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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1294807 
審判番号 不服2014-7740
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-04-25 
確定日 2014-11-17 
意匠に係る物品 ケーブル付きコネクタ 
事件の表示 意願2013- 12387「ケーブル付きコネクタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,パリ条約による優先権を主張した優先日が2012年12月3日(アメリカ合衆国)の平成25年(2013年)年6月3日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「ケーブル付きコネクタ」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表している。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2007年7月5日に受け入れた,中華人民共和国意匠公報2007年5月23日07-21号に掲載されたプラグ(公開番号CN3649142)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH19004581号)において,本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(以下,引用意匠において本願意匠の本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」という。)であって,その部分の形態は,同ページに掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「ケーブル付きコネクタ」で,引用意匠は,「プラグ」であるが,両意匠は,いずれも片側にケーブルを接続し,反対側を挿入部として機器などに差し込んで接続できるようにした,接続用のコネクタであり,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(2)用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願実線部分と引用相当部分(以下,「両部分」という。)は,ともに接続用のコネクタのケーブル部及びケーブル接続用ブッシング部を除いた偏平な略直方体形状のケーシングである本体部(以下,「本体部」という。)と,本体部の先端に突出している,本体部よりさらに偏平で,機器などに差し込んで用いられるプラグ型のコネクタ端子部(以下,「コネクタ端子部」という。)に係るものであり,引用相当部分も同様であるから,両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
(3)形態
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,両部分の意匠を同じ方向から対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。
(3-1)共通点
(A)全体を偏平な略直方体形状のケーシングである本体部と,本体部の先端に突出している,本体部よりさらに偏平で一回り小さい,機器などに差し込んで用いられるコネクタ端子部とからなるものとした点,
(B)本体部を平面視略D字形状とし,コネクタ端子部を含め全体を上下対称形状とした点,において主に共通する。
(3-2)差異点
(ア)本体部の平面視の横と縦の長さ比について,本願実線部分は,長さ比が約1:1.14で正方形状に近いのに対して,引用相当部分は,約1:1.43で長方形状である点,
(イ)本体部のコネクタ端子部側の外形状について,本願実線部分は,隅丸横長長方形状であるのに対して,引用相当部分は,偏平な略競技用トラック形状である点,
(ウ)側面視した場合におけるコネクタ端子部の位置について,本願実線部分は,本体部の正面側の上下中央よりやや下寄りにコネクタ端子部を設けているのに対して,引用相当部分は,コネクタ端子部を本体部の正面側の上下中央に設けている点,
(エ)コネクタ端子部の正面視の形状について,本願実線部分は,コネクタ端子部の正面視の形状が偏平な略逆台形状であるのに対して,引用相当部分は,コネクタ端子部の正面視の形状が偏平な略凸字形状である点,

4.類否判断
(1)両意匠の意匠に係る物品及び両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
(2)両部分の形態について
共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。
(2-1)共通点
そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体を偏平な略直方体形状のケーシングである本体部と,本体部の先端に突出している,本体部よりさらに偏平で一回り小さい,機器などに差し込んで用いられるコネクタ端子部とからなるものとした態様は,この種の物品分野においては他にも見られるもので,両部分の意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両部分の意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。
また,共通点(B)についても,本体部を平面視略D字形状とし,コネクタ端子部を含め全体を上下対称形状とした態様について共通しているが,さほど特徴のないもので,両部分の意匠のみに共通する態様とはいえず,両部分の意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものに過ぎないものである。
そうして,共通点全体として両部分の意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。
(2-2)差異点
これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,差異点(ア)については,本体部の平面視の横と縦の長さについては,需要者がプラグ型のコネクタを使用する際には,実際に手で触る部分に係るもので,需要者の注意を惹く本体部の平面視のプロポーションに係るもので,正方形状に近い本願実線部分と,長方形状である引用相当部分とでは,需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)についても,本体部の正面視の態様に係るもので,見る者の注意を惹く部分といえるもので,左右側面部が角張った本願実線部分と左右側面部が丸い引用相当部分では,使用時に触った感触も異なるものであるから,差異点(ア)と相俟って需要者に与える印象を異ならせるものであり,その差異は,両部分の意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
また,差異点(ウ)についても,やや下寄りにコネクタ端子部を設けている本願実線部分の態様は,この種のプラグ型のコネクタの分野において,他にはあまり見られない態様であり,使用時に需要者が注意を払う部位に係るものでもあるため,両部分の意匠に異なる印象を与えるものであり,その差異は,両部分の意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)についても,コネクタ端子部の正面視の具体的な態様について,コネクタ端子部の形状は,使用時に需要者が大きな関心を持つ部位に係るもので,両部分の差異は,需要者に別異な印象を与えるものであり,両部分の意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
(3)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の意匠の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の意匠の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それらが両部分の意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2014-10-31 
出願番号 意願2013-12387(D2013-12387) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮田 莊平 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2014-12-05 
登録番号 意匠登録第1514985号(D1514985) 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 

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