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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 K1 |
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管理番号 | 1276362 |
審判番号 | 不服2012-24215 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-12-06 |
確定日 | 2013-07-09 |
意匠に係る物品 | バレル研磨用研磨体 |
事件の表示 | 意願2010- 30950「バレル研磨用研磨体」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本審判請求に係る意匠登録出願は,平成22年(2010年)12月27日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「バレル研磨用研磨体」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」ともいう。)を,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。 「バレル研磨用研磨体において,全体を円錐体状の先端部分を丸面状とした略砲弾状とし,底面に凹曲面を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。(当審注:別紙第2参照) また,同様に,削り取る能力を上げるために研削体(ペレット)底面全体を浅い凹曲面形状とし,外周縁に接する端部にエッジ部を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。(当審注:別紙第3参照) 本願意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】および【意匠2】の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法で,上方をややふっくらとした砲弾状としたものにすぎませんから,きわめて容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。 なお,上下方向に多段構造としたとする点は,子細に観察しても,その段の境界が判別しにくく目立たないものですから,この点が創作容易性の判断に影響を及ぼすものとは認められません。 【意匠1】 特許庁発行の公開特許公報記載 平成 2年特許出願公開第009566号 第4図のバレル研磨用メディアの意匠 【意匠2】 特許庁発行の公開特許公報記載 平成10年特許出願公開第315115号 図1の樹脂ペレットの意匠 」 第3 請求人の主張の要点 これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。 本願意匠に係る形状の特徴のうち,(A)角部が丸面である点,(B)底面が凹形状である円錐状の態様である点及び(C)上下方向に多段構造とされている点を一つの形状にまとめ上げた点について創意工夫がある。 また,(C)の態様については,引用意匠のいずれにも表れておらず,本願意匠の特徴と言えるものであり,当該(C)の態様を持つ他の公知例も見出せない。 すなわち,本願意匠の形状は,引用意匠から直接導き出すことはできず,本願意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたということもできない。 第4 当審の判断 本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠はこの意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」ともいう。)が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。 (1)本願意匠 本願意匠に係る物品は,「バレル研磨用研磨体」である。 その形態については,全体が略弾頭形状であって,具体的には,上面及び側面が,上方から下方に向かって,略半球面,略円錐面,ゆるやかな弧が回転してできる面及び円柱面が連続した面から成り,底面が浅い凹曲面から成る形状である。 (2)創作非容易性の判断 本願意匠が属する研磨体の分野において,本願意匠の形状のうち,上部の略半球面及び略円錐面という要素は意匠1及び意匠3(別紙第4参照)に,下方の円柱面という要素は意匠3に,底面の凹曲面という要素は意匠2に見られるように,これらの要素は本願意匠の出願前から公然知られているが,下方のゆるやかな弧が回転してできる面の要素及び側面における前記の面を組み合わせた要素は公然知られておらず,また,下方のゆるやかな弧が回転してできる面が,円錐面と円柱面の間をつなぐ面取り程度のものであればともかく,全高の1/2弱の高さを占めて側面の主要な面となっているから,これらを組み合わせた側面全体の形状を意匠1及び意匠3に基づいて当業者が容易に創作することができたとはいえず,本願意匠の全体の形状についても意匠1ないし意匠3に基づいて当業者が容易に創作することができたとはいえない。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-06-26 |
出願番号 | 意願2010-30950(D2010-30950) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(K1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 雅美 |
特許庁審判長 |
川崎 芳孝 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 中田 博康 |
登録日 | 2013-07-19 |
登録番号 | 意匠登録第1477263号(D1477263) |
代理人 | 白銀 博 |
代理人 | 杉山 直人 |