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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 E2
管理番号 1292716 
審判番号 不服2014-6482
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-08 
確定日 2014-09-29 
意匠に係る物品 パチンコゲーム機 
事件の表示 意願2013- 7546「パチンコゲーム機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)4月3日に出願された,本意匠を意願2013-007545号(意匠登録第1484800号)とする関連意匠の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「パチンコゲーム機」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠を受けようとする部分である。」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である。(別紙第1参照)


第2 原査定の拒絶の理由及び本意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。そして,本願意匠の本意匠である意願2013-007545号(意匠登録第1484800号)は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成25年(2013年)4月3日に出願され,平成25年(2013年)11月25日に意匠公報が発行されたものであり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「パチンコゲーム機」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載のとおりとしたものであり,「実線で表した部分が意匠登録を受けようとする部分である。」としたもの(以下,本意匠について意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」という。)である。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

そこで当審において本願意匠の意匠法第10条第1項適用の可否,とりわけ,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。

1.本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の対比

(1)意匠に係る物品について
両意匠の意匠に係る物品は「パチンコゲーム機」であるので,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(2)本願部分と本意匠部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
(2-1)両意匠部分の用途及び機能について
両意匠部分とも,パチンコ台用の装飾部品であるから,両意匠部分の用途及び機能は共通する。
(2-2)両意匠部分の位置,大きさ及び範囲について
両意匠部分は,正面視上部の手前側に突出した略ひさし部の下面の左右両端部に,左右対称に設けられたものであるから,両意匠部分の位置,大きさ及び範囲は共通する。

(3)両意匠部分の形態について
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(3-1)両意匠部分の共通点
両意匠部分は,「内部構造を省略したB-B,M-MのQ-Q線拡大断面図」,及び「内部構造を省略したB-B,M-MのR-R線拡大断面図」に示すように,手前方向の外側に外側端部,奥行き方向の内側に内側端部を設け,外側端部を内側端部とを繋ぐように稜線が存在し,略ひさし部の下面に設けられた両意匠部分は,下側に凸状となって表れる点において共通している。
(3-2)両意匠部分の相違点
それに対して,両意匠部分は「内部構造を省略したB-B,M-MのQ-Q線拡大断面図」に示すように,内側端部と外側端部とを繋ぐ輪郭線において相違している。本願部分の輪郭線は滑らかな曲線で構成されており,そのため,内側端部を頂点とする略水滴状となっているのに対して,本意匠部分の輪郭線は略直線で構成されており,外側の辺部を略「く」字状に屈曲した結果,内側端部を頂点とする略矢じり状となっている点において,両意匠部分は相違している。

2.類否判断

まず,両意匠部分の共通点である,正面視上部の手前側に突出した略ひさし部の下面の左右両端部に,手前方向の外側に外側端部,奥行き方向の内側に内側端部を設け,外側端部と内側端部とを繋ぐように稜線に沿って,下側に凸状となって表れる実線部分の態様は,この種物品分野においては従来にはない特徴的なものであり,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
これに対して,両意匠部分の輪郭線が略水滴状であるか略矢じり状であるかという違いはあるものの,これは両意匠部分を真下から垂直方向にみた「内部構造を省略したB-B,M-MのQ-Q線拡大断面図」において相違するものであって,両意匠部分は,実際には「A-A,B-Bの拡大正面図」にあるように正面側から見た場合,同様の円弧状に表れるものであり,「内部構造を省略したB-B,M-MのP-P線拡大断面図」にあるように,遊技者が使用時に視認する場合には,両意匠部分は内側端部を最も高い位置とし,そこから斜め前方に広がるように設けられた同様の態様となり,さらに外側端部と内側端部とを繋ぐように下向き凸状の稜線が表れる態様は,この種物品分野においては従来にはない特徴的なものであるから,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
よって,両意匠は意匠に係る物品が一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲においても共通し,両意匠部分の形態についても,共通点は,看者に対して視覚を通じてまとまった一つの美感を与え,両意匠部分の類否判断に支配的な影響を及ぼすものと認められるのに対して,相違点は,いずれも両意匠部分の類否判断に及ぼす影響が小さく,これらが相俟って生じる視覚的効果を考慮しても,共通点が看者に与える美感を覆して,両意匠部分を別異のものと印象付けるほどのものとはいえず,両意匠部分は類似するものであるから,本願意匠は本意匠である意願2013-007545号(意匠登録第1484800号)の意匠に類似するものと認められる。
なお,本願は,両意匠の出願人が同一の者であり,出願日が本意匠の出願日と同日であるので,意匠法第10条第1項の要件を充足している。


第4 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するから,原審の拒絶理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-09-11 
出願番号 意願2013-7546(D2013-7546) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (E2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 恭子小林 裕和 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 綿貫 浩一
江塚 尚弘
登録日 2014-10-17 
登録番号 意匠登録第1511925号(D1511925) 
代理人 山田 強 
代理人 廣田 美穂 

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