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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5 |
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管理番号 | 1289640 |
審判番号 | 不服2013-21247 |
総通号数 | 176 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-10-31 |
確定日 | 2014-07-16 |
意匠に係る物品 | 取付用便器 |
事件の表示 | 意願2012- 12847「取付用便器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成24年(2012年)5月31日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「取付用便器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2012年4月19日に受け入れた,大韓民国意匠商標公報2012年3月15日12-05号に記載の「ビデ一体型洋式便器(登録番号30-0632080)」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH24404812号)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれもタンクレスの洋式便器に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。 まず,共通点として, (A)全体は,便器本体部の上部に,便器本体部の上面外形状とほぼ同じ外形状の便座部を載置した構成である点, (B)便器本体部は,平面視略倒横長D字状で下に向かって窄まる略倒立錐体状に形成している点, (C)便座部は,平面視略倒横長D字状であって,平面視略倒立凸状の便座ユニット部に,着座部及びそれを覆う平面視略倒横長D字状の便蓋部を回転可能に軸着し,便座ユニット部上面の凸部と便蓋部上面の凹部とを組み合わせた態様で隙間なく配置している点, (D)便蓋部は,上面部を正面側に向かって僅かに湾曲しながら下に傾斜した形状とし,便座ユニット部側の側面外形状を,背面側に向かって半分よりやや上側の高さまで上に傾斜した形状とし,その上端から上面側に向かって垂直方向に立ち上がった形状としている点, (E)便座ユニット部は,背面側の左右角部を丸面状に形成し,着座部及び便蓋部側の側面外形状と,便座ユニット部側の側面外形状とを組み合わせた態様で隙間なく配置している点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)便器本体部の態様について,本願意匠は,正面部を側面視において正面側に膨出した凸円弧状となるように形成し,背面部中央部分の円孔の周囲を矩形状に残してその下側を浅く切り欠き,その上辺部分に逆ハット状の段差部を形成しているのに対して,引用意匠は,正面部を側面視において正面側に傾斜した直線状となるように形成し,側面部背面側下部分に側面視二重の円弧状切り欠き段差部を形成し,背面部中央部分に略隅丸台形状の形状線が表れている点, (イ)便座部上面の態様について,本願意匠は,便座ユニット部及び便蓋部の上面を,正面側に向かって僅かに湾曲しながら下に傾斜した形状となるように一体的に連続して形成しているのに対して,引用意匠は,便座ユニット部上面を水平な面とし,便蓋部上面のみを正面側に向かって僅かに湾曲しながら下に傾斜した形状に形成している点, (ウ)着座部及び便蓋部と便座ユニット部の間の側面外形状について,本願意匠は,便座ユニット部の約3/4の高さまで背面側に向かって上に傾斜した上に凸円弧状とし,その上端から上は背面側に凸円弧状としているのに対して,引用意匠は,便座ユニット部の約2/3の高さまで背面側に向かって上に傾斜した直線状とし,その上端から上は,上面側に向かって垂直な直線状としている点, (エ)着座部及び便蓋部の態様について,本願意匠は,側面視において,正面側の先端部を背面側に傾斜して形成し,便器本体上面部先端部分から僅かに突出した配置態様とし,便蓋部が着座部のほぼ全体を覆い,着座部下部に配置された基台部が僅かに見えているのに対して,引用意匠は,正面側の先端部を垂直な直線状に形成し,便器本体上面部先端部分と一致する配置態様とし,便蓋部が着座部の上面部分のみを覆い,着座部側面部分がほとんど見えている点, (オ)便座ユニット部上面の略矩形状枠部分の配置態様について,本願意匠は,平面視略台形状の枠部を左端部中央やや背面側寄りの位置に配設しているのに対して,引用意匠は,平面視略縦長長方形状の枠部を凸部の左端部付近に配設している点, が認められる。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 まず,共通点(A)の全体の態様,共通点(B)の便器本体部の態様は,便器の意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,本願意匠の出願前に既に見られる態様であるので,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であると言わざるを得ない。 また,共通点(C)の便座部の態様,共通点(D)の便蓋部の態様,及び,共通点(E)の便座ユニット部(D)の態様も,便座の意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,本願意匠の出願前に既に見られる態様であるので,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響も微弱であると言わざるを得ない。 そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)便器本体部の態様については,正面側に膨出した丸みを帯びた本願意匠の態様は,直線状に傾斜したシャープな引用意匠のものとは,看者に別異な印象を与えるものである上に,側面部に二重の円弧状切り欠き段差部を持つ引用意匠の特異な態様は,それが形成されていない本願意匠のものとは全く異なる印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,相違点(イ)便座部上面の態様については,便座部上面を一つの傾斜面によって形成したとの印象を与える本願意匠の態様は,水平な面を持つ便座ユニット部の前方に,正面側に向かって下に傾斜する便蓋部を別体で形成した引用意匠のものとは,別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(ウ)着座部及び便蓋部と便座ユニット部の間の側面外形状については,該部位は使用時の便蓋部開閉時において目立つものであって,大小2つの円弧状の曲線により構成された本願意匠の態様は,直線状の斜線及び垂直線により構成された引用意匠のものとは,別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きい。 さらに,相違点(エ)着座部及び便蓋部の態様については,側面視において目立つ部位における僅かな程度の差であるが,この相違点は,上記の各相違点とともに,両意匠の類否判断に一定の影響を与える。 そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。 他方,相違点(オ)便座ユニット部上面の略矩形状枠部分の配置態様については,特段特徴のない配置態様における僅かな程度の差であるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 3.小括 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものの,形態においては,両意匠の間には共通点が複数存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を大きく凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-07-01 |
出願番号 | 意願2012-12847(D2012-12847) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範、内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-08-01 |
登録番号 | 意匠登録第1506034号(D1506034) |
代理人 | 前田 大輔 |
代理人 | 中村 知公 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |
代理人 | 小西 富雅 |