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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1
管理番号 1289631 
審判番号 不服2012-15627
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-10 
確定日 2013-07-19 
意匠に係る物品 キャパシタ 
事件の表示 意願2011- 11030「キャパシタ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,秘密にすることを請求する期間を1年とし,本意匠を意願2011-11028(意匠登録第1433913号)とする関連意匠の意匠登録出願として,平成23年(2011年)5月17日に出願されたものであって,その意匠は,意匠に係る物品が「キャパシタ」であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び本意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。

本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,秘密にすることを請求する期間を1年とする意匠登録出願として,平成23年(2011年)5月17日に出願されたものであって,平成24年(2012年)年1月27日に意匠権の設定の登録がなされた意願2011-11028号(意匠登録第1433913号)の意匠であって,その意匠は,意匠に係る物品が「キャパシタ」であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,両意匠は,いずれも蓄電するためのモジュールである「キャパシタ」に係るものであるから,意匠に係る物品が一致する。
本願実線部分と本意匠実線部分(以下,「両部分」という。)は,略横長直方体状のキャパシタ本体部の正面上部を左側面視略L字状に切り欠いて段部(以下,「段部」という。)を設け,正面視した左右に余地部を残して左右寄りに端子部を対称に配したものとし,上面板の水平に表れる正面側端部の肉厚部から垂直面部(以下,「垂直面部」という。)を経て水平面部(以下,「水平面部」という。)までを部分意匠として登録を受けようとする部分としたものであり,両部分の部分意匠としての用途及び機能が一致し,その位置も共通している。
両部分の大きさと範囲及び形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)キャパシタ本体部の正面上部を左側面視略L字状に切り欠き,横長帯状の凹凸のない垂直面部と同水平面部を構成している点,(B)垂直面部の正面視の縦横比を約1:8.9としている点,(C)垂直面部の左右に余地部を残して左右寄りに破線部で表した端子部を対称に配した点,において主に共通する。
(2)差異点
水平面部の具体的な態様について,本願実線部分は,垂直面部の高さと水平面部の奥行きがほぼ同じ長さであるのに対して,本意匠実線部分は,水平面部の奥行きが垂直面部の高さの約2倍の長さである点,において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,前記共通点(A)については,この種物品において,端子部を設ける箇所を両意匠のように横長帯状の凹凸のない垂直面部と同水平面部を左側面視略L字状に構成した態様は,両意匠出願前には見られなかったものであり,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものであり,また,共通点(B)の垂直面部の態様は,正面視した態様が全く同一で,両部分の意匠において強い共通感を需要者に抱かせるもので,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものであり,さらに,共通点(C)については,垂直面部に破線部で表した端子部を配することは,先行公知意匠には見られない特徴であり,共通の美感を起こさせ,両部分の意匠の類否を決定付けているものというべきである。
これに対し,差異点は,水平面部の奥行きの長さのみの差異であって,上記両部分の意匠の共通点に埋没してしまう程度の,部分的で軽微な差異といえるものであるから,両部分の意匠の類否判断にあたって格別の評価をすることはできない。
そうすると,共通点は,両部分の意匠に独自で特徴的なものであり,需要者の注意を強く惹き,共通の美感を起こさせるものであるのに対し,水平面部における差異点は,その視覚に訴える意匠的効果としては格別の評価ができないものであるから,共通点が差異点を凌駕し,両部分の意匠は,類似するものと認められる。
(小括)
以上のとおり,本願意匠と本意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の部分意匠としての用途及び機能が一致し,その位置も共通し,大きさ及び範囲については相違するものの,全体の中では程度の小さな相違であり,両部分の形態についても,共通点が差異点を凌駕し,相互に類似するものであるから,本願意匠は,本意匠を意匠登録第1433913号(意願2011-11028)とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するので,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-07-08 
出願番号 意願2011-11030(D2011-11030) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 江塚 尚弘 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 中田 博康
原田 雅美
登録日 2013-08-09 
登録番号 意匠登録第1479117号(D1479117) 
代理人 出山 匡 
代理人 西浦 ▲嗣▼晴 

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