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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M1 |
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管理番号 | 1292722 |
審判番号 | 不服2014-6907 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-04-14 |
確定日 | 2014-10-14 |
意匠に係る物品 | 合成樹脂板材 |
事件の表示 | 意願2013- 6118「合成樹脂板材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成25年(2013年)3月19日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「合成樹脂板材」とし,形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願実線部分」という。)である。破線部分は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。この意匠は,平面図において四方に連続する。本物品は,透明又は半透明の合成樹脂で形成された板材である。」としたものである(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,同法同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開特許公報(公開日:平成12年(2000年)6月6日)に記載された2000年特許出願公開第153507号(発明の名称,交互に表裏方向に押し出した形状の板)の【図6】に表されている板材の意匠において,三角錐台状の連続的に凹凸を繰り返す状態で,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に相当する,三箇所の頂面のそれぞれ一部を含み,三箇所の底面のそれぞれ一部を含んで,それらの周縁を平面視矩形状に枠取る部分(以下「引用相当部分」という。)について類否判断の対象としたものであり,引用意匠の形態は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 第3 本願意匠と引用意匠の対比 1 意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「合成樹脂板材」であり,上記公開特許公報の記載によれば引用意匠の意匠に係る物品は「薄板」であって,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。 2 本願実線部分と引用相当部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分は,願書の記載によれば主に運搬用容器や建築物の構造部材などに用いられ,三角錐台状の凹凸が交互に表れる板のうち,3つの頂面の一部と3つの底面の一部が表されている部分である。引用相当部分も,上記公開特許公報の記載によれば軽量にして機械的強度をもたせた板であって,三角錐台状の凹凸が交互に表れる板のうち,3つの頂面の一部と3つの底面の一部が表されている部分である。したがって,本願実線部分と引用相当部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。 3 両部分の形態 両部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。なお,本願実線部分の向きに合わせて引用相当部分の向きを認定する。 (1)共通点 両部分には,基本的構成態様として,以下の共通点が認められる。 (A)基本的構成態様について 両部分は,薄い平面板であって,三角錐台状の凹凸の一部が平面視上下方向及び左右方向に交互に表れている。 また,具体的態様として,以下の共通点が認められる。 (B)平面から見た頂面及び底面の態様について 凸部の頂面は全て上向きの正三角形の一部であり,凹部の底面は全て下向きの正三角形の一部であって,頂面正三角形の底辺の一部と底面正三角形の底辺の一部が向き合い,頂面正三角形の頂点と底面正三角形の頂点が向き合うように配列されている。 なお,上記公開特許公報の【図6】によれば,引用意匠の右端部に下向き三角形の一部が表れている底面があるので,底面にも頂面と同様の形状が表れることは明らかである。 (2)差異点 一方,両部分には,具体的態様として,以下の差異点が認められる。 (ア)頂面正三角形の一部と底面正三角形の一部の相対的大きさについて 本願実線部分では,頂面正三角形の一部と底面正三角形の一部の部分全体に占める面積が大きく,三角形の間に形成される斜面の幅が三角形の一辺の長さよりも小さい。これに対して,引用相当部分では,頂面正三角形の一部と底面正三角形の一部の部分全体に占める面積は小さく,三角形の間に形成される斜面の幅が三角形の一辺の長さよりも大きい。 (イ)平面側稜線交差部の受け皿の有無について 本願実線部分では,3つの頂面正三角形の中央寄り頂点から中心に向かう稜線が交差する3つの部分のそれぞれに,小さい受け皿が形成されているが,引用相当部分にはそのような受け皿はない。 (ウ)本願実線部分は,全体が透明又は半透明であるのに対して,引用相当部分は透明又は半透明ではない。 第4 類否判断 1 意匠に係る物品 両意匠は,共に薄い板であって,意匠に係る物品は共通する。 2 両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 前記認定したとおり,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。 3 形態の共通点の評価 両部分の形態の共通点,すなわち,三角錐台状の凹凸が平面視上下方向及び左右方向に交互に表れている点,及び頂面正三角形の底辺と底面正三角形の底辺が向き合い,頂面正三角形の頂点と底面正三角形の頂点が向き合うように配列されている点は,円錐台形状の凹凸が平面視上下方向及び左右方向に交互に表れている中間部を有する意匠が本願の出願前に既に見受けられる(意匠登録第1259579号。別紙第3参照。)ものの,三角錐台状の凹凸という共通点が顕著であって,看者に一定の視覚的印象を与えるというべきであるから,両部分の形態の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。 4 形態の差異点の評価 一方,両部分の形態の差異点については,以下のとおり,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすといわざるを得ない。 先ず,差異点(ア)については,頂面正三角形の一部と底面正三角形の一部の相対的大きさの差異は一見して分かる差異であるから,看者に異なる視覚的印象を与えるというべきである。したがって,差異点(ア)は,両部分の類否判断に一定の影響を及ぼす。 次に,差異点(イ)については,本願実線部分に見られる受け皿が本願実線部分の中央に位置していることから,小さいながらも看者の注意を惹くものであり,両部分の美感を異にするものであるから,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 他方,差異点(ウ)については,合成樹脂板材の分野において,全体を透明又は半透明にしたものが既に見受けられる(意匠登録第1259579号。別紙第3参照。)ことから,透明又は半透明であるか否かの差異が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。 そうすると,(ア)及び(イ)の差異点は,いずれも両部分の類否判断に影響を及ぼすものであり,特に,差異点(イ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいことから,両部分の差異点は共通点を凌ぐものであるということができる。 5 小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が同一であり,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通するが,両部分の形態においては,共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められるものの,差異点が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きく,共通点が看者に与える美感を覆して両部分を別異のものと印象付けるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-09-30 |
出願番号 | 意願2013-6118(D2013-6118) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(M1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 杉山 太一 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
小林 裕和 綿貫 浩一 |
登録日 | 2014-10-24 |
登録番号 | 意匠登録第1512466号(D1512466) |
代理人 | 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 |