ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J5 |
---|---|
管理番号 | 1287483 |
審判番号 | 不服2013-21425 |
総通号数 | 174 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-06-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-11-01 |
確定日 | 2014-04-04 |
意匠に係る物品 | 台間用パチンコ玉貸出機 |
事件の表示 | 意願2011- 26038「台間用パチンコ玉貸出機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成23年(2011年)11月11日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「台間用パチンコ玉貸出機」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表す部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2009年12月 1日に受け入れた, 「遊技通信」2009年11月25日1362号, 第127頁所載,下方左端のパチンコ玉貸出し機の該当部分の意匠であって,その形態は,同雑誌に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) なお,本願部分と対比をする引用意匠の相当部分を以下,「引用相当部分」という。 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「台間用パチンコ玉貸出機」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「パチンコ玉貸出し機」の意匠であって,表記は異なるが,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は共に,隣合うパチンコ台の間等に設置する玉貸出し機であることから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 (2)両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲 本願部分及び引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも,略縦長長方形状のパチンコ玉貸出し機の略中央部の表示部の部分であって,その用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲は共通する。 (3)両意匠部分の形態 両意匠部分の形態を対比する(なお,両意匠部分を対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに合わせる)と,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず,共通点として,両意匠部分は,表示部の前面として,略横倒台形状区画部を形成している点,表示部前面上部に縦長長方形状の表示器を配し,表示器直下部に操作ボタンを配した点,が認められる。 他方,両意匠部分には以下のような相違点がある。 (ア)表示部の形態について,本願部分は,台間用玉貸出機本体から左側を前方に突出させることで表示部前面を右向きに傾斜させ,平面視略三角注状に突設したものであるのに対して,引用相当部分は,側面視及び平面視が現されていないため,その形態は不明である, (イ)表示部前面について,本願部分は,横倒の等脚台形状であるのに対し,引用相当部分は,横倒の台形状ではあるものの左下角部が左上角部よりも大きな隅丸状であって,右下角部は右上角部より更に鋭角である点, (ウ)操作ボタンについて,本願部分は,横長長方形状で,表示部前面の略左右中央の位置に配しているのに対して,引用相当部分は,横長楕円形状で,左寄りに配している点, (エ)表示器の縦横の比率が,本願部分は,約5対2であるのに対して,引用相当部分は,約5対1である点, (オ)表示器の位置について,本願部分は,表示部前面の上半部右寄りに,本願部分の縦の長さの約3分の1の長さの表示器を配しているのに対し,引用意匠は,中央やや上寄りの左寄りに,引用相当部分の縦の長さの約6分の1の長さの表示器を配している点, (カ)表示部前面について,引用意匠には縁部が設けられているが,本願意匠は設けず面一である点, が認められる。 2.両意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が,両意匠の類似性の判断に与える影響を評価し,意匠全体としての両意匠の類似性について検討し,判断する。 両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲が共通であるが,形態については,以下のとおりである。 (1)共通点の評価 まず,上記の両意匠部分の形態における共通点は,両意匠部分である表示部の態様を概括的に捉えたに過ぎないものであり,この共通性のみをもって両部分の類否判断を決定することはできない。 (2)相違点の評価 これに対し,相違点(ア)については,突出しているか否か,突出形状,突出の度合いなどの態様は,看者にとって,両意匠部分の視覚的な印象を決定づけるものであるから,この相違点が,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいといえるが,引用相当部分は,写真からは奥行き方向に関する具体的形態が不明であって,本願部分と比較検討することができない。 次に,相違点(イ)については,使用時に最も見えやすい部位に係り,表示部全体形状に関わるものであるから,視覚的に大きく異なる印象を与えるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 また,相違点(ウ)については,一部位についての相異ではあるものの,使用者が直接触れる部分であるうえ,形状及び位置が明らかに異なっており,両意匠部分の視覚的印象を大きく異にするものであり,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 そして,相違点(エ)及び(オ)については,本願部分は表示器や操作ボタンを上側に配し,下側に大きな余白部を備えているのに対し,引用相当部分は,表示器や操作ボタンを略全面に亘って配しているため,視覚的に大きく異なる印象を与えるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 さらに,相違点(カ)については,縁部が設けられているものも、面一なものもよくある態様ではあるが,目に付き易い部位に係るものであって,看者に両意匠部分が別異であるとの印象を与えるものであるから,相違点(ア)及び(イ)とも相まって両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えていると言える。 (3)小括 両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲が共通するが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを凌駕しており,全体として別異の印象を与えるものであるから,本願部分は,引用相当部分に類似するということはできない。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するということはできないから,同法同条同項柱書によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2014-03-19 |
出願番号 | 意願2011-26038(D2011-26038) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J5)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 雅美、温品 博康 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 富永 亘 |
登録日 | 2014-05-09 |
登録番号 | 意匠登録第1499281号(D1499281) |
代理人 | 稲岡 耕作 |
代理人 | 川崎 実夫 |