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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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判定2013600012 | 審決 | 意匠 |
判定2013600013 | 審決 | 意匠 |
判定2012600053 | 審決 | 意匠 |
無効2013880001 | 審決 | 意匠 |
無効2012880013 | 審決 | 意匠 |
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審決分類 |
審判 判定 同一・類似 属さない(申立成立) H1 |
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管理番号 | 1283208 |
判定請求番号 | 判定2013-600023 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2013-06-18 |
確定日 | 2013-12-25 |
意匠に係る物品 | 発光ダイオードランプ |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1357993号の判定請求事件について,次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「発光ダイオードランプ」の意匠は,登録第1357993号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨及び理由の要点 1.請求の趣旨 本件判定請求人(以下,「請求人」という。)は,「イ号図面並びにその説明書に示す意匠(当審注:以下,「イ号意匠」(別紙第1参照)という。)は登録第1357993号意匠(以下,「本件登録意匠」(別紙第2参照)という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属しない,との判定を求める。」と申し立て,その理由として要旨以下のとおりの主張をし,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 2.判定請求の必要性 被請求人東芝ライテック株式会社は,本件判定請求に係る本件登録意匠「発光ダイオードランプ」の意匠権者である。 請求人株式会社エコリカは,イ号意匠にかかる「LED電球」を販売していたところ,被請求人から,平成24年11月13日付で,本件登録意匠と「密接な関係」があるものと見受けられるとして請求人の見解を求める書面が送付された。 請求人は,先行意匠調査をした上で対応を検討したところ,イ号意匠と本件登録意匠が類似しないことについて確信が得られたので,平成24年12月20日付で,イ号製品は本件登録意匠にかかる意匠権を侵害するものではない旨,その理由と共に被請求人に回答した。 しかし,被請求人からは,平成25年2月21日付で,イ号意匠は本件登録意匠に「包含されるものと確信」するとして請求人に対し非侵害の見解の撤回などを求める書面が送付され,両当事者の見解は相容れないものとなった。 そこで,請求人は,イ号意匠と本件登録意匠の属否の問題に関し,専門的でかつ中立的な立場から判断を下すことができる特許庁に判定を請求するべきと考えた次第である。以上の経緯より,請求人は,本件判定を請求する必要性を有している。 3.本件登録意匠の説明 (1)基本的構成態様 本件登録意匠は,物品の部分について意匠登録されたものであり,その意匠に係る物品は「発光ダイオードランプ」であり,より詳しくは,願書の「意匠に係る物品の説明」欄に記載のとおり,「発光ダイオードを光源に使用した電球型のランプ」である。 物品全体の構成としては,使用時にソケットと螺合される「口金部」,底面から見たときに中心から放射状に延びるように表れる16枚の放熱フィンを有する「放熱部」,この放熱部の上方に取り付けられ,発光ダイオードからなる光源の上方を覆う透光性を有した「カバー部」を有している。 本件登録意匠は,このうち,放熱部とカバー部の「境界領域」の形態について部分意匠として意匠登録されたものである。 この放熱部とカバー部の「境界領域」は,物品全体の上下方向中央部よりもやや上方に位置し,上下方向は物品全体の高さ約11分の1の範囲を占め,左右方向は物品の幅全体にわたる範囲を占めている。 (2)具体的構成態様 (2-1)カバー部について カバー部は,正面図に説明及び着色を加えた【図1】(別紙第3参照)に示すとおり,意匠登録をうけようとする部分以外の破線で示された部分は概ね半球状であるが,意匠登録を受けようとする部分におけるカバー部(水色で着色した部分)は,その上端から下端部に向かい漸次縮径した形状である。 正面図と内部機構を省略したA-A線断面図を見比べると,意匠登録を受けようとする部分において,中央よりやや下方の位置で水平方向に表れている線は,放熱部とカバー部の境界の線であることが理解できる。