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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F4
管理番号 1286496 
審判番号 不服2013-19725
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-10 
確定日 2014-02-26 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2012-4966「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2011年9月7日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)3月6日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするもので,「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注;以下,「本願実線部分」という。)である。」としたものである。(別紙第1参照)

第2 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,本願意匠に係るこの種物品の分野において全体を透明な材質にすること(例えば,意匠1及び意匠2)も,周側面の適宜の部位に窓部を形成すること(例えば,意匠3,意匠4,及び意匠5)も,商習慣上普通に行われているところ,本願の意匠は,日本国内において広く知られた全体が透明な縦長直方箱体(例えば,意匠1及び意匠2)の正面(吊り下げ孔の形成されている面)下半分にやや下すぼまりのアーチ状窓(例えば,意匠3及び意匠4)を表した程度にすぎず,容易に創作できたものと認められる,というものである。

意匠1(当審注:別紙第2参照)
特許庁意匠課が1997年 7月10日に受け入れた(株)共和発行の
カタログ「パイロンハンディディスペンサー」
第1頁所載
包装用容器の意匠中包装用台紙を除いた意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC09009450号)

意匠2(当審注;別紙第3参照)
特許庁総合情報館が2000年 6月12日に受け入れたベネルックス特許庁発行の
ベネルクス意匠公報 2000年 4月21日4号
第778頁所載
包装用箱の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH12008830号)

意匠3(当審注:別紙第4参照)
特許庁意匠課が2003年11月28日に受け入れたfausto GmbH & Co. KG発行の
外国カタログ「mehr als eine Verpackung」
第6頁所載
包装用箱の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD15034159号)

意匠4(当審注;別紙第5参照)
特許庁意匠課が1997年11月11日に受け入れた日本ロックタイト(株)発行の
カタログ「たれないジェル状瞬間接着剤」
第1頁所載
包装用容器の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC10017484号)

意匠5(当審注;別紙第6参照)
特許庁総合情報館が1990年11月 1日に受け入れた MillerPublishingCompany発行の
GardenSupplyRetailer 1990年 9月30日8号
第37頁所載
包装用箱の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB02024233号)

第3 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠の形態
本願意匠は,「第1 本願意匠」で述べたとおりのものであって,本願実線部分は,ごく薄い透明材で作られた,前後に扁平(へんぺい)な,略縦長四角柱状の箱体で,正面上端のつり下げ用の舌体部を除いた箱状本体部分であって,本体部分正面略下半部左右中央には上部がアーチ状になった開口部が設けてあり,その開口部は,詳細には,上部は半円よりもやや扁平なカーブのアーチ形状とし,下部はやや下すぼまりの倒立等脚台形であって,やや大きめの角丸によって底辺へとつながる態様である。

2.本願意匠の創作の容易性について
この種物品分野において,ごく薄い透明材で作られた,前後に扁平な略縦長四角柱状の箱体は,意匠1及び意匠2に表れているようにごくありふれた態様であり,側面略下半部左右中央に開口部を設けた態様は,意匠5に表れており,右に偏ってはいるが,正面略下半部に,上部がアーチ状になった開口部を設けた態様が,意匠3に表れていることから,ごく薄い透明材で作られた,前後に扁平な,略縦長四角柱状の箱体で,本体部分正面略下半部左右中央に上部がアーチ状になった開口部を設けた態様は,容易に創作できると認められる。
しかしながら,開口部の上部のアーチ状部が半円よりもやや扁平である態様,開口部の下部がやや下すぼまりとなっている態様,及び開口部下側の角がやや大きめの角丸になっている態様は,先行意匠には見られない本願意匠独自の態様を持つものであるから,本願意匠は,公知の形態に基づいて容易に創作ができたものということはできない。

3.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-02-14 
出願番号 意願2012-4966(D2012-4966) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和木本 直美 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2014-04-04 
登録番号 意匠登録第1496777号(D1496777) 
代理人 松下 満 
代理人 井野 砂里 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 鈴木 博子 
代理人 弟子丸 健 
代理人 辻居 幸一 

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