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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D6 |
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管理番号 | 1292711 |
審判番号 | 不服2014-1349 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-24 |
確定日 | 2014-09-08 |
意匠に係る物品 | 収納ケース |
事件の表示 | 意願2012- 25548「収納ケース」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成24年(2012年)10月20日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「収納ケース」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が,2012年 9月26日に受け入れた,内国雑誌「Mart」の2012年9月28日11号の第45頁に所載の写真中,上段の「整理箱」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA24007610号)であって,その形態は,同雑誌に掲載された写真版により現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠の意匠に係る物品は,収納ケースであり,引用意匠の意匠に係る物は,整理箱であるが,いずれも本体内部に小物等を収納する蓋付きのケースであるから,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。 次に,両意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。 なお,対比のため,引用意匠の蓋付き開口部側を本願意匠と同様に正面側とし,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。 まず,共通点として, (A)全体は,上面側及び正面側に開口部を有する側面視略五角形状の箱状の本体部と,その本体部の上面側開口部及び正面側開口部に冠着した蓋部からなる構成とし,当該物品をスタッキングした状態であっても正面側開口部が開閉可能である点, (B)本体部は,側面視形状を,本体部上辺及び下辺を水平とし,本体部背面側縦辺を垂直とし,本体部正面側縦辺を上に向かって正面側に傾斜し,正面側縦辺上端部と本体部上辺正面側端部との間の開口部縦辺を上に向かって背面側に傾斜した略五角形状とし,上面側開口部及び正面側開口部をもつ箱状に形成している点, (B-1)本体部の上面側開口縁部及び正面側開口縁部を断面視略倒コの字状に形成している点, (C)蓋部は,上面側開口部を覆う上面蓋部(以下,「上面蓋部」という。)と正面側開口部を覆う開口蓋部(以下,「開口蓋部」という。)からなる側面視略ヘの字状であって,これらの蓋部は,上面蓋部の正面側に等間隔に形成した側面視円弧状の湾曲フックと開口蓋部の平面側に形成した円筒状の軸部により,回転可能に軸着している点, (C-1)上面蓋部は,その中央部分を略隅丸長方形状に窪ませて,周囲に断面視略倒コの字状の突出縁部を設け,当該縁部を本体部の開口縁部に冠着している点, (C-2)開口蓋部は,その中央部分を略隅丸長方形状に窪ませて,周囲に断面視略倒コの字状の突出縁部を設けている点, が認められる。 他方,相違点として, (ア)開口蓋部の傾きについて,本願意匠は,水平な上面蓋部に対して,前下がりに急傾斜となるよう形成しているのに対して,引用意匠は,前下がりに緩傾斜となるよう形成している点, (イ)正面側開口部と開口蓋部の態様について,本願意匠は,正面側開口部より幅広な開口蓋部の略隅丸長方形状の窪み左右下端部に,A-A断面視略直角台形状の嵌合片部を設けて正面側開口部と開口蓋部を嵌着しているのに対して,引用意匠は,正面側開口部とほぼ同じ幅の嵌合部を持たない開口蓋部を正面側開口部に当着している点, (ウ)垂下部及びキャスター部の有無について,本願意匠は,下辺に略横長逆U字状の切り欠きを設けた垂下部を,本体底面部に僅かな段部を設けて形成し,その四隅部分に円板状のキャスターを1つずつ配設しているのに対して,引用意匠には,そのような垂下部及びキャスターを形成していない点, が認められる。 2.両意匠の形態の評価 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価する。 まず,共通点(A)の全体の態様,共通点(B)の本体部の態様,共通点(B-1)の本体部の開口縁部の態様,共通点(C-1)の上面蓋部の態様,及び共通点(C-2)の開口蓋部の態様は,スタッキングした状態であっても開口部が開閉可能な収納ケースの意匠の骨格的な構成態様にあたるものであり,本願意匠の出願前に既に見られるものであるので,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であると言わざるを得ない。 また,共通点(C)の蓋部の態様は,この種物品分野において,側面視円弧状の湾曲フックと円筒状の軸部により,上面蓋部と開口蓋部を回転可能に軸着することは,本願出願前より既に行われている手法にすぎないものであるから(参考意匠1:実用新案登録第3175462号(考案の名称,収納ボックス)に記載の【図1】ないし【図9】の収納ボックスの意匠(公報発行日:平成24年(2012年)5月17日) 別紙第3参照),該部位の形態は両意匠のみが持つ格別な特徴とは言えず,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響も微弱であると言わざるを得ない。 そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。 これに対し,相違点(ア)開口蓋部の傾きについては,収納の際に,本願意匠の態様は,本体部の正面側側面部分に配設された開口蓋部から略水平方向に小物等を出し入れする印象を与えるものであり,本体部の正面側上面部分に配設された開口蓋部から略垂直方向に小物等を出し入れする引用意匠のものとは,別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 次に,相違点(イ)正面側開口部と開口蓋部の態様については,該部位は開口蓋部開閉時において特に目立つものであって,正面側開口部より幅広で突出縁部も大きな本願意匠の態様は,正面側開口部とほぼ同じ幅で突出縁部も目立たない引用意匠のものとは,別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きい。 また,相違点(ウ)垂下部及びキャスター部の有無については,収納ケースを移動する際に目につく部位であって,本願意匠の形態も特徴的なものであるから,この相違点(ウ)は,上記の各相違点とともに,両意匠の類否判断に一定の影響を与える。 そして,これらの相違点(ア)ないし(ウ)が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。 3.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通するものの,形態においては,共通点の両意匠の類否判断に及ぼす影響が微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-08-27 |
出願番号 | 意願2012-25548(D2012-25548) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 越河 香苗 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-10-10 |
登録番号 | 意匠登録第1511230号(D1511230) |
代理人 | 吉井 剛 |
代理人 | 吉井 雅栄 |
代理人 | 吉井 剛 |
代理人 | 吉井 雅栄 |