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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1281369 |
審判番号 | 不服2013-3751 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-02-27 |
確定日 | 2013-10-21 |
意匠に係る物品 | 喉頭マスク気道器具 |
事件の表示 | 意願2012- 9115「喉頭マスク気道器具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成23年(2011年)10月18日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)に出願し,パリ条約における優先権を主張して,平成24年(2012年)4月18日に意匠登録出願をしたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「喉頭マスク気道器具」とし,その形態を願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,平成20年(2008年)3月4日に欧州共同体商標意匠庁が発行した欧州共同体意匠公報に記載された登録番号第000818547-0001号(意匠に係る物品,喉頭のマスク気道機器)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH20203616号)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,本願意匠の「喉頭マスク気道器具」も,引用意匠の「喉頭のマスク気道機器」も,表記は異なるが,いずれも気道確保のために用いる医療器具であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)両意匠の形態 両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 共通点として, 全体は,略弧状に湾曲した気道チューブ部の内側下部にマスク部を形成し,マスク部は,略長円環状のカフ部と略半長円形状のバックプレート部から構成されており,気道チューブ部の上端部は大小二種類の円筒が分岐し,カフ部の気道チューブ側端部に細いチューブが突設された,カフ部及び先端を除く気道チューブ部が透光性を有する点, 相違点として, 気道チューブのマスク部側の開口部につき,本願意匠は,マスク部の先端部よりやや後退したところに配されているのに対して,引用意匠は,マスク部の先端部に配されている点, 側面視につき,本願意匠は,気道チューブ先端が,三角形状の切片を形成するようにカフ部から突出しているのに対して,引用意匠は,そのような突出部はない点, 平面視につき,本願意匠は,バックプレート部が気道チューブより前述三角形状の切片まで繋がることで,カフ部が分断され,カフ部は略逆ハ字形状であるのに対して,引例意匠は,バックプレート部はカフ部を分断せずに,カフ部は略逆U字形状である点, 加圧チューブ先端につき,本願意匠は,長方形状の板状であるのに対して,引例意匠は,円筒状である点。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が一致し,形態については,以下のとおりである。 共通点に係る形態は,この種の物品分野においては,それなりに特徴ある態様というべきであるが,以下の相違点を含めて両意匠の類否を意匠全体として対比すると,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度に留まるものと言わざるを得ない。 すなわち,本願意匠は略逆ハ字形状であるのに対して,引例意匠は略逆U字形状である点は,この種物品を主たる需要者である医師が使用の際に,カフ部の萎んだ状態でマスク部を患者の声門開口部へ挿入し,カフ部を膨張させて,咽頭を覆い隠すように密着させることになるため,この部分は,需要者の注意を強く惹く部分であり,また,略逆ハ字形状と略逆U字形状とでは,視覚的な効果が大きく異なるものであるから,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言わざるを得ない。 また,本願意匠は,気道チューブ先端が,三角形状の切片を形成するようにカフ部から突出しているのに対して,引用意匠は,そのような突出部はない点についても,気道チューブ先端に設けられた三角形状の切片がカフ部を分断する態様は本願出願以前には見られず,本願意匠のみに見られる特徴的な態様であり,両意匠は,需要者に異なる印象を抱かせ,よって,異なる美感をもたらしていると言うべきである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,形態においては,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が共通点を凌駕するから,意匠全体として観察した場合,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-10-03 |
出願番号 | 意願2012-9115(D2012-9115) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範、中村 純典 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 樫本 光司 |
登録日 | 2013-11-29 |
登録番号 | 意匠登録第1487368号(D1487368) |
代理人 | 特許業務法人深見特許事務所 |