以下,この線を「境界線」という(後記するイ号意匠についても同じ)。 カバー部の形状をさらに詳しく説明する。【図2】(別紙第3参照)は,正面図の意匠登録を受けようとする部分を縦横の縮尺を変えずに拡大すると共に,背景に方眼紙を重ね併せて,説明及び相対的な寸法(マス目の数)を記入した図である。 【図2】より,カバー部はその上端(一点鎖線の位置)から下端(境界線の位置)に向かい漸次縮径しているが,その縮径の程度は,上端における直径を仮に45とした場合,下端における直径は仮に41である。また,カバー部の上下方向の長さは5である。そして,このカバー部の上下方向の長さ5のうち,縮径が顕著であるのは上端から概ね長さ3の間であり,その後の下端に至るまでに長さ2の間は,縮径の割合は極めて緩やかとなっている。 また,外形線に注目すると,本件登録意匠のカバー部は,正面から見たときに内向きに湾曲した外形線が表れるものである。カバー部の外形線は,境界線付近においては概ね鉛直方向となり,境界線の位置では放熱部の外形線と連続している。 (2-2)放熱部について 放熱部は,正面図に説明及び着色を加えた【図3】(別紙第3参照)に示すとおり,意匠登録を受けようとする部分以外の破線で示された部分には放熱フィンが存在するが,意匠登録を受けようとする部分(水色で着色した部分)は,放熱フィンが存在しない周帯部の「余地部」となっている。そして,その「余地部」は下端から上端に向かい漸次縮径した形状となっている。 前記【図2】より放熱部における縮径の程度は,下端における直径を仮に45とした場合,上端(境界線の位置)における直径は41である。また,放熱部の上下方向の長さは3であるが,放熱部においては縮径の割合はほぼ一定である。 外形線に注目すると,本件登録意匠の放熱部は,正面から見たときにほぼ直線状の斜め向きの外形線が表れるものである。放熱部の外形線は,境界線の位置ではカバーの外形線と連続している。 4.イ号意匠の説明 (1)基本的構成態様 イ号意匠の物品(イ号製品)は,発光ダイオードを光源とする「LED電球」である。 物品全体の構成としては,添付のイ号図面及び甲第2号証に示すように,使用時にソケットと螺号される「口金部」,底面から見たときに中心から放射状に延びるように表れる24枚の放熱フィンを有する「放熱部」,この放熱部の上方に取り付けられ,発光ダイオードからなる光源の上方を覆う透光性を有した「カバー部」を有している。 イ号意匠においては,放熱部とカバー部の境界は,イ号製品の上下方向中央部よりやや上方に位置している。 本件判定では,本件登録意匠に対応する部分の形態が問題となるので,以下放熱部とカバー部の境界領域の形状を中心に説明する。 (2)具体的構成態様 (2-1)カバー部について イ号意匠のカバー部は,イ号図面の正面図を転載した【図4】(別紙第3参照)に示すように,それ自体は概ね半球状であるが,カバー部と放熱部の境界領域においては,下端(境界線の位置)に向かい漸次縮径する形状となっている。 カバー部の形状をさらに詳しく説明する。【図5】(別紙第3参照)は,正面図の境界領域を縦横の縮尺を変えずに拡大すると共に,背景に方眼紙を重ね合わせて,説明及び相対的な寸法(マス目の数)を記入した図である。 【図5】より,カバー部は境界線付近では下端に向かって漸次縮径しているが,その縮径の程度は,境界線付近で径が最大となる位置(【図5】では赤線で示した)における直径を仮に41とすると,カバー部の下端(境界線の位置)までの長さは2,カバー部の下端(境界線の位置)における直径は39である。 外形線に注目すると,カバー部において縮径している部分は,正面から見たときに外向きに湾曲した外形線が表れるものである。また,カバー部の外形線の終端は,境界線と交わっている。 (2-2)放熱部について イ号意匠の放熱部は,放熱フィンを有するものであるが,イ号図面の正面図を転載した【図4】に示すとおり,カバー部との境界線付近においては放熱フィンが存在しない周帯状の「余地部」が存在する。 そして,イ号意匠の放熱部は,このカバー部との境界線付近の,放熱フィンが存在しない「余地部」については,縮径は認められない。【図5】によれば,その「余地部」の径の長さは常に41で一定である。 外形線に注目すると,イ号意匠の放熱部は,境界線付近において鉛直方向の外形線が表れるものである。放熱部の外形線の終端は,カバー部の外形線とは連続していない。 5.本件登録意匠とイ号意匠との比較説明 (1)概要 両意匠を対比すると,「発光ダイオードランプ」と「LED電球」は物品として実質的には一致するものであり,物品全体の構成として「口金部」,「放熱部」,「カバー部」を有している点や,物品全体の中でカバー部と放熱部の境界領域が占める位置・範囲については,おおむね一致している。 (2)両意匠の比較説明 一方,本件登録意匠が特定しているカバー部と放熱部の境界線付近の形態については,以下の共通点と差異点が認められる。 (2-1)共通点 (a)カバー部は,下端(放熱部との境界線)に向かい漸次縮径した形状である点。 (b)放熱部は,上端(カバー部との境界線)付近において放熱フィンが存在しない周帯状の余地部が存在する点。 (2-2)差異点 (ア)カバー部について,本件登録意匠のカバー部は,縮径の程度が上下方向の長さ5の管に41/45であり,正面から見たときに内向きに湾曲した外形線が表れ,放熱部との境界線付近においては概ね鉛直方向の外形線となり,放熱部との境界線の位置では放熱部の外形線と連続しているのに対して,イ号意匠のカバー部は,縮径の程度が上下方向の長さ2の間に39/41であり,正面から見たときに外向きに湾曲した外形線が表われ,カバー部の外形線の終端は境界線と交わっている点。 (イ)放熱部について,本件登録意匠の放熱部は,縮径の程度が上下方向の長さ3の間に41/45であり,正面から見たときにほぼ直線上の斜め向きの外形線が表れ,カバー部との境界線の位置ではカバー部の外形線と連続しているのに対して,イ号意匠の放熱部は,境界線付近においては縮径しておらず,放熱部の外形線の終端はカバー部の外形線とは連続していない点。 6.イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない理由の説明 (1)公知意匠の参酌 (1-1)欧州共同体登録意匠000812359-0004(甲第3号証 別紙第4参照) 甲第3号証として提出する欧州共同体登録意匠は,コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス社(Koninklijke Philis Electronics N.V.)が2007年10月19日に欧州共同体意匠商標庁(OHIM)に出願し,同庁において2007年12月4日に公開された「LED照明」(Solid state lighting LEDspots)の意匠である。この公知意匠からすれば,ソケットに螺合される「口金部」,放熱フィンを有する「放熱部」,発光ダイオードからなる光源の上方を覆う透光性を有した「カバー部」を有したLED証明に関し,カバー部と放熱部の境界線付近において,1.カバー部が境界線に向かい漸次縮径している点,特に,2.カバー部の外形線が外向きに湾曲したものである点は,本件登録意匠の出願前に公知の形態であったことが明らかである。 (1-2)意匠登録第1339373号(甲第4号証 別紙第5参照) 甲第4号証として提出する意匠は,株式会社タムラ製作所が平成20年1月17日に日本国特許庁に出願し,同庁において平成20年9月8日に公開された「発光ダイオードランプ」についての意匠である。この公知意匠からすれば,ソケットに螺合される「口金部」,放熱フィンを有する「放熱部」,発光ダイオードからなる光源の上方を覆う透光性を有した「カバー部」を有したLED照明に関し,カバー部と放熱部の境界線付近において,1.放熱部に放熱フィンが存在しない周帯状の「余地部」が存在する点,2.放熱部が鉛直方向に外形線が表れるものである点は,本年登録意匠の出願前に公知の形態であったことが明らかである。 (2)両意匠の類否判断 イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かについて本件登録意匠の出願前に存する公知資料を参酌し,新規な態様や需要者の注意を惹き易い部分を考慮した上で,共通点と差異点が意匠全体として両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価のうえ,検討する。 (2-1)共通点の評価 まず,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響について検討する。 共通点aについて,「カバー部が下端(放熱部との境界線)に向かい漸次縮径」したものは,この種の「発光ダイオードランプ」の分野において本件登録意匠の出願前に既に見受けられ(例えば,甲第3号証の欧州共同体意匠を参照),本件登録意匠のみの特徴とはいえず,両意匠のみに共通する新規の構成態様ともいえない。 共通点bについても,「放熱部が上端(カバー部との境界線)付近において放熱フィンが存在しない周帯状の余地部が存在する」ものは,この種の「LED電球」の分野において本件登録意匠の出願前より既に存在し(例えば,甲第4号証の登録意匠を参照),本件登録意匠のみの特徴といえず,両意匠のみに共通する新規の態様ともいえないものであるから,共通点a及びbが両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものというほかない。 そもそも共通点aは,「縮径している」という概括的なレベルの共通点に過ぎないものであって,両意匠のみに格別共通する構成態様とはいえない上に,次の差異点アを考慮すれば,この概括的なレベルの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいといわざるを得ない。共通点bについても,「放熱フィンが存在しない周帯状の余地部が存在する」という概括的な共通点であり,本件登録意匠の出願前より普通に見受けられるありふれた態様であって特徴のないものである上に,次の差異点イを考慮すれば,この概括的なレベルの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて小さい。 そうすると,これらの共通点a及びbに係る態様は,概括的に捉えたに過ぎないもの,または,公知意匠を参酌すれば,両意匠にのみ共通する特徴的な態様とはいえないものであり,両意匠の類否判断を決定付けるものとはなりえない。 (2-2)差異点の評価 次に差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響について検討する。 差異点アについて,カバー部が「正面から見たときに内向きに湾曲した外形線が表われ,放熱部との境界線付近においては概ね鉛直方向の外形線となり,放熱部との境界線の位置では放熱部の外形線と連続している」という本件登録意匠の形態は,イ号意匠の形態とは異なり,本件登録意匠独自の形態といえるものであるから,その差異が両意匠の類否判断に与える影響は看過できない。差異点アにかかる本件登録意匠の形態は,カバー部が「正面から見たときに外向きに湾曲した外形線が表われ,外形線の終端は境界線と交わる」というイ号意匠の形態とは大きく異なっており,本件登録意匠の出願前には見受けられない形態といえるもので,需要者がカバー部と放熱部の境界領域を観察した場合に需要者が受ける印象も大きく異なり,その差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものといえる。 また,差異点イについても,放熱部が「正面から見たときにほぼ直線上の斜め向きの外形線が表われ,カバー部との境界線の位置ではカバー部の外形線と連続している」という本件登録意匠の形態は,放熱部が「境界線付近においては縮径しておらず,放熱部の外形線の終端はカバー部の外形線とは連続していない」というイ号意匠の形態とは,需要者が受ける印象は大きく異なるものである。 そして,本件登録意匠では,差異点ア及びイにかかる形態が相俟って,カバー部と放熱部の間に連続した括れ形状が形成されているところ,かかる連続した括れの形状の存在は,需要者がカバー部と放熱部の境界領域を観察した場合に需要者の注意を惹く部分となるのに対し,イ号意匠では,差異点ア及びイにより,カバー部と放熱部の外形線は不連続となっているのであるから,その差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものといえる。 (2-3)小括 以上の共通点と差異点の評価を総合すれば,共通点a及びbに係る態様が両意匠にのみ共通する特徴とはいえないものであるのに対し,差異点ア及びイに係る本件登録意匠の態様は,公知意匠には見られないものであり,また,看者の注意を惹く部分において差異点ア及びイが認められるから,かかる差異点の方が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,意匠全体として,イ号意匠は本件登録意匠に類似するものとはいえない。 よって,本件登録意匠とイ号意匠は,意匠に係る物品が実質的に一致し,カバー部と放熱部の境界領域の位置及び範囲はおおむね一致しているものではあるが,その境界領域の形態については,イ号意匠は本件登録意匠の特徴的な態様を有しておらず,共通点よりも差異点に係る形態が相俟って生じる意匠的効果の相違の方が両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きく,差異点が共通点を凌駕しているといえるから,両意匠は,全体として需要者に与える美観が異なるものであって,類似するということはできない。 7.結論 以上に述べた理由により,イ号意匠は本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しないので,請求の趣旨に記載の通りの判定を求める。 第2 被請求人の答弁の趣旨及び理由の要点 1.答弁の趣旨 被請求人は,「イ号図面並びにその説明書に示す意匠は登録第1357993号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求める。」と申し立て,その理由として要旨以下のとおりの主張をし,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。 2.被請求人の見解 (1)物品に関して 請求人も自認するとおり,LEDを含む発光ダイオードを光源とする電球である点で実質的に一致する。 (2)本件登録意匠の部分に相当する箇所の用途及び機能に関して 請求人も自認する通り,カバー部の下,放熱部との接合部分近傍に存在する『括れ』(請求人が本件判定請求書中において,カバー部の上端から下端に向かい漸次縮径する形状に相当する部分がこれに該当するが,被請求人が本件登録意匠及び関連する意匠に基づいて製品発売した際に,或いはTVにて該製品が取り上げられた際にこの様な愛称で評価頂いたため,以下,括れ(くびれ)と称する。)が両意匠には存在する。透光性を有するカバー部の括れによって,LEDの強い指向性により光を口金方向にも配光するよう機能することも明らかである。光が口金方向にも配光するよう機能する原理を説明した図を乙第1号証(別紙第6参照)として添付する(平成22年に本件登録意匠と同型の意匠(意匠登録第1357989号)の関東地方発明表彰に応募した際に使用したもの)。 (3)本件登録意匠の部分に相当する箇所の形態に関して (3-1)本件登録意匠の要部 請求人も自認する通り,イ号意匠には,本件登録意匠の要部であるカバー部の下部,放熱部との接合部分近傍において,『括れ』が存する。 (ア)公知意匠に関して この点(請求人の共通点a)に関して,請求人は公知意匠(甲第3号証)を用い,本件登録意匠の出願前に公知の形態であったと主張する。すなわち請求人は,甲第3号証には「カバー部と放熱部の境界線付近において1.カバー部が境界線に向かい漸次縮径している点,特に2.カバー部の外形線が外向きに湾曲したものである点が存在する」と主張しているが,全くの誤りである。 この点を被請求人が本日提出した乙第2号証(甲第3号証の抜粋に一部着色したもの(別紙第7参照))を用いて詳しく説明する。 放熱部を多数のフィンを用いて,LEDを含むLEDモジュールから発生する熱を放出するタイプのものは,当該フィンにLEDモジュールの熱を伝える部分が必要となる。参考例として提示した国際出願の公報(WO2011/160304 A1)(以下,乙第3号証(別紙第8参照)という。)に示されているように,LEDモジュール30において発生する熱は熱伝導性のよい金属33を介して,多数の放熱フィン101に伝えるように構成する必要がある。つまり,乙第3号証においてカバー部40と放熱フィン101の間に存在する部分(青色に着色した部分)は放熱板(部)であって,カバー部の部分を成すものではない,仮にこの青色に着色した部分がカバー部の部分であるとするならは,特殊な放熱構造を別に備える必要があるが,そのような構成は見受けられない。 よって,甲第3号証には,請求人が主張するような「カバー部の一部(青色に着色した部分)が漸次縮径する構成は開示される」,との請求人の甲第3号証に関する主張は,全く当を得ない。尚,乙第2号証のカバー部と放熱板(部)の間の二重線はカバー部と放熱板(部)の接合部であると思料でき,上述の説明とも合致する。 (イ)まとめ 以上まとめると,甲第3号証及び甲第4号証には本件登録意匠において特徴とする機能に裏付けされた透光状カバーの『括れ』は存在せず,全く別異のものであり,本件登録意匠と関連するものではなく,よってこれら甲第3号証及び甲第4号証は,本件登録意匠の類否判断に影響を与えるものではない。 (3-2)本件登録意匠のその他の部分 請求人は,両意匠は放熱部の上部,カバー部との接合部近傍において,リング状の部分(請求人の「余地部」)が存する点において一致するが,差異点イの後半において説明しているように,「本件登録意匠の放熱部の形態は,放熱部が正面から見たときにほぼ直線上の斜め向きの外形線が現われているが,イ号意匠の放熱部の形態は,境界線付近において縮径しておらず,放熱部の外形線の終端はカバー部の外形線とは連続していない」と主張する点において相違する。 すなわち,放熱部の上部の面が本件登録意匠の場合,水平線方向に対して角度を有しているようになっているのに対して,イ号意匠の場合にはこの角度を有しない点で異なる。 しかしながら,このような差異は,類似の範囲に属するものと考えられる。 以下の物品の意匠の類否判断の基準として参考となる判決を用いて,この点を説明する。(参考:平成10(ワ)4397意匠権 民事訴訟事件:消火器収納具(消火器スタンド) (ア)すなわち,本判例を本件登録意匠とイ号意匠との対比に用いて説明すると,「対比すべき両意匠について,形状に差異があるが,看者の視点から両意匠を観察した場合,この形状(傾斜角)の差異は,看者が手に持ってカバー部の斜め上方から観察した場合にはとりわけ目立つものではなく,仮に目の高さまで持ち上げ,且つ括れ部分と放熱フィン部の境界に目の高さを水平に一致させるというような方法で観察する場合には,両意匠の形状(傾斜角)に差異は局部的に認められると思料するが,本件登録意匠の全体形状,特に要部である括れの斬新性からすれば,それ以外の放熱部の一部の形状(傾斜角)の差異は,全体形状の類似性に埋没する程度の微差にすぎないものというべきである」,と言える。 更に照明器具が設置されている状況下では,放熱部の一部の形状(傾斜角)の差異は全く認識できないものというべきあると確信する。 (イ)以上,イ号意匠は,本件登録意匠の要部の特徴を充足しつつ,それ以外の形状をやや変形させた程度のものであって,本件登録意匠の全体形状の斬新性からすれば,なお,全体形状の類似性に埋没する程度の微差にすぎず,看者からすれば本件登録意匠とイ号意匠とは類似物品であるとの誤解を招くものと考えられると結論付ける。 (3-3)まとめ 以上まとめると,イ号意匠には本件登録意匠の要部が存在し,またこの要部は公知なものではなく,また更に本件登録意匠のその他の部分に関しても,差異は存在するものの,上述した通り,全体形状の類似性に埋没する程度の微差にすぎないものというべきである。よって,両意匠は類似の範囲に属するものと結論づけ得る。 (4)本件登録意匠の部分の当該物品全体の形態の中での位置,大きさ,範囲 (4-1)位置及び範囲 請求人も自認する通り,両意匠は概ね一致している。 (4-2)大きさ 本件大きさに関して,請求人は差異点を主張するので,この点を吟味する。 (ア)カバー部について(乙第5号証) カバー部の括れの開始部と終了部の径の差に関して,請求人は,本件登録意匠の場合,41対45の比となっており,イ号意匠の場合は,39対41の比となっていると主張する。 しかしながら,被請求人がイ号意匠(LDA9L-H-R1)を実測したところ,50mm対55mmとなっている。これらを数値で比較すると,前者が0.911(41対45),後者が0.909(50対55)となる。すなわち,0.91対0.91と説明できる。なお,請求人がイ号意匠の実物や設計図等を用いて説明せず,仮の値を用い,判定請求書【図5】のような手書きのポンチ絵を用いて説明している点に関し,正確性に欠けるものと主張したい。このような,請求人に都合の良い手書きポンチ絵を用いて有利な判定を取得しようとすることはあってはならないものである。 (イ)放熱部(リング状の部分(余地部)が存在する部分)について(乙第6号証) 括れ対リング状の部分(余地部)の鉛直方向の長さの比に関して,請求人は,本件登録意匠の場合,5対3の比となっていると主張する。 これに対して,被請求人はイ号意匠を計測(リング状の部分(余地部)を水平方向の実際の長さとして計測)したところ,1.7対0.8となった。 すなわち,2(5対3)対2.125(1.7対0.8)となり,2対2と説明できる。湾曲する部分の鉛直方向の長さと水平方向の直線長さの計測では,誤差が生じることは理解した上で参考値として提示する。 つまり,括れ部分の長さと放熱部の境界線からの長さの比較では,両意匠の差は微差であり,請求人の説明は失当である。 (4-3)まとめ 以上まとめると,請求人の主張(測定或いは分析)は誤りがあるものと思料し,それに関する主張はこの誤り等をベースにしたものであるため,納得できるものではなく,当然採用されるべきものではない。 3.結論 以上のとおり,本件登録意匠とイ号意匠は,本件登録意匠の要部において構成態様を共通にするものであり,差異は,看者の注意を惹きつけるものではなく,両意匠の差異は,両意匠の共通点を凌駕するものではないから,看者に異なる印象を与えないということができる。したがって,本件登録意匠とイ号意匠は,全体として看者,或いは需要者の視覚を通じて起こさせる美観を共通にしているものということができるから,類似するというべきである。 第3 当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠(意匠登録第1357993号)は,平成20年(2008年)9月22日に意匠登録出願され,平成21年(2009年)4月3日に意匠権の設定の登録がなされたものであり,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「発光ダイオードランプ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載のとおりとしたもので,その記載内容によると,「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録をうけようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」(以下,本件登録意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本件実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) すなわち,本件登録意匠は,発光ダイオードランプであって,発光ダイオードを光源とする電球である。本件実線部分は,カバー部と放熱部の接合部付近の周側面に位置するもので,カバー部の最大径部から,凹部を経て,放熱部の縁材下端部までの範囲であって,これはカバー部の最大径部から放熱部上端寄り部付近までの範囲(接合部からフィン部の間の4分の3の範囲)といえ,電球全体の垂直方向の長さの約1割の大きさである。 その形態は, (A)カバー部と放熱部の接合部付近は,電球の周側面全周に亘って均一に凹んでおり,凹み内に接合部が存在している。 (B)カバー部は,放熱部との接合部に向けて,極わずかに電球の外側に向かって屈曲した後,大きく内側に向かって屈曲しながら縮径している。 (C)放熱部は,接合部と放熱フィン部の間に,扁平な周側帯を構成している。 (D)放熱部は,接合部から口金部方向に向けて斜面を成して漸次拡径し,最大径に至った後,極細幅周帯状の垂直な周側面を構成している。 (E)(D)は縁部材として形成されている。 (F)カバー部と放熱部は,段差のない連続面を構成している。 (G)カバー部と放熱部の垂直方向の寸法(登録意匠公報(判定請求書甲第1号証)を計測。以下(H)も同様。)は,正面視で約5mm対約3mmである。 (H)カバー部の最大径と凹部の最小径の水平方向の寸法は,約42mm対約39mmである。 2.イ号意匠 イ号意匠は,判定請求書に添付されたイ号図面及び説明書に示す意匠(別紙第2参照)に表されたとおりのものであり,本件登録意匠の本件実線部分に相当する部分(以下,「イ号相当部分」という。)は,イ号図面において表された当該部分である。 すなわち,イ号意匠は,LED電球であって,発光ダイオードを光源とする電球である。