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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E0 |
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管理番号 | 1286500 |
審判番号 | 不服2013-18577 |
総通号数 | 173 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-09-26 |
確定日 | 2014-03-19 |
意匠に係る物品 | ペット用歯ブラシ |
事件の表示 | 意願2012- 19465「ペット用歯ブラシ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)8月10日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「ペット用歯ブラシ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものであり,「紫色で着色された部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願請求部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成5年(1993年)9月14日)に掲載された,意匠登録第877805号(意匠に係る物品,歯ブラシ)の意匠の,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分(以下,本願請求部分に相当する引用意匠の部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,人用とペット用の違いはあるもの,いずれも歯を磨く歯ブラシに係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 2.本願請求部分と引用相当部分の対比 (1)本願請求部分と引用相当部分の用途及び機能 本願請求部分と引用相当部分(以下,「両意匠の当該部分」という。)は,いずれも歯ブラシの柄についての,太めのハンドル部分と,細身のネック部分の一部であるから,両意匠の当該部分の用途及び機能は,共通する。 (2)両意匠の当該部分の位置,大きさ及び範囲 両意匠の当該部分は,いずれも歯ブラシの柄についての,太めのハンドル部分と,ネック部分における約1/2の長さの部分であるから,両意匠の当該部分の位置,大きさ及び範囲は,ほぼ一致する。 (3)両意匠の当該部分の形態 両意匠の当該部分の形態を対比すると,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 なお,対比のため,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,引用意匠の「正面図」を左に90°回転させ「平面図」とし,引用意匠の「背面図」を左に90°回転させ「底面図」とし,引用意匠の「平面図」を上下反転させ「左側面図」とし,引用意匠の「底面図」を「右側面図」とし,その他の図面も,これらに準じて表されているものとする。 まず,共通点として,(A)両意匠の当該部分全体は,断面視略楕円状の棒状体からなるハンドル部分(以下,「ハンドル部」という。)のヘッド側端部に,断面視隅丸四角形状の棒状体からなるネック部分(以下,「ネック部」という。)を一直線上になるよう設けたものであって,(B)ハンドル部は,平面視において中央部分を外側にわずかに膨出させた扁平な略横長楕円形状とし,ハンドル部とネック部の接合部分の平面側に,その稜線が平面視略横向き放物線状に表れる突出部を1つ形成している点,(C)ネック部は,ヘッド部分に向かって漸次細くなるよう形成し,底面側においてハンドル部と一体的になるよう滑らかに形成している点,(D)ハンドル部のヘッド側と反対側の端部付近に,平面から底面側に貫通する貫通孔を1つ形成している点,が認められる。 他方,相違点として, (ア)ハンドル部とネック部の接合部分の態様について,本願請求部分は,底面部以外の接合部分に段差部を一段形成して接合しているのに対し,引用相当部分は,接合部分に段差部を設けることなくなだらかな傾斜により一体的に接合している点, (イ)ハンドル部の態様について,本願請求部分は,側面視において底面側を略弓形状に膨出して形成し,分厚い形状としているのに対し,引用相当部分は,側面視において底面側をほぼ直線状とし,薄厚な形状としている点, (ウ)ネック部の態様について,本願請求部分は,平面視におけるネック部とハンドル部の短手方向の幅の比を約1:3とした,やや太めの棒状体としているのに対し,引用相当部分は,当該比を約1:4.5とした,細長の棒状体としている点, (エ)ハンドル部に形成された貫通孔の態様について,本願請求部分は,平面視円孔の貫通孔であるのに対し,引用相当部分は,平面視略楕円状の貫通孔である点,が認められる。 3.両意匠の当該部分の類否判断 両意匠の当該部分の形態における共通点は,両意匠の歯ブラシの柄の態様を概括的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の当該部分の類否判断を決定することはできないものである。 これに対し,相違点(ア)ハンドル部とネック部の接合部の態様の相違点は,ヘッド方向から見た斜視図において特に目立つものであり,本願請求部分のハンドル部から一段段差を設けてネック部を接合した態様と,引用相当部分のハンドル部とネック部を滑らかに接合した態様とは,全く異なる印象を与えるものであるから,この相違点が両意匠の当該部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。 次に,相違点(イ)及び相違点(ウ)の各部位の態様の相違点は,本願請求部分の全体として肉厚で頑丈な印象を与える態様は,引用相当部分における細長で華奢な印象を与える引用相当部分の態様とは,別異な印象を与えるものであるから,この相違点が両意匠の当該部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(エ)貫通孔の態様の相違点は,部分的なものであり,両意匠の当該部分全体の共通する特徴に埋没する程度のものであるから,この相違点が両意匠の当該部分の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 さらに,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,両意匠の当該部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものであるといえる。 4.両意匠の類否判断 両意匠の意匠に係る物品については,共通し,両意匠の当該部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても,共通しているが,両意匠の当該部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象と与えるものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-03-03 |
出願番号 | 意願2012-19465(D2012-19465) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(E0)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 久保田 麻理、平田 哲也、木本 直美 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
中田 博康 江塚 尚弘 |
登録日 | 2014-04-25 |
登録番号 | 意匠登録第1498772号(D1498772) |
代理人 | 高柴 忠夫 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 高橋 詔男 |