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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20138327 | 審決 | 意匠 |
不服201311408 | 審決 | 意匠 |
不服20136823 | 審決 | 意匠 |
不服201311693 | 審決 | 意匠 |
不服20137592 | 審決 | 意匠 |
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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5 |
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管理番号 | 1283200 |
審判番号 | 不服2013-8596 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-05-10 |
確定日 | 2013-12-20 |
意匠に係る物品 | 浴槽 |
事件の表示 | 意願2012-7252「浴槽」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成24年(2012年)3月29日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「浴槽」とし,その形態を願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:平成16年(2004年)11月8日)に記載された意匠登録第1222463号(意匠に係る物品,浴槽)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 両意匠の対比 両意匠を対比すると,両意匠は,意匠に係る物品が一致しているが,その形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず,共通点として, (A)全体の基本的構成について, 平面視で略横長楕円形状をなす凹状槽部と,その開口部より延設された,平面視で略横長長方形状をなすフランジ部からなり,槽部は,底が平らな略逆楕円錐台形状で,排水孔を長手方向中央正面寄りに円形に設け,周側壁と底との境界は丸面状であり,周側壁のうち長手方向の両側部に段を形成して肘置き部とし,短手方向の両端壁は,正面視で左側に位置する一端を緩傾斜として背もたれ部とし,他端を急傾斜とした構成である点, (B)フランジ部について, 正面側が平面視でごく緩いS字状の曲線をなし,残る三方は直線で,端部に細幅凸縁部を形成した点, (C)肘置き部について, 肘置き部を,背もたれ部側から他端に向かって,正面視で右上がりに傾斜させている点, がある。 一方相違点として, (あ)槽部の配置について, 本願意匠は,槽部の長手方向の中心軸を,フランジ部の長辺の直線に対して平面視で右下がりに,やや斜めに配置しているのに対して,引用意匠は,槽部の長手方向の中心軸を真っ直ぐに,フランジ部の長辺の直線と平行に配置している点, (い)背もたれ部について, 本願意匠は,中間で屈曲する二面から成り,正面視で逆く字状を呈し,開口部は緩やかな丸面をなすのに対して,引用意匠は,中間で屈曲しない単斜面で,開口部に平面視略半月形の凹部を形成している点, (う)肘置き部について, 本願意匠は,背もたれ部から長手方向側壁全長の略3分の2程度までの長さの,正面視でほぼ直線状としているのに対して,引用意匠は,背もたれ部から他端まで長手方向側壁全長に及ぶ,正面視で極緩やかな円弧曲線状としている点, (え)底部について, 本願意匠には,模様がないが,引用意匠には,ほぼ一面に水玉模様がある点, がある。 第4 類否判断 これらの共通点と相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を意匠全体として比較すると,以下のとおりである。 共通点(A)は,全体の基本構成に関する共通点ではあるが,形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず,類否判断に及ぼす影響は一定程度に止まる。 共通点(B)のフランジ部正面側が,平面視でごく緩いS字状曲線をなす点は,目に付きやすい部位での具体的形態に関するものではあるものの,この物品分野では両意匠の出願前より該部を平面視S字状とするものが公然知られていたことに鑑みると,限られた一部分の共通点が視覚に与える効果を大きく評価することはできず,共通点(B)が類否判断に及ぼす影響は一定程度に止まる。 共通点(C)は,形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず,類否判断に及ぼす影響は一定程度に止まる。 そして,共通点(A)ないし(C)が相まった効果を検討しても,共通点全体として類否判断に及ぼす影響は,一定程度に止まると言える。 一方,相違点(あ)は,全体における槽部の配置という広い領域における相違であり,また,この相違は,使用状態にも大きく影響を与えるものとして,需要者の注意を惹くところでもあるから,類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(い)は,目に付きやすく,また需要者が着目する部位における相違であるところ,本願意匠の,中間で屈曲する二面から成り,開口部は緩やかな丸面をなす形状自体は,この種物品の該部の形状として,本願出願前より知られてはいるものの,引用意匠の,単斜面で開口部に平面視略半月形の凹部を設けている形状と比較すると,それぞれ視覚的効果が異なり,需要者に異なる印象を与えるから,相違点(い)が類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(う)も,目に付く部位に関する相違であり,ほぼ直線的で,長手方向側壁全長の略3分の2程度の長さの本願意匠の肘置き部と,円弧曲線状で,背もたれ部から他端まで長手方向側壁全長に及ぶ引用意匠の肘置き部とは,それぞれがもたらす視覚的効果が異なり,需要者に異なる印象を与えるから,相違点(う)が類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(え)については,本願意匠の形態も引用意匠の形態も,この種物品の底面の形態としてありふれているため,相違点(え)自体が類否判断に及ぼす影響は小さい。 相違点(あ)ないし(う)は相乗した効果として,本願意匠は,直線的でシンプルな面により構成された形態であるという印象を与えるのに対し,引用意匠は,様々な曲線形状を組み合わせた多様な曲面が織りなす有機的な形態であると言う印象を与え,さらに相違点(え)を加えた,相違点(あ)ないし(え)が相まって生みだす視覚的効果は,共通点全体が生む視覚的効果を凌駕しており,相違点全体として類否判断を支配していると言える。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響が一定程度に止まるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点全体が生む視覚的効果を凌駕して,類否判断を支配しているから,意匠全体として,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審においてさらに審理した結果,本願について,他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-12-09 |
出願番号 | 意願2012-7252(D2012-7252) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 江塚 尚弘 |
登録日 | 2014-01-24 |
登録番号 | 意匠登録第1490847号(D1490847) |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |