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審決分類 |
審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1280023 |
審判番号 | 不服2013-7869 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-27 |
確定日 | 2013-10-15 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2012-8438「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成24年(2012年)4月11日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という)は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は意匠法第9条第1項に規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたもので,引用された意匠は,平成24年(2012年)2月17日に出願され,その後平成24年(2012年)8月17日に設定登録された,意願2012-3313号(意匠登録第1451202号)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)両意匠の対比 本願意匠と引用意匠を対比すると,意匠に係る物品は,「包装用容器」で一致している。 (A)両意匠の形態における共通点 両意匠は,(ア)全体を薄手の肉厚で構成したものであって,5個2列の鶏卵収容凹部を備えた本体と,該本体の一方の長辺縁に連設してヒンジ様に折り返し可能である蓋体が一体として形成している点,(イ)当該本体の他方の長辺縁に連接してヒンジ様に折り曲げ可能な係止片を設けている点,(ウ)閉蓋状態の正面視において,当該係止片の上寄り左右両端部位にそれぞれ係止部を設け,その係止部に対応する係止孔を蓋側壁の長辺の対応する部位に設けた点,(エ)蓋体を折り返して本体に被せ,各係止部をそれぞれ対応する係止孔に挿入することにより,蓋体を本体に係止して閉蓋状態とする点,(オ)蓋を閉じたとき,本体に設けた4本の四角錐台の各頂部が,それぞれ蓋体の天板の内表面に当接して蓋体を支える点,で主に共通する。 (B)両意匠の形態における相違点 それに対して,具体的構成態様において,(a)蓋体天板と蓋側壁の角部分における面取り形状につき,本願意匠は,丸面であるのに対して,引用意匠は,角面である点,(b)係止部の形状につき,本願意匠は,下孔を設けているのに対して,引用意匠は,設けていない点,(c)係止孔の形状につき,本願意匠は,下辺中央に小突起部を設けて,略倒立「凹」字状としているのに対して,引用意匠は,略正方形としている点,において主な相違点が認められる。 (2)類否判断 本願意匠と引用意匠を比較すると,共通点は,この種の鶏卵を入れるための包装用容器にあっては,本願出願前より広く見られる基本的な構成における共通点であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできない。 これに対して,具体的態様に係る相違点(a)は,鶏卵の販売時に,本願物品を店頭に並べた場合,鶏卵を買う購買者(エンド・ユーザ)の最も目に付きやすい部分であって,エンド・ユーザである鶏卵購買者に対する訴求力を意識する鶏卵業者等,この種包装用容器の需要者にとって気に掛かる部分の形状の相違であるといえるので,両意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。相違点(b)は,鶏卵業者が鶏卵を包装容器に入れる際,開蓋状態にして積み重ねられた包装用容器を手に取る時に,目に付きやすい部分における形状の相違であって,両意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。相違点(b)及び相違点(c)により,本願意匠は,物品を構成する材料の弾性によって,閉蓋時に係止部の下孔に係止孔の小突起部が入り込み,係止部が容易に抜けない機能を持たせてあるのに対して,引用意匠は,そのような機能を持っていない従来からの態様であるという相違点は,この種物品における要部の一つである係止部及び係止孔の使用目的に対する効果や,使い勝手につながる態様における相違点であって,また,この相違点は,従来にない新たな機能が付加されていることが認識されるものであって,両意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。 以上のとおりであって,すべての相違点があいまって生じる印象は,前記共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第9条第1項に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-09-27 |
出願番号 | 意願2012-8438(D2012-8438) |
審決分類 |
D
1
8・
4-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 江塚 尚弘 |
登録日 | 2013-10-25 |
登録番号 | 意匠登録第1484687号(D1484687) |
代理人 | 丸山 明夫 |