ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1 |
---|---|
管理番号 | 1296083 |
審判番号 | 不服2014-633 |
総通号数 | 182 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-02-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-01-14 |
確定日 | 2014-12-12 |
意匠に係る物品 | スピーカー付き照明具 |
事件の表示 | 意願2012- 27495「スピーカー付き照明具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,本意匠を意願2012-27494(意匠登録第1485884号)とする関連意匠の意匠登録出願として,平成24年(2012年)11月9日に出願されたものであって,その意匠は,意匠に係る物品が「スピーカー付き照明具」であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び本意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 その理由として,本願意匠と本意匠(意願2012-27494号)を比較すると,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である導光板の態様に差異が認められ,その差異は微弱なものとはいえないことから,本願意匠は,本意匠に類似するとは認められない,としたものである。 本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成24年(2012年)11月9日に出願されたものであって,平成25年(2013年)年11月8日に意匠権の設定の登録がなされた意願2012-27494号(意匠登録第1485884号)の意匠であって,その意匠は,意匠に係る物品が「スピーカー付き照明具」であり,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのもので,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本意匠において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本意匠実線部分」という。)としたものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,両意匠は,いずれも電球型の照明にスピーカーを備えた「スピーカー付き照明具」に係るものであるから,意匠に係る物品が一致する。 本願実線部分と本意匠実線部分(以下,「両部分」という。)は,いずれもスピーカー付き照明具の導光板を部分意匠として登録を受けようとする部分としたものであり,部分意匠としての用途及び機能が一致し,また,電球状の照明具のソケットに接続する部分を下にした場合に,照明具の上方の円盤状のスピーカーと透明部内に設けられた略偏平な円錐台形状の下方の基台部(以下,「基台部」という。)に挟まれた位置に,内部に透けて見える発光部の導光板を設け,導光板の平面及び周側面に係るものであるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は共通する。 両部分の形態については,主として,以下の共通点及び差異点が認められる。 (1)共通点 (A)照明具の上方の透明部内に略円筒形状の導光板を設けている点,(B)導光板は,平面視すると円形状に現れ,その最大径は,電球の透明部の最大径の約7割の直径である点,(C)導光板を正面視すると縦の長さよりも最大径の方が大きい点,において主に共通する。 (2)差異点 導光板の具体的な態様について,本願実線部分は,周側面が垂直状であるのに対して,本意匠実線部分は,周側面が下方寄りに向かって径が小さくなり,全体が略ラッパ形状である点において主な差異が認められる。 4.類否判断 そこで検討するに,前記共通点(A)については,この種物品において,両部分の意匠のように上方の透明部内に略円筒形状の導光板を設けた態様は,両意匠出願前には見られなかった特徴的なものといえ,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものであり,また,共通点(B)については,この種の照明具を実際に使用する場合に,導光板を平面視した態様が全く同一で,両部分の意匠において強い共通感を需要者に抱かせるもので,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものであり,さらに,共通点(C)についても,導光板の正面視の態様にも共通する印象を抱かせるものであって,共通の美感を起こさせ,両部分の意匠の類否判断に一定の影響を与えるものである。そして,これらの共通点は,全体としてみても両部分の意匠の類否判断を決定付けているものというべきである。 これに対し,差異点の,周側面が垂直状であるか,下方寄りに向かって径が小さくなる略ラッパ形状であるかの差異については,周側面の外形状のみに着目した場合にはその差異は確かに認められるものではあるが,前記した共通点(A)及び(B)の顕著な共通性と比較した場合には,共通する態様における周側面の外形状という,部分的で軽微な差異といえるものであるから,両部分の強く共通する態様に埋没してしまい,看者の注意を惹くものとはいえず,両部分の意匠の類否判断にあたって格別の評価をすることはできない。 そうすると,共通点は,両部分の意匠に独自で特徴的なものであり,需要者の注意を強く惹き,共通の美感を起こさせるものであるのに対し,差異点は,その視覚に訴える意匠的効果としては格別の評価ができないものであるから,共通点が差異点を凌駕し,両部分の意匠は,類似するものと認められる。 (小括) 以上のとおり,本願意匠と本意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の部分意匠としての用途及び機能が一致し,その位置,大きさ及び範囲についても共通し,両部分の形態についても,共通点が差異点を凌駕し,相互に類似するものであるから,本願意匠は,本意匠を意願2012-27494号(意匠登録第1485884号)とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するので,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2014-12-01 |
出願番号 | 意願2012-27495(D2012-27495) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H1)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清水 玲香 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 江塚 尚弘 |
登録日 | 2015-01-16 |
登録番号 | 意匠登録第1517729号(D1517729) |
代理人 | 五味 飛鳥 |