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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 F4
管理番号 1292712 
審判番号 不服2014-1145
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-01-22 
確定日 2014-09-09 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2013- 4364「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)2月28日の意匠法第4条第2項の適用を受けようとする出願で,本意匠を意願2013-004363号(意匠登録第1487184号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。破線部分は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。拡大図,断面図及び端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である。(別紙第1参照)


第2 原査定の拒絶の理由及び本意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。そして,本願意匠の本意匠である意願2013-004363号(意匠登録第1487184号)は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)2月28日の意匠法第4条第2項の適用を受けようとする出願であって,平成25年(2013年)12月24日に意匠公報が発行されたものであり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。破線部分は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。拡大図,断面図及び端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたもの(以下,本意匠について意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」という。)である。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

そこで当審において本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。

1.本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の対比

(1)意匠に係る物品について
両意匠の意匠に係る物品はいずれも「包装用容器」であるので,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(2)本願部分と本意匠部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲

(2-1)両意匠部分の用途及び機能について
両意匠部分とも,食品を販売するために用いる包装用容器の,積み重ね時に蓋部との接点となるとともに,脚部を補強するために設けられたものであるから,両意匠部分の用途及び機能は共通する。

(2-2)両意匠部分の位置,大きさ及び範囲について
両意匠部分は,平面視において包装用容器の四隅に設けられた略L字状脚部のうちの右下の脚部と,中央にある隅切横長長方形をした食品並べ部の右下隅切部分とで囲まれた,略直角二等辺三角形をした脚部補強部分であるから,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲は共通する。

(3)両意匠部分の形態について
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

(3-1)両意匠部分の共通点
両意匠部分は,平面視において包装用容器の右下部分に表れる,略直角二等辺三角形からなる一点鎖線で囲まれた範囲に形成されたものであって,略L字状脚部の突出部内側垂直面と食品並べ部の右下隅切部分とをつなぐように,略逆台形状をした略斜面部分と略直角二等辺三角形状をした略平面部分とで構成される,基本的構成態様において共通している。

(3-2)両意匠部分の相違点
それに対して,両意匠はB-B断面図で表される実線部分の断面形状の違いから生じる,略斜面部分と略平面部分の具体的構成において相違している。本願部分の断面図は略弧状となっており,更に断面部分の上部左側から断面中央部に向けて漸次断面との幅が細くなる実線が表れていることから,本願部分の略斜面部分は,上方が僅かに角部の外側へ膨らむように湾曲した形状となり,下方に向けて徐々に略直角二等辺三角形の略平面部分が表れるような構成になっているのに対して,本意匠部分の断面図は略L字形状となっているため,本願部分は僅かに傾斜する,逆台形状からなる略傾斜面部分と,直角二等辺三角形の略平面部分とで構成されている点において,両意匠は相違している。

2.類否判断

まず,両意匠部分の形態において,その構成が共通していることから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
これに対して,両意匠部分の形態において,断面形状が略弧状か略L字状かという違いはあるものの,包装用容器自体がさほど大きいものとは言えない中で,その包装用容器に対しても一点鎖線で囲まれた部分が占める割合は小さく,さらに実線で示された断面形状は拡大した断面図において認識できる程度のものであるため,相違点は当該部分を凝視して判る程度の微細なものといえ,断面形状の違いが両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものである。
一方,包装用容器を斜め上方から見た際に,略逆台形状をした略斜面部分と略直角二等辺三角形状をした略平面部分からなる構成は確認可能なものであり,この両意匠部分の共通する基本的構成態様が類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
よって,両意匠は意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲においても共通し,形態についても,共通点は,看者に対して視覚を通じてまとまった一つの美感を与え,両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものと認められるのに対して,相違点は,いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が小さく,これらが相俟って生じる視覚的効果を考慮しても,共通点が看者に与える美感を覆して,両意匠を別異のものと印象付けるほどのものとはいえないから,本願意匠は,本意匠である意願2012-004363号(意匠登録第1487184号)の意匠に類似するものと認められる。
なお,本願は,両意匠の出願人が同一の者であり,出願日が本意匠の出願日と同日であるので,意匠法第10条第1項の要件を充足している。


第4 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-08-27 
出願番号 意願2013-4364(D2013-4364) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 成田 陽一 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 綿貫 浩一
江塚 尚弘
登録日 2014-10-10 
登録番号 意匠登録第1511423号(D1511423) 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 

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