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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5 |
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管理番号 | 1291582 |
審判番号 | 不服2013-25721 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-12-27 |
確定日 | 2014-08-26 |
意匠に係る物品 | 取付け用小便器 |
事件の表示 | 意願2013- 4450「取付け用小便器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成25年(2013年)3月1日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「取付け用小便器」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成9年(1997年)4月4日)に掲載された,意匠登録第978230号の類似意匠登録第2号(意匠に係る物品,取付用小便器)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも男性用トイレに設置させる取付け用小便器に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず,共通点として, (A)全体は,正面側の横幅をやや狭くした略縦長台形柱状の本体部と,その正面側下方部分に,下方に向かって窄まった略倒立三角錐台状の垂れ受け部を,本体部正面側から前方に突き出した態様で一体的に形成し,本体部内部を水平断面視略円弧状に刳り抜き,この開口部左右側面部に水平断面視略犬歯状のリム部を形成し,垂れ受け部内部を側面部の形状に沿って刳り抜き,開口部を平面視略三角形状とする垂直断面視略ボウル状の尿受け部を形成し,側面視において,本体正面側垂直辺と垂れ受け部上辺とを円弧状の曲線によってなだらかに結合した構成としている点, (B)本体部は,本体上辺部から開口部上縁部までの本体正面側を,平面視略弓状に切り欠いた曲面形状とし,この曲面の中央部分に正面視横長長方形状の人感センサー用窓部を設け,本体上面部の背面側に着脱可能で扁平な略横長直方体板状の蓋部を段差なく面一に配し,本体部内部の正面側垂直面の左右端部付近から尿受け部の底面部にかけて,洗浄段部を縦方向に左右1条ずつ形成している点, (C)垂れ受け部は,正面側先端の角部を丸面状の曲面とし,尿受け部の底面中央部分に円形状の排水口部を1つ形成している点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)本体部の正面視の態様について,本願意匠は,左右側面部を開口部上縁から垂れ受け部下端部にかけてほぼ一定の傾斜で窄まらせ,正面視略倒立ハ字状になるように形成し,幅広の左右洗浄段部を小便器全体の約2/3の高さの位置から下方に向かってハ字状に配し,尿受け部正面側底面部分で左右をつなげて形成しているのに対して,引用意匠は,左右側面部を垂直状とする正面視略縦長長方形状に形成し,幅の狭い左右洗浄段部を小便器全体の約3/5の高さの位置から尿受け部正面裏側先端付近まで垂直方向に平行して形成している点, (イ)垂れ受け部の態様について,本願意匠は,開口部における先端部の角度を約60度の鋭角とし,側面視における本体正面側垂直辺と垂れ受け部上辺とがなす角度を約110度としているのに対して,引用意匠は,開口部における先端部の角度を約100度の鈍角とし,側面視における本体正面側垂直辺と垂れ受け部上辺とがなす角度を約100度としている点, (ウ)小便器の取付け方法の相違について,本願意匠は,背面下端部付近に水平方向のパイプ部を形成した壁面取付け型の小便器としているのに対して,引用意匠は,底面先端部寄りに下端部が拡径した垂直パイプ部を形成した床置き型の小便器としている点, (エ)尿受け部の排水口の態様について,本願意匠は,尿受け部の底面中央部に,開口部をすり鉢状に形成した円孔部を1つ配設しているのに対して,引用意匠は,尿受け部の底面中央部に,中央部分に円弧板状の突出部を設けた着脱式トラップを配設している点, が認められる。 2.両意匠の形態の評価 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価する。 まず,共通点(A)の全体の態様,共通点(B)の本体部の態様,及び,共通点(C)の垂れ受け部の態様は,取付け用小便座の意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,本願意匠の出願前に既に見られるものであるので,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であると言わざるを得ない。 そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)本体部の正面視の態様,相違点(イ)垂れ受け部の態様,及び相違点(ウ)小便器の取付け方法の相違については,小便器本体及び垂れ受け部を下方に向かってスリムに形成し,垂れ受け部の先端側を鋭角状とし,小便器の下方に足を置けるスペースのある壁面取付け型とする等,使用時に小便器との距離を接近させるための様々な工夫を施した本願意匠の態様は,それらの工夫が見られない引用意匠のものとは,需要者に別異な印象を与えるものであるから,これらの相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 また,相違点(エ)尿受け部の排水口の態様については,僅かな程度の差ではあるが,使用時には目につく部位における差異であるため,この相違点(エ)は,上記の各相違点とともに,両意匠の類否判断に一定の影響を与える。 そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。 3.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものの,形態においては,共通点の両意匠の類否判断に及ぼす影響が微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-08-12 |
出願番号 | 意願2013-4450(D2013-4450) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-09-12 |
登録番号 | 意匠登録第1508756号(D1508756) |
代理人 | 中村 知公 |
代理人 | 小西 富雅 |
代理人 | 伊藤 孝太郎 |
代理人 | 前田 大輔 |