• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6
管理番号 1296094 
審判番号 不服2014-14800
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-29 
確定日 2014-12-24 
意匠に係る物品 飲食用スプーン 
事件の表示 意願2013-16397「飲食用スプーン」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,2013年1月22日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成25年(2013年)7月19日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「飲食用スプーン」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁総合情報館が,1998年9月10日に受け入れた,ドイツ意匠公報(1998年7月25日)の第2613ページに所載の,「一組の飲食用ナイフ,フォーク及びスプーンのうち,最も手前のスプーン」(特許庁意匠課公知資料番号第HH11062340号)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断
(1)意匠に係る物品について
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共に,「飲食用スプーン」であって,一致する。

(2)両意匠の形態について
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(2-1)両意匠の共通点
ボール部と柄部から成る普通のスプーンであって,ボール部は,平面視で略長円形で,柄部は平板状であって,ボール部との接続部である首部が細く,先端部に向かって徐々に幅が広がる略帯状のもので,柄部の先端は,略円弧状としているもので,柄部の先端寄り上面に略縦筋模様を施した態様である。

(2-2)両意匠の相違点
それに対して,具体的構成態様において,(ア)ボール部の平面形状について,本願意匠は,長円形であるのに対して,引用意匠は,卵形である点,(イ)柄部の平面視形状について,本願意匠は,左右辺が緩やかな凸曲線で,端部側約3分の1はほぼ並行になっており,先端部は角丸四角様に構成しているのに対して,引用意匠は,左右辺が端部付近まで緩やかなへこみ曲線で,続いて端部は半長円形で,全体に引き延ばした縦長の涙型を成しており,その先端には,半球状のコブを設けている点,(ウ)柄部の先端の模様について,本願意匠は,何ら凹凸の無い表面に,スプーン軸方向に直交する位置を始点として,等間隔に軸方向の平行線が複数描かれているのに対して,引用意匠は,細かい凹凸による溝状の筋が,先端のコブに向かって収束するように曲線にて設けてあり,それらの始点は,くの字状に屈曲した態様としている点,で主な相違が認められる。

(3)類否判断
両意匠を比較した場合,共通点は,飲食用スプーンにおいて,極普通の態様の一つであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決することはできない。
しかし,これに対して,具体的態様である相違点(ア)は,どちらの形態も,この種物品分野においては,極普通に見られる形態であるから,この点は,両意匠の類否判断における影響は小さいが,相違点(イ)及び相違点(ウ)の内の,柄部の先端の形状及び模様においては,平坦面上の線模様なのか,立体的な筋形状なのか,平行なのか,コブに向かって収束しているのか,始点が直線状なのか,くの字状に屈曲しているのか等の目立った相違が認められ,これらの相違が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
以上のとおりであって,相違点がもたらす印象は,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。

4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-12-11 
出願番号 意願2013-16397(D2013-16397) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 恭子 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 橘 崇生
清野 貴雄
登録日 2015-01-16 
登録番号 意匠登録第1517526号(D1517526) 
代理人 杉本 修司 
代理人 野田 雅士 
代理人 堤 健郎 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