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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1290590 |
審判番号 | 不服2014-115 |
総通号数 | 177 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-06 |
確定日 | 2014-08-19 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2013- 2425「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)2月7日に出願された,本意匠を意願2013-002426号(意匠登録第1479720号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。断面図及び端面図を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。破線部分は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である。(別紙第1参照) 第2 原査定の拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって,その理由として,凸条部の形状が,本願部分は略矩形であるのに対し,本意匠実線部分は略円形に構成され,かつ,括れが構成されているため,単に円形か,矩形かの違いを超えて,形状が異なっており,当該部の態様の違いは意匠登録を受けようとする部分全体におよび,意匠としての特徴が異なるため,当該出願の意匠は,本意匠とは類似しないものと認められる,としたものである。 第3 本意匠 本願意匠の本意匠である意願2013-002426号(意匠登録第1479720号)は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成25年(2013年)2月7日に意匠登録出願され,平成25年(2013年)9月17日に意匠公報が発行されたものであり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。断面図及び端面図を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。破線部分は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたもの(以下,本意匠について意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)である。(別紙第2参照) 第4 当審の判断 そこで当審において本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。 1.本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の対比 (1)意匠に係る物品について 本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」であり,一方,本意匠の意匠に係る物品も「包装用容器」であるので,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)本願部分と本意匠実線部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲 (2-1)両意匠部分の用途及び機能について 両意匠部分とも,異なる2種類の食品等を別々に格納し,販売する包装用容器の上面に設けられた,略横向きΩ状のフランジ部分であるから,両意匠部分の用途及び機能は,共通する。 (2-2)両意匠部分の位置,大きさ及び範囲について 両意匠部分は,平面視長手方向の上下中央部が内側に凹んだ,略横長長円形からなる周縁部に設けられた嵌合用のフランジ部の,円弧状に表れる左半分とその両端に接し,外側へ弧状に拡がったところまでを実線とする,略横向きΩ状の部分であり,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲は共通する。 (3)両意匠部分の形態について 両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (3-1)両意匠部分の共通点 両意匠部分は,その位置,大きさ及び範囲において共通している。すなわち,平面視長手方向の上下中央部が内側に凹んだ,略横長長円形からなる周縁部に設けられた嵌合用のフランジ部の,円弧状に表れる左半分とその両端に接し,外側へ弧状に拡がった,略横向きΩ状の部分からなる基本的構成態様において共通している。 (3-2)両意匠部分の相違点 それに対して,両意匠は実線部分の断面である,D-D部分拡大図で表されるフランジ部の切断面形状(以下,「フランジ断面形状」という。)において相違している。両意匠部分のフランジ断面形状とも,せり上がった容器部の端部に位置し,蓋部材と嵌合する部位であるため,上方向に凸状に,左右線対称に形成されているものであるが,本願意匠のフランジ断面形状は全体を直線で構成し,上辺の左右両端を斜めに面取りし,下方開口部両端を斜め外側に拡げるように形成しているのに対して,本意匠のフランジ断面形状は,上部及び左右下部を曲面で構成し,雪だるまの頭部と胴部とを直線状の首部で繋げたように形成している点において,両意匠は相違している。 2.類否判断 まず,両意匠部分の共通点である,平面視長手方向の上下中央部が内側に凹んだ,略横長長円形からなる周縁部に設けられた嵌合用のフランジ部の,円弧状に表れる左半分とその両端に接し,外側へ弧状に拡がった,略横向きΩ状からなる実線部分の態様は,この種物品分野においては従来にはない特徴的なものであり,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 これに対して,相違点であるフランジ断面形状が直線的か曲線的かという違いはあるものの,包装用容器自体がさほど大きいものとは言えない中で,その包装用容器に対してもフランジ部の面積が占める割合は非常に小さく,さらにフランジ断面形状は拡大した断面図において初めて認識できる程度のものであるため,相違点は凝視して判る程度の微細なものといえ,実際に手に取って観察した場合の,斜め上方から見たフランジ断面形状が作り出す連続する外周面の印象,そして,下方に開口部を設け,端部を外側に水平に飛び出るように処理した両意匠部分の共通性に埋没する僅かな違いであり,これらフランジ断面形状自体も,本願出願前よりこの種物品分野においていずれも見られる態様であって,両意匠部分独自の態様とは言えないため,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものである。 よって,両意匠は意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲においても共通し,形態についても,共通点は,看者に対して視覚を通じてまとまった一つの美感を与え,両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものと認められるのに対して,相違点は,いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さく,これらが相俟って生じる視覚的効果を考慮しても,共通点が看者に与える美感を覆して,両意匠を別異のものと印象付けるほどのものとはいえないから,本願意匠は,本意匠である意願2012-002426号(意匠登録第1479720号)の意匠に類似するものと認められる。 なお,本願は,両意匠の出願人が同一の者であり,出願日が本意匠の出願日と同日であるので,意匠法第10条第1項の要件を充足している。 第5 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-08-01 |
出願番号 | 意願2013-2425(D2013-2425) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 成田 陽一 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
綿貫 浩一 江塚 尚弘 |
登録日 | 2014-08-29 |
登録番号 | 意匠登録第1508224号(D1508224) |
代理人 | 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 |