対し,相違点(A)については,本願意匠と引用意匠の意匠登録を受けようとする部分の位置の差異は,当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであると言うことはできず,看者に両意匠が別異であるとの印象を与えるものであるので,この相違点が,両意匠の類否判断に与える影響は大きいものと言える。 次に,相違点(B)については,吹出口の態様を横長矩形状の枠体とすることは,この種物品の先行意匠にも数多く見られる態様であり,枠体の縦横比の差異は部分的なものであるものの,この相違点が,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えているものといえる。 3.小括 したがって,本願意匠と引用意匠は,意匠に係る物品,意匠登録を受けようとする部分の用途及び機能,並びに,意匠登録を受けようとする部分の大きさ,範囲が共通する。 また,意匠登録を受けようとする部分の形態についても,縦横比の違いはあるもののいずれも横長矩形状の枠体であって類似するものと認められる。 しかしながら,意匠登録を受けようとする部分の位置の相違は,当該意匠の属する分野において,ありふれた範囲内のものであるとはいえず,具体的形態に係る相違点が相まって生じる視覚効果は,共通点のそれを凌駕し,両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼして,看者に両意匠を意匠全体として別異の意匠と印象付けているというべきであるから,意匠登録を受けようとする部分の形態が類似するとしても,意匠全体としてみた場合,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第4 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-04-26 |
出願番号 | 意願2010-19702(D2010-19702) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 久美 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
樫本 光司 江塚 尚弘 |
登録日 | 2013-06-21 |
登録番号 | 意匠登録第1475144号(D1475144) |
代理人 | 特許業務法人 英知国際特許事務所 |