ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
不服201315398 | 審決 | 意匠 |
不服201319175 | 審決 | 意匠 |
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
---|---|
管理番号 | 1286497 |
審判番号 | 不服2013-20823 |
総通号数 | 173 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-25 |
確定日 | 2014-03-14 |
意匠に係る物品 | 飲料供給機 |
事件の表示 | 意願2012-9675「飲料供給機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成24年(2012年)4月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「飲料供給機」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁発行の意匠公報に記載の意匠登録第1409175号「飲料供給機」の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「飲料供給機」であって,同一である。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)両意匠の共通点 基本的構成態様においては,幅広の略縦長直方体の本体部の後に,平面視で略半円柱状の給水容器を配置し,本体部上側に,先端が丸い円柱状の抽出口部を前方に向けてくちばし状に突設させ,本体部下端前側に容器受け台を設けた点が共通し,具体的構成態様においては,本体部は,前面中央を容器受け台の幅に合わせて僅かにへこみ曲面とし,背面は幅一杯を略円弧状に突出させ,上面を略U字状傾斜面に形成して,その両側に操作部を配したものであって,給水容器は,その背面左右に略V字状切り欠きを縦に入れたものであって,抽出口部は,略上半分を前後一杯にわたってカバー部とし,先端につまみ部を設け,前半部に略円筒形カートリッジ・ホルダーを垂下させたものであって,容器受け台を略半長円形状としたものである,という点が共通している。 (2-2)両意匠の相違点 それに対して,具体的構成態様において,(A)本体部の高さにつき,本願意匠は,抽出口部上端とほぼ同じ高さであるのに対して,引用意匠は,抽出口部の厚さの約2分の1(抽出口部のカバー部を除いた位置)までの高さである点,(B)抽出口部のカバー部につき,本願意匠は,全体に細長く,上方への膨出度合が小さいのに対して,引用意匠は,全体が太く,短く,上方への膨出度合が大きい点,(C)抽出口部先端のつまみ部につき,本願意匠は,抽出口部における本体部の傾斜面先端近傍に回転軸を設け,そこから抽出口部先端約3分の2を回り込むように平面視馬蹄形(ばていけい)の,サンバイザー様の大きな可動部をつまみ部にしているのに対して,引用意匠は,カバー部先端に一体となった三日月形のつまみ部を設けている点,(D)カートリッジ・ホルダー部につき,本願意匠は,やや細身の,下にすぼまった略倒立円すい台状であるのに対して,引用意匠は,やや太い略円柱状である点,(E)給水容器の形状につき,本願意匠は,奥行き長さが短く,円弧状背面に鋭利なV字状切り欠きを入れたもので,その平面視は,三日月形にV字状切り欠きを入れたように見えるのに対して,引用意匠は,奥行き長さが長く,幅広いV字状切り欠きを入れているため,その平面視は,略凸字状に見える点,(F)容器受け台の厚さにつき,本願意匠は薄いのに対して,引用意匠は厚い点,において主な相違点が認められる。 (3)類否判断 両意匠を比較した場合,共通点は,両意匠の形態全体の骨格的な態様をなし,一定程度の共通する印象を与えると言えるが,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできない。 これに対して,具体的態様である相違点(A)は,両意匠に係る物品の機能的要部である抽出口部との相関関係で,本願意匠は本体部が高く感じられ,その略U字状傾斜面は目に付きやすくなっており,その両側には操作部を設けてあるから,この差は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考えられる。相違点(B)は,使用時に目に付きやすい部分であって,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(C)は,カバー部が一体に動く引用意匠と,カバー部とは別体のつまみ部のみが可動する本願意匠とは,部品点数,操作方法が異なり,その機構的な差異が形状に大きく表れ,両意匠に異なる印象を生じさせているものであって,両意匠の類否判断に大きな影響を与えると認められる。相違点(D)は,カバー部の下側にある部分であるから,見えにくい所ではあるが,この相違点を含めて,本願意匠は,全体的にスリムでコンパクトな印象を与えるものであるから,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。そして,相違点(E)及び(F)は,相違点(B)及び(D)と相まって,全体の奥行き長さと本体横幅長さの差と合わせて,本願意匠を,全体的にコンパクトに見せるため,これらの差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるといえる。 以上のとおりであって,相違点がもたらす印象は,前記共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,同法同条同項柱書によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2014-03-04 |
出願番号 | 意願2012-9675(D2012-9675) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 温品 博康、小林 裕和 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 富永 亘 |
登録日 | 2014-04-04 |
登録番号 | 意匠登録第1496462号(D1496462) |
代理人 | 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所 |