イ号相当部分は,カバー部と放熱部の接合部付近の周側面に位置するもので,カバー部の最大径部から,凹部を経て,放熱部の上端部寄り付近までの範囲(接合部からフィン部の間の4分の3の範囲)であり,電球全体の垂直方向の長さの約1割の大きさである。 その形態は, (a)カバー部と放熱部の接合部付近は,電球の周側面全周に亘って均一に凹んでおり,凹み内に接合部が存在している。 (b)カバー部は,放熱部との接合部に向けて,電球の外側に向けて小さく屈曲しながら縮径している。 (c)放熱部は,接合部と放熱フィン部の間に,扁平な周側帯を構成している。 (d)放熱部は,接合部から水平面で拡径し,最大径に至った後,垂直方向に幅広周帯状の垂直面を構成している。 (e)放熱部は端部に至るまで一体的に形成されている。 (f)カバー部と放熱部は,鋭角に交わっている。 (g)カバー部と放熱部の垂直方向の寸法(イ号意匠図面(判定請求書記載)を計測。以下(h)も同様。)は,約2mm対約3.75mmである。 (h)カバー部の最大径と括れ部の最小径の水平方向の寸法は,約37.5mm対約35mmである。 3.両意匠の対比 両意匠の意匠に係る物品は,表記は異なるものの,発光ダイオード(LED)を光源とする電球である点で物品が共通するものである。 本件実線部分は,放熱部とカバー部の接合部付近の周側面に位置し,カバー部の最大径部から,凹部を経て,放熱部の上端部寄り付近までの範囲であり,イ号意匠にも同様の部分(イ号相当部分)が存在する。本件実線部分とイ号相当部分は,その位置,大きさ及び範囲が,ほぼ一致している。 そして,本件実線部分とイ号相当部分の形態については,主として以下の共通点と差異点が認められる。 (1)共通点 (ア)カバー部と放熱部の接合部付近は,電球の周側面全周に亘って均一に凹んでおり,凹み内に接合部が存在している点, (イ)放熱部は,接合部と放熱フィン部の間に,扁平な周側帯を構成している点, が認められる。 (2)差異点 (ウ)放熱部との接合部に向かう,カバー部の形態が,本件登録意匠は,極わずかに電球の外側に向かって屈曲した後,大きく内側に向かって屈曲しながら縮径しているのに対して,イ号意匠は,電球の外側に向けて小さく屈曲しながら縮径している点, (エ)放熱部の形態が,本件登録意匠は,カバー部との接合部から口金部方向に向けて斜面を成して漸次拡径し,最大径に至った後,極細幅周帯状の垂直な周側面を構成しているのに対して,イ号意匠は,接合部から水平方向に拡径し,最大径に至った後,垂直方向に幅広周帯状の垂直面を構成している点, (オ)本件登録意匠は,放熱部縁部に縁部材を配しているのに対して,イ号意匠には縁部材は存在しない点, (カ)本件登録意匠は,カバー部と放熱部を段差の無い連続面で構成しているのに対して,イ号意匠は,鋭角に交わっている点, (キ)本件登録意匠のカバー部と放熱部の垂直方向の寸法は,正面視で約5mm対約3mmであるのに対して,イ号意匠は,約2mm対約3.75mmである点, (ク)本件登録意匠のカバー部の最大径と凹部の最小径の水平方向の寸法は,約42mm対約39mmであるのに対して,イ号意匠は,約37.5mm対約35mmである点, が認められる。 4.本件登録意匠とイ号意匠との類否判断 以上の共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,両意匠の類否を意匠全体として総合的に検討し,判断する。 (1)共通点の評価 共通点(ア)については,周側部に凹部を有する意匠という大きな枠組みの範疇に入るものといえるが,それは概括的な共通性に過ぎず,この種物品の販売態様,使用の態様等を考慮すれば,当該部分は,見る者の特に目に付きやすい部位というべきであるから,このような概括的な共通性のみで両意匠の類否判断を決定付けるということはできない。 なお,請求人は,欧州共同体登録意匠000812359-0004(甲第3号証,別紙第4参照)の公知意匠からすれば,1.カバー部が境界線に向かい漸次縮径している点,特に,2.カバー部の外形線が外向きに湾曲したものである点は,本件登録意匠の出願前に公知の形態であったことが明らかである旨主張するが,上記公知意匠はカバー部と放熱部の接合部の位置が不明であることから,上記公知意匠を参酌して類否判断を行うことは失当である。 共通点(イ)については,接合部と放熱フィン部の間に,扁平な周側帯を構成するものは,例えば,意匠登録第1339373号(甲第4号証,別紙5参照)があり,本件登録意匠の出願前にも見受けられる態様であって,両意匠のみに見られる特徴とはいえない。 さらに上記の共通点を総合しても,両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。 (2)相違点の評価 相違点(ウ)については,本件実線部分は極わずかな外側向き屈曲と大きな内側向き屈曲によって,略「S」字状を成しているのに対して,イ号相当部分は,小さな外側向き屈曲を成しているものであって,両意匠の印象は明らかに異なるものであるうえ,両意匠の,接合部に近接する屈曲方向は正反対であるため,この差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいといわざるを得ない。さらに,この箇所は電球の光源部に係る箇所の形態であって,需要者の注意を特に強く惹く部分であるから,両意匠の類否判断に極めて大きな影響を与えるものといえる。 相違点(エ)については,斜面と垂直面で放熱部を構成する本件実線部分に対し,水平面と垂直面で構成するイ号相当部分とでは,需要者にとって明確に印象が異なるものといえ,また,当該斜面を有する本件登録意匠の態様は,本件登録意匠の特徴ある態様であって,イ号意匠の態様とは印象が異なるもので,この差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいといわざるを得ない。 相違点(オ)については,縁部材の有無によって,縁部材下端の形状線が外観上表れるか否かという差異が生じ,それは細部に係る差異ではあるが,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといわざるを得ない。 相違点(カ)については,本件実線部分は,連続面であるがゆえに電球の周側面を緩やかに絞り込んだような括れとして捉えられるのに対して,イ号相当部分は,鋭角に交わっているために,単なる継ぎ目の段差として捉えられる程度のものであって,相違点(ウ)のカバー部の屈曲態様と相俟って両意匠の全体的な印象に影響を与えるもので,類否判断に与える影響は大きいといわざるを得ない。 相違点(キ)及び相違点(ク)については,カバー部と放熱部の垂直方向の比率は,本件実線部分が1.67:1であるのに対して,イ号相当部分は,1:1.88であり,カバー部の最大径と凹部の最小径の水平方向の比率は,本件実線部分は1.08:1であるのに対して,イ号相当部分は,1.07:1となり,垂直方向の大きさは相違することから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度ある。 なお,被請求人は,「『対比すべき両意匠について,形状に差異があるが,看者の視点から両意匠を観察した場合,この形状(傾斜角)の差異は,看者が手に持ってカバー部の斜め上方から観察した場合にはとりわけ目立つものではなく,仮に目の高さまで持ち上げ,且つ括れ部分と放熱フィン部の境界に目の高さを水平に一致させるというような方法で観察する場合には,両意匠の形状(傾斜角)に差異は局部的に認められると思料するが,本件登録意匠の全体形状,特に要部である括れの斬新性からすれば,それ以外の放熱部の一部の形状(傾斜角)の差異は,全体形状の類似性に埋没する程度の微差にすぎないものというべきである』,と言える。更に照明器具が設置されている状況下では,放熱部の一部の形状(傾斜角)の差異は全く認識できないものというべきあって,イ号意匠は,本件登録意匠の要部の特徴を充足しつつ,それ以外の形状をやや変形させた程度のものであって,本件登録意匠の全体形状の斬新性からすれば,なお,全体形状の類似性に埋没する程度の微差にすぎず,看者からすれば本件登録意匠とイ号意匠とは類似物品であるとの誤解を招くものと考えられる」旨主張する。 しかしながら,この種物品については,販売時の広告やパッケージなどは正面形状を表したものが多く見受けられ,需要者もそれを見ながら商品を選択するものであり,また,電球は小型な光源であるという性質上,天井照明など需要者から離れた場所で使用する他に,手元近くの照明器具にも使用することが想定される以上,特定の視点に偏ることなく全体形状をもって類否判断せざるを得ず,特に両意匠の場合,当該部分を最もよく視認できる正面からの視点を軽視することはできない。したがって,この点における被請求人の主張は採用することができない。 以上,上記相違点を総合して捉えた場合,両意匠に別異なものと印象づけるような大きな影響を与えているといえる。 5.小括 したがって,これらの共通点と相違点を総合して判断すれば,本件登録意匠とイ号意匠とは,意匠に係る物品が共通し,本件実線部分とイ号相当部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は,ほぼ一致しているが,形態については,共通点が類否判断に与える影響は限定的であるのに対して,相違点は両意匠を別異なものと印象づけるような大きな影響を与えるものであり,両意匠は類似するとはいえない。 第4 結び 以上のとおりであって,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 よって,結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2013-12-13 |
出願番号 | 意願2008-24282(D2008-24282) |
審決分類 |
D
1
2・
1-
ZA
(H1)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 正田 毅 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
富永 亘 橘 崇生 |
登録日 | 2009-04-03 |
登録番号 | 意匠登録第1357993号(D1357993) |
代理人 | 熊谷 昌俊 |
代理人 | 山本 進 |
代理人 | 溝上 哲也 |
代理人 | 岩原 義則 |