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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1292730 |
審判番号 | 不服2014-1813 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-31 |
確定日 | 2014-10-16 |
意匠に係る物品 | 電線保護具 |
事件の表示 | 意願2013- 1456「電線保護具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)1月28日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「電線保護具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「薄墨部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。C-C拡大断面図において,実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成11年(1999年)12月21日)に掲載された,意匠登録第1057092号(意匠に係る物品,ワイヤリングハーネス案内・保護管)の意匠(以下,本願実線部分に相当する引用意匠の当該部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,自動車用ワイヤーハーネス等の電線を収容し,保護するための電線保護具であり,引用意匠の意匠に係る物品は,自動車の車体とドアとに跨がるハーネスを保護するためのワイヤリングハーネス案内・保護管であるから,本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。 2.本願実線部分と引用相当部分の対比 (1)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)は,いずれも自動車用ワイヤーハーネスを筒内部に収納し,保護するための筒状の保護具における蛇腹状の屈曲自在部分及び楕円筒形状の直管部分の表面部分であるから,両意匠の部分意匠としての用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。 (2)両意匠部分の具体的形態 両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 なお,対比のため,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,引用意匠の「平面図」を「左側面図」とし,引用意匠の「右側面図」を左に90°回転させ「正面図」とし,引用意匠の「背面図」を左に90°回転させ「平面図」とし,その他の図面もこれらに準じて表されているものとする。) まず,共通点として,両意匠部分全体は,山折りの部分を11個とした断面視略楕円形状で蛇腹状の可撓部(以下,「可撓部」という。)と断面視略楕円形状で表面が平坦な直管部(以下,「直管部」という。)を一体的に連結した構成とした点が認められる。 他方,相違点として, (ア)可撓部と直管部との間の連結部分の態様について,本願実線部分は,側面部中央部分に段差部を1段形成した略楕円筒形状の連結部(以下,「連結部」という。)を設け,可撓部と直管部とを一体的に連結しているのに対して,引用相当部分は,可撓部と直管部とを直に一体的に連結している点, (イ)可撓部の蛇腹部分の態様について,本願実線部分は,正面視略縦長算盤珠状を複数連ねた蛇腹形状とし,谷折り部分が直管部内周部より内側の位置となるように形成しているのに対して,引用相当部分は,正面視略縦長長円形状を複数連ねた蛇腹形状とし,谷折り部分が直管部内周部分の位置となるように形成している点, が認められる。 3.両意匠部分の形態の評価 両意匠部分の形態における上記共通点は,可撓部及び直管部の態様を概略的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠部分の類否判断を決定することはできない。 これに対し,相違点(ア)可撓部と直管部との間の連結部分の態様については,蛇腹部分の最外径より大きな連結具を可撓部の両端部分に形成することで,車体固定時に蛇腹部分の動きが阻害されないことから,この連結具は,需要者の注意を強く引くものであると認められる。よって,連結具を有し,蛇腹部分の動きが阻害されない本願実線部分の態様と,それのないシンプルな引用相当部分の態様とは看者に別異の印象を強く与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。 次に,相違点(イ)可撓部の蛇腹部分の態様については,折曲して使用した際に,コーナー外側部分の蛇腹部分が,鞴を広げたようなギザギザ形状に表れる本願実線部分の態様と,円弧が連なる略正弦波形状に表れる引用相当部分の態様とは,看者に与える印象が全く異なるものであるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。 そうすると,これらの相違点(ア)及び相違点(イ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる視覚的効果は,両意匠の類否判断を左右するものである。 4.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については,共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても,共通しているが,両意匠部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,両意匠部分全体として別異の印象を与えるものである。 したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-10-02 |
出願番号 | 意願2013-1456(D2013-1456) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 玉虫 伸聡 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2014-10-31 |
登録番号 | 意匠登録第1512846号(D1512846) |
代理人 | 三好 秀和 |