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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 
管理番号 1281365 
審判番号 不服2013-7780
総通号数 168 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-04-26 
確定日 2013-10-07 
意匠に係る物品 自動車用リヤバンパー 
事件の表示 意願2011- 30133「自動車用リヤバンパー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠

本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下,「本願意匠」という。)は,平成23年(2011年)12月27日に出願されたものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「自動車用リアバンパー」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成23年(2011年)12月5日)に記載された意匠登録第1428892号(意匠に係る物品,自動車用リアバンパー)の意匠であって,その形態は,同公報に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断

(1)本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも自動車用リアバンパーに係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

まず,共通点として,(A)全体は,平面視略U字状の板状体に形成し,側面視において,その板状体先端部分をフェンダーの形状に合わせて円弧状に切り欠いたものであって,(B)正面視において,左右端部付近に,凸状の突起部を,1つずつ立設している点,(C)正面視左右端部下方部分に,略横長長方形状のリフレクター用の取り付け部を,1つずつ配設している点,が認められる。

一方,相違点として,(ア)正面視下端部の態様について,本願意匠は,リアバンパー本体部下部に隙間を設けて,底面視略逆U字状の突出段差部を一段配設しているのに対し,引用意匠は,リアバンパー本体部下部に,3条の凸条部を並設したディフューザーの左右端部に,略楕円状のマフラー用開口部を1つずつ配した下部パネル部を配設している点,(イ)凸状突起部の態様について,本願意匠は,リアバンパー正面部前面側から側面側にかけて回り込んで形成され,側面側後端部は角部が突き出た形状であるのに対し,引用意匠は,リアバンパー正面部前面より後ろの位置から側面側にかけて回り込んで形成され,側面側後端部は円弧状に形成されている点,(ウ)略横長長方形状のリフレクター用取り付け部の態様について,本願意匠は,リフレクター用取り付け部は開口し,この取り付け部を囲うように,取り付け部上辺部の水平なラインと,取り付け部上部のややバンパー中心寄りの位置から側面部下部にかけての斜めのラインとを略横V字状になるよう形成しているのに対し,引用意匠は,リフレクター用取り付け部は閉口し,取り付け部上辺部及び下辺部に水平のラインを平行して形成している点,が認められる。

(2)本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

まず,両意匠は,いずれも自動車用リアバンパーに係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

次に,共通点(A)ないし(C)における,全体の態様並びに凸状突起部及びリフレクター用取り付け部の態様は,引用意匠のほかにも多数見受けられ,自動車用リアバンパーの構成態様としてありふれたものであって,本願意匠と引用意匠のみがもつ共通点とは言えず,両意匠の類否判断に与える影響は軽微なものにとどまるものである。

これに対して,相違点(ア)については,本願意匠は,リアバンパー本体部下部に,隙間を設けて段差を形成したとの視覚的印象を与えるのに対し,引用意匠は,リアバンパー本体部下部に,マフラー用開口部とディフューザーとを一体的に形成した下部パネル部を,別途取り付けているとの視覚的印象を与え,両意匠に別異の印象を与えるものであるから,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
また,相違点(イ)及び相違点(ウ)も,目に付き易い部位に係るものであるから,上記相違点とともに両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものと言える。
そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言うことができる。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものであるが,形態においては,両意匠の間には,複数の共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を大きく凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

4.結び

以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-09-19 
出願番号 意願2011-30133(D2011-30133) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY ()
最終処分 成立  
前審関与審査官 神谷 由紀 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 江塚 尚弘
橘 崇生
登録日 2013-11-08 
登録番号 意匠登録第1486085号(D1486085) 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 

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