ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 取り消して登録 E1 |
---|---|
管理番号 | 1297192 |
審判番号 | 不服2014-4693 |
総通号数 | 183 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2015-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-03-11 |
確定日 | 2015-01-05 |
意匠に係る物品 | メリーゴーランドおもちゃ |
事件の表示 | 意願2013- 4442「メリーゴーランドおもちゃ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)3月1日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「メリーゴーランドおもちゃ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものであり,「赤色に着色した部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第5条第2項に規定する他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠に該当するとするものであり,その理由は以下のとおりである。 「本願は,『メリーゴーランドおもちゃ』に係るものですが,つり下げられた飾り具の一つが『さるぼぼ』に類似しています。 しかしながら,『さるぼぼ』は,『飛騨のさるぼぼ製造協同組合』の登録商標であり,本願の意匠は,他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがあるものと認められるので,意匠登録を受けることができません。 ただし,出願人が,『飛騨のさるぼぼ製造協同組合』の組合員である場合,または契約関係にあり本願の出願について正式に了解を得ている場合はこの限りではなく,左記組合の組合員であることを証明する書面,またはこの意匠登録出願に関する契約を証明する書面等を提出して下さい。 なお,以下は,あくまで拒絶理由を補足するためだけに掲載する参考例示です(引用例ではありません)。 参考1:飛騨のさるぼぼ製造協同組合の登録商標(商標登録第5276287号)」 第3 当審の判断 1.さるぼぼについて さるぼぼとは,広辞苑第六版では「這子(ほうこ:幼児の四つ這いの姿に作った人形。幼児のお守りとする。あまがつ。はいはい人形。)の一種。赤い布で作り,中に綿を詰めた人形。岐阜県高山の郷土玩具。」と定義し,またウィキペディアでは「さるぼぼは,飛騨高山など岐阜県飛騨地方で昔から作られる人形。飛騨弁では,赤ちゃんのことを「ぼぼ」と言い,「さるぼぼ」は「猿の赤ん坊」という意味である。災いが去る(猿),家内円(猿)満になるなど,縁起の良い物とされ,お守りとしても使われている。近年では,土産として飛騨地方の観光地で多く見られる。よく見かける基本形は,赤い体に赤く丸い顔(目鼻口は省かれる),赤い手足(指は省かれている),黒い頭巾と黒い腹掛け(いわゆる「金太郎」)を纏い,座って足を前に投げ出しているか両足を広げ,両腕を上げて広げた(いわゆる万歳の)姿である。なお,全身に亘って色が赤いのは,赤は古くから悪霊祓い,疫病(とりわけ天然痘)除けの御利益があると見なされてきたからであるが,近年では赤以外に黄色や緑色などさまざまなカラーバリエーションが見かけられるようになった。」と説明されるものである。 2.さるぼぼの立体商標(商標登録第5276287号)について 飛騨のさるぼぼ製造協同組合が,平成20年(2008年)9月12日に特許庁に出願し,平成21年(2009年)10月30日に立体商標として登録され,平成21年(2009年)12月1日に商標公報が発行されたものである。(別紙第2参照) 具体的には,当該立体商標は目鼻口が省かれた丸い顔に暗色のずきんを被せ,腹掛けの上にかすり模様のちゃんちゃんこをまとい,先端が尖った形状からなる手足は体の中心部から放射状に広がるように形成したものであり,頭部と胴部とはほぼ同じ大きさである。 3.本願部分について 本願部分は,本願意匠のうち略逆L形状の支持台上端部につり下げられた略円形状の回動部に取り付けられた装飾部部分であって,本願部分は回動部から垂直下方向に延びた中心軸及び中心軸から5本の稜線で固定された環状つり下げ部で構成し,稜線は環状つり下げ部から垂直下方向に延び,中心軸と合わせた合計6本のひも状つり下げ部に合計21体の飾り具を取り付けている。 原査定における拒絶理由では,本願部分のうち,つり下げられた飾り具の一つがさるぼぼに類似するとし,どの飾り具のことかを明示的に特定していないが,当審では,さるぼぼに類似する飾り具は,環状つり下げ具に設けられた5本のひも状つり下げ部のうち,唯一3体の飾り具をつり下げたひも状つり下げ具の中段に取り付けられた飾り具が,さるぼぼに類似するものであると推定して,以下,形態を認定する。(【装飾部の拡大斜視図3】において,最も左側に現れるひも状つり下げ部の中段に取り付けられた飾り具を指す。以下,「対象飾り具」という。) 対象飾り具の形態は,目鼻口が省かれた丸い顔の頭頂部に頭髪を有し,暗色の腹掛けのみをまとい,先端が尖った形状からなる手足は体の中心部から放射状に広がるように形成したものであり,胴部は頭部の2倍以上の大きさである。 4.つるしびなについて 本願部分は,いわゆる「つるしびな」である。つるしびなとは,ウィキペディアでは「江戸時代後期から伝わる伊豆稲取地方の風習,吊るし飾りのこと。長女の初節句に,無病息災,良縁を祈願して,雛壇の両脇に細工を吊すもの。」であり,「桃(長寿),猿っ子(魔除け),三角(薬袋香袋)を基本として50種の細工がある。」と説明される。また,つるしびなに関する情報が掲載されたホームページ「つるしびな大百科」(http://www.tsurushi.jp/index.html)には,飾り具の意味やいわれについての掲載があり,その中で,病が去るまたは災いが去るという意味がこめられた飾り具の「猿(さる)」が掲載されている(別紙第3参照)。 「猿(さる)」の形態は,線状の目口を設け鼻は省かれた丸い顔の頭頂部に頭髪を有し,腹掛けのみをまとい,先端が尖った形状からなる手足は体の中心部から放射状に広がるように形成したものであり,胴部は頭部の2倍以上の大きさである。 5.本願部分の対象飾り具とさるぼぼの立体商標との比較について 本願部分の対象飾り具とさるぼぼの立体商標とは,ずきん及びちゃんちゃんこの有無,そして頭部と胴部との大きさの比率において相違する。よって,本願部分の対象飾り具とさるぼぼの立体商標とは,混同を生ずる程,類似するものとはいえない。 6.小括 以上より,本願部分の対象飾り具とつるしびなの「猿(さる)」とは,目口の有無を除けば全体的な雰囲気は似通っており,よって本願部分の対象飾り具は,例えばお守りとして単体での使用を主とした「さるぼぼ」をもとに考え出されたものではなく,病が去るまたは災いが去るという意味がこめられたつるしびなの一つの飾り具としての「猿(さる)」を意味する飾り具の一つとして考え出されたものであると認められる。 第4 むすび 以上のとおりであるから,本願部分のつり下げられた飾り具の一つが「さるぼぼ」に混同を生ずる程,類似するものであるとは認められず,よって,他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠とは認められないため,意匠法第5条第2項に規定する意匠に該当しないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,審決のとおり結審する。 |
別掲 |
![]() |
審決日 | 2014-12-15 |
出願番号 | 意願2013-4442(D2013-4442) |
審決分類 |
D
1
8・
25-
WY
(E1)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 久保田 麻理 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 綿貫 浩一 |
登録日 | 2015-02-20 |
登録番号 | 意匠登録第1519727号(D1519727) |
代理人 | 宮崎 超史 |
代理人 | 宮崎 伊章 